Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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意味のない家出
家出は、あっけなく終了。

日曜日の朝、9時過ぎ。
鴻巣の同業者の事務所で、浦和の急ぎの仕事をこなし、初稿をメールで送った。

あとは、仙台の同業者、ひと遣いの荒いイトウから頼まれたホームページ用の画像の加工が残っているが、それは、イトウにしては珍しく急ぎの仕事ではない。
鴻巣の同業者は、連休ということもあって、実家の秋田に、家族を引き連れて帰省している。
だから、事務所には、私ひとり。
熱い珈琲を飲みながら、ゆったり気分で加藤ミリヤの「Ring」を聴いていた。

珈琲を飲み終わったら、朝メシにしよう。
HottoMottoに行って、ノリ弁プラス大根サラダでも買ってこようか。
最近の持ち帰り弁当屋の弁当は、美味いからな。

くしゃみを2発。
そのとき、iPhoneが鳴った。

「おい、昨日一日、けっこう大ごとだったぞ」
主語を省いた、娘からの電話だった。

「昨日は、朝からマミーが、近所のババア連中に、真実を説明して回ってた。
マミーも、ばあちゃんの創作落語が、そこまで酷い話になっているとは、知らなかったみたいだぞ。
全部の誤解が解けたわけじゃないが、まあ、波はおさまったといっていいんじゃないか。
どうする? 家出続行か、中止か?
5秒以内に、答えろ」

そうか。
しかし、もうひとつ、解決しなければいけないことがある。
ばあちゃんの長男と次男が、どう思っているかを確かめないと、な。
創作落語のお得意さんは、あの二人だからな。
一番重要な観客の二人が、どんな態度に出るかが、一番の問題だ。

「マミーに頼むか」

いや、喧嘩を売られているのは、こっちだからな。
こっちで、けりをつける。

「短気をおこすなよ」

了解。

というやり取りがあって、まずは、長男の家に電話をかけた。
思い立った時に行動に移さないと、時間の経過とともに、やる気がしぼむ。
だから、すぐに電話をした。

相手は、いた。

いつまで、義母を預かればいいのか。
その一点にだけ絞って、長男に迫ったが、長男は「おフクロの意思次第だね」との、悠長なご返事である。

で、おフクロ様に、そのご意思を聞いてみましたか。

「ボケてるから、よくわからないよ」
「言うことが毎回違うからね。どの言葉を信じればいいのか、俺にはわからない」
「今度体調が良さそうなときに、聞いてみるよ」

遠く離れていたら、体調がいい悪いなんか、わからないのでは?

「わかるんだよ。親子だからね。血が繋がっているんだから」

血が繋がっているんなら、そちらが引き取ればいいのでは?

「ユミコ(ヨメ)だって、血が繋がってるだろ。母さんも、娘の方が、気が楽なんじゃないかな。聞いたことはないけど」

それなら、今すぐ、二人に聞いてみてくださいよ。

「かあさん、体調悪いんだよ。そんなときに、聞けないよ」
「しかし、何で体調悪いのかね。メシ、ちゃんと食わせてもらっているのかね。医者にも連れていってもらってるのかね」

・・・・・・・・・・。

私は、ホトケ。
仏にならなければいけない。
我慢、我慢。

しかし、私は、すぐに阿修羅になる。

じゃあ、おまえが、メシを食わせろ! おまえが、医者に連れて行け!

電話を切った。

すぐに、反省した。
何の解決にもなっていない。
これでは、相手の思う壺だったかもしれない。

そこで、次男への電話は、方針を変えた。

俺、いま家出中。
何で?
あなたの大事なお母様に、変な噂を団地中に言いふらされて、家にいられなくなったからですよ。
どうしましょうか。
大事な仕事があるんだけど、家出中だから、仕事ができないんです。
フリーランスは、信用商売ですからね。一度でも仕事をしくじったら、もうダメですよ。
「あいつは、信用できない」って噂が駆け回るのは、時間の問題だ。
ダメです。アウトです。
こうなったら、あなたの大事なお母様を養うことなんて、もう到底無理です。
ああ、絶望だ!

次男が、慌てている様子が、受話器から伝わってきた。
「ちょっ、ちょっと待って! 家内と相談して、かけなおすから」

一時間以上待たされた。
だが、ノリ弁を食う余裕が、時間的にも精神的にも、なかった。
だから、発泡酒を飲んだ。
つまみは、ない。
ただ、ひたすら飲んだ。

4本目を飲み終えたとき、iPhoneが音を奏でた。

「とりあえず、今日、親を引き取りに行くから」
神妙なトーンの次男の声が聞こえた。
長男よりは、まともに育ったようである。

しかし、彼はすぐに、こんなことを言うのだ。
「いま、すぐに入れる老人ホームを探している。そうすれば、あんたたちには、迷惑かけないだろ」

老人ホーム?
なんで?

5LDKの自慢の家には、自分の母親の居場所は、ないのか。
なんで、すぐに老人ホームって話になるんだ。
要するに、面倒見る気は、まったくないってことなのか。

「面倒は見るさ。こっちが老人ホームの金を払うんだからね。
ボケてるんだから、老人ホームの方がいいだろ」

一緒に暮らしてもいないのに、なぜボケてると言いきれるんだ。

「だって、ボケてるから、あんたに迷惑かけたんだろ。お荷物だから、放り投げたいんだろ」

・・・・・・・・・・。

私は、ホトケ。
我慢、我慢。

あんた、俺にボケてる人間を押しつけたのか! お荷物を押しつけたのか! ボケたから放り出したいのか!

怒り狂って、阿修羅になる未熟な男。
またまた、相手の思う壺。

家に戻って、我が家恒例の「サンデーカレー」を作った。
今回は、ブロッコリーとナス、枝豆を入れた甘口カレーである。

「やっぱ、サンデーは、カレーだぜ。これを食わなきゃ、日曜日じゃないぜ」
娘が、2杯目をおかわりした。
息子は、3杯目。

異星人だけは、カレー雑炊。

目は、「天地人」に釘付けのようだ。

その姿を見て思った。

この家出。
はたして意味があったのか?


2009/09/22 AM 07:28:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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