Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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どうなっちまうんだろう?
以前、ここに書いたと思うのだが、その古本屋さんの話をしたいと思う。

その古書店主とは、8年から9年の付き合いになる。
古書店主が、昔インディーズ系のバンド(ヘビメタ)をしていたときに、ジャケットのデザインやライブのチラシなどのデザインをした関係で、彼がヘビメタをやめて古書店主になってからも、数回話をする機会があった。

ただ、親友というほどの間柄ではない。
何となくお互いの仕事に興味があって、話をするという薄い関係だった。

その古書店主が2年前、「古本屋、閉めようかな。もうかんねえし」と言ったのである。

私は、古本屋さんが、儲かる職業かどうかは、まったく知らない。
ただ、いかにも古本屋という、かび臭く埃くさい店を見回して、「店を閉める前に、少し工夫してみたらどうかな」と、無責任に提案してみた。

本を店内にギュウギュウに詰め込むのはやめて、本当に売りたい本だけを陳列したらどうだろうか。
本の山の間を客が窮屈そうに通る「いかにもな」古本屋は、流行らないのではないか。

さらに、店主の個性を出した陳列にこだわって、店としての空間にもこだわれば、古本屋らしくなくなっていいんじゃないか。

そんな無責任な私の提案に、古書店主は、大きくうなずいて、「ああ、やってみようかなぁ〜!」とヘビメタ調で叫んだ。

店内に陳列する本は、音楽関係、美術本関係、デザイン関係、童話、絵本関係に絞り、店内の僅かなスペースに、売れ筋の本を少しだけ並べた。
そして、店の隅にデッド・スペース(無駄な空間)を設けて、観葉植物を置いたり、子供用の椅子を置いたりした。

店の前は、客でもない人が置いていった自転車が大きく占領していたが、自転車をシャットアウトして、そこに平台を置き、毎日違う本を平台の上に載せて、陳列した。
ここには、店主が店のイメージをアピールする本を20冊程度、毎日、日替わりで並べた。
それは、価格が500円から1500円程度のもので、値段が一目でわかるように、朱文字で大きく書いておいた。

そして、店内のBOSEのスピーカーから流れるのは、ヘビメタ。
その変わりようは、見事なものである。

効果は、すぐに現れて、店内の陳列本の数は、6分の1に減ったにもかかわらず、売り上げは、2割から3割増えた。

めでたし、めでたしである。

しかし、古書店主は、先日浮かぬ顔で、こう言うのだ。
「去年の夏までは、平穏無事だったよ。でも、秋から、変わっちまったんだ、Mさん」

何が?

「店の外に陳列してある本が、いつの間にか消失してるんだよ。そういうことは、それ以前にも何度かはあったが、それほど目立った数じゃなかった。でも、去年の秋以降は、その数が、多くなった」

損害額は、全体の売り上げの2パーセントから3パーセントだから、監視の目を強化するつもりはないと言う。
ただ、不届きものを見つけたら、「しかるべき処置はとる」つもりだと、古書店主は、物憂げに言った。

そして、古書店主は、こうも言うのだ。
「やっぱり、昨年の秋から目立ってきたんだが、40代、50代の人が本を売りに来る回数が増えたね。その中には、明らかに新品と思われるものが、あるんですよ。これは、一体何なんだろうね、Mさん」

強烈なヘビメタを背に聞いて、古書店主は、さらに憂い顔でため息をつく。
「俺の45年の人生の中で、ある時期を境にして、こんなにも劇的に世相が変わったのは、初めてですよ。Mさん、ほんとうに、これは、何なんだろうね。日本は、どうなっちまうんだろう」

そうですね、何なんでしょうね。

本当に、日本はどうなっちまうんだろう?



2009/04/30 AM 11:31:54 | Comment(2) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

全裸で百メートル
体調は・・・・・まあまあです。

ただ、病気自慢を綴っても、書くほうも楽しくないので、これから先、病気の話は封印させていただきます。

もし、このブログの更新が突然途絶えたら、黄泉(よみ)の国から、お迎えが来たと思ってください(悪い冗談?)。

話は急に変わります。
大学時代のことを書こうと思う。

友人に、出目(デメ)という男がいた。
別に目が飛び出しているわけではなく、顔の中で目の占める割合がずば抜けているので、皆がそう呼んでいたのである。

アンバランスな顔の持ち主だが、性格はいい。
真っ直ぐな性格で、他人の悪口は言わないし、大ぼらも吹かない、いたってまじめな男だった。

そのデメが、恋をした。

相手は、明るくて、周りに幸せな雰囲気を振りまく、現在で言えば、タレントのベッキーのような子だった。

デメは、一途だ。
「俺、彼女に告白する」と、我々に向かって宣言した。

皆が、「やめといたほうが」と言ったが、デメのストレートを誰も打ち返すことはできない。
そこで、我ら友だち7人は、デメを応援することにした。

ただ、応援はしたが、賭けもした。

6人が「ふられる」方に賭け、1人が「成功」に賭けた。

その一人が、私だった。
可能性は、1パーセントもなかったが、デメの心意気に敬意を表したのである。

「賭け」、と言っても、金銭・物品を賭けたわけではない。
負けたほうに、罰ゲームが科されるだけだ。

次の日、デメの勇気ある告白の舞台は、「ゴメンナサイ」の一言で、幕を閉じた。

残ったのは、罰ゲーム。

季節は、夏。6月の終わり。
場所は、代々木公園。
時間は、午後6時。

午後6時の代々木公園は、あふれるというほどではないが、人の往来が賑やかである。

代々木公園内を、全裸で百メートル走れ!

想像してください。
百メートルは、結構長いですぞ。
しかも、有名な公園。
カップルもウジャウジャいる。

そこを全裸で、百メートル全力疾走。

馬鹿じゃないの!

しかし、約束は、約束である。

賑やかな代々木公園ではあるが、人のいないところも、それなりにある。
走る場所は、私が決めていいことになっていたので、人のいそうにない場所を探して、公園をうろついた。

「早く走って、宴会に行こうぜ。俺たち、のど渇いてるんだからさァ」
6人のアホが、さえずる。

てめえら! 叩っ切ってやる!

怒りと羞恥で、思考能力がゼロに落ちかけたとき、うまい具合に、人通りの少ない場所を見つけ、木陰でストリップ。

そして、ヤケクソになって走り出した。

全裸ですよ、全裸!
何も身に着けていません。
ただ、右手には、バスタオルを持っていましたがね。

10数秒で走り終わり、バスタオルを腰に巻いて、また木陰に戻って、着衣。

心臓バクバクですよ。

人通りは、少ないとはいいながら、ゼロではない。
遠くに「えー!」という叫び声をあげる集団がいた。

見られていたのだ。

恥ずかしい。
そして、羞恥にまみれた私の横で、デメが「ごめんよ、ごめんよ」とうなだれていた。

デメは、悪くない。
彼は、勇気ある男である。それは、讃えてやるべきだ。
だから私は、デメの横っ面を優しく張り飛ばした。

その後開いた宴会は、私の行動を讃える言葉であふれていた。

「まさか、本当に走るとは思わなかったね」
「マツは、恥というものを知らないのかね」
「スッポンポンだよ、ありえねえ!」
「馬鹿じゃないの!」

そんな私への賞賛の声を聞きながら、またデメがうなだれる。
「ごめんよ、ごめんよ」

だから私は、また彼の横っ面を、さっきよりもっと優しく張り倒した。


公然わいせつ罪。

明るい公園を全裸で百メートル走った男は、捕まらなかった。

つまり、公然わいせつ罪って何?

私は、法学部を出ているが、勉強不足なのか、その意味がまったくわからない。

なぜ、彼は、つかまったのか・・・・・・?




2009/04/28 PM 01:09:01 | Comment(3) | TrackBack(0) | [日記]

枯れ木にiPhone
退院を報告すると、色々な人から温かい内容のメールが返ってきた。

迷惑をかけたのは、こちらなのに、実にありがたいことである。

自分の体をも、まともに管理できない半人前は、ただ恐縮するばかりです。
重ねて、お詫び申し上げます。

ご迷惑をおかけして、まことにもって、申し訳ござらん。

話し変わって、いまだに電話が繋がらない。
私は、この症状は、ここ数日のことだとばかり思っていたのだが、得意先の人に聞くと、一ヶ月前から、たまに繋がらないことがあったらしい。

繋がることもあったが、繋がらないこともあった。
しかし、今は完全不通。
ただ、インターネットは使える。

この状態をそのまま電話会社に説明すると、「さあ、見てみないと何とも言えませんね」と、マニュアル通りのお返事が返ってきた。

この症状だと、どれくらいで直せるもんですかね?

「さあ、それも見てみないと何とも言えませんね。一日で直ることもありますし、それ以上かかることもあるでしょう」
まるで、白痴的な政治家の答弁を聞いているようだ。

直しに来てくれる日にちさえ、すぐ答えてくれないので、「ご苦労さんでした」と言って、電話を切った。

自己都合だけを言うようだが、こちらは来週早々に依頼されたホームページをアップしなければいけないのだ。
あんたらの悠長な会話に付き合っている暇はない。

電話なんか通じなくたって、いいもん!

そう拗ねていると、中学2年の娘が苦笑しながらこう言う。
「いい加減、意地を張らないで、おまえも携帯を持てよ」

2年半ぶりの携帯電話?

んーーーーーーーーーーん。

ムムムムムムムムムム・・・・。


首を60度曲げて考えていると、ちょうどその時、テレビに映るは、iPhoneのCM。

カッコイイ!

んーーーーーーーーーーん。

ムムムムムムムムムム・・・・。

しかし、その姿を見ていた娘が、強烈な毒を吐く。
「あのなあ、その枯れ木みたいな生き物にiPhoneが似合うと思うか?」

枯れ木に、iPhoneを咲かせましょう。

「おまえに灰をまいても、絶対に花は咲かない。むしろ朽ち果てるだけだ」

朽ち果てた木に、iPhone。

「無理ムリ!」

そうか、枯れ木は、iPhoneの夢を見ることさえ許されないのか。

「夢を見るくらいならいいがね」

夢で終わるか、iPhone。
ハァーーーー。

ため息をつく枯れ木。

iPhone・・・・・欲しい(小声)。



2009/04/23 PM 01:24:29 | Comment(2) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

退院はしたが、電話が通じない
おかげさまで、退院してまいりました。

17日に、京橋のウチダ氏に誘われて、居酒屋天狗で、中ジョッキを飲み、「ゆでぎょうざ」と「ジャンボしゅうまい」を食った。

「刺身の盛り合わせ、食おうぜ」と、ウチダ氏は、しきりに言ったが、火の通ったものの方が消化がいいだろうと思ったから、我がままを通した。
ウチダ氏、おごってくれたのに、申し訳ない。

病院からは外出許可をもらっていたので、堂々と帰ればいいはずだが、なぜかコッソリと泥棒さんのように忍んで病室に入った。

しかし、待ち伏せしていた看護士さんに、「お酒、飲みましたね」と看破された。
それがあったせいなのか、翌日、苦悩の太宰治似の医師から、「月曜日退院」と、冷酷に宣告された。

そして、昨日の朝、帰還した。

家には誰もいない。
子どもたちは学校。
ヨメは、花屋のパート。
義母は、出火のショックから、まだ立ち直れずに、入院中。

ガラ〜〜ン。
シ〜〜〜ン。

しかし、私は寂しくはない。
なぜなら、仕事が待っていたから。

ドラッグストアのチラシの初稿を2時間で仕上げ、PDFにして、得意先にメールで送った。
紳士服店のセールのハガキのデザインを2パターン考えて、B4の紙に2面プリントして、バイク便で送った。

久しぶりに、一気に仕事をしたので疲れた。

疲れたときは、発泡酒(金麦)。

まるで、初めてビールを飲んだ小学4年生のときのように、小さな罪悪感と揺れる期待感を抱きながら、恐々と飲んだ。

うまい!

胃に違和感はない。
そこで、もう1本。

ただ、胃に負担をかけないために、ベビーチーズをかじりながら飲んだ。
退院早々、無茶はいけませんからね。

次に、入院中お世話になった人たちに、電話でお礼を言おうと、受話器をとった。
しかし、受話器から、機械音が聞こえてこない。
カチャカチャとあちこちをいじってみたが、電話は職場放棄の姿勢を崩さない。

まさか、またヨメが、料金を支払うのを忘れたか。

以前は、水道を止められたことがあった。
ガスも止められたことがあった。

「口座に残高がなかったから、引き落とされなかったみたい。振込書送ってきたらしいんだけど、なくしちゃったのォ」

他人のミスには、容赦ないヨメではあるが、自分のミスは、たった2行で笑って済ませる。

今回もそれか?

しかし、インターネットもメールも使えるぞ。
インターネットが使えるということは、回線を切られたわけではないだろう。

電話機が、壊れた?

そこで、ストックしてあった予備の電話機を繋げてみたが、やはり反応しない。

なぜ?

退院早々、トラブルかよ!

ああ、面倒くせえ!

とりあえず、メールでお礼を言っておいて、あとはどうとでもなれだ!
電話が壊れたって、別に死ぬわけじゃない。

気が向いたら、電話局に問い合わせてみよう。

ということで、本日も電話が壊れたまま、お仕事をしております。
ヨメも子どもたちも、自分用の携帯電話を持っているから、電話が繋がらなくても、支障はないようだ。

私ひとり、携帯電話を持っていないが、まあ、メールというものがありますからね。
とりあえず、不便はしておりません。

不便を楽しむゆとりができた分、入院は、私のためになったのではないかと、前向きに考えております。

発泡酒とベビーチーズの相性もいいし、今のところ、ほかに不足はないようだ。



2009/04/21 AM 11:31:47 | Comment(5) | TrackBack(0) | [日記]

入院日記 その3
長い長い入院生活。

普通、この程度の病状だったら、今時の病院は、「はい! 自宅療養お願いね」と、4〜5日で追い出すのではないだろうか。

いくら、気管支炎と胃潰瘍を併発したとはいえ、12日間の入院は長すぎる。

ただ、たまに38度以上の高熱が出るのが気になる。
今週は、月曜日と水曜日に高熱が出た。
そして、体重。

入院3日目に、体重が一時的に50キロを割った。
病院のシャワールームで、おのれの肉体をはじめて見たとき、寒気がした。吐き気さえ、もよおした。

あばら骨を伝い落ちる、シャワーの水滴の、なんと醜いこと!

オエー!

「高熱も気になるし、体重が元に戻らないのも、気に入りませんね」
太宰治に似た医師は、不機嫌な顔で、カルテを見つめた。

沈黙。

そして、「もう少し、Mさんには、我慢してもらいましょうかね」と言って、白衣を翻して立ち去る苦悩の太宰治。

かっこいいぞ、走れエロス!

さて、床の上には、紙袋が無雑作に置いてあって、その中には3種類の酒が入っている。

先日、ススキダ夫人が持ってきてくれたワイルドターキーのミニボトル。
そして、WEBデザイナーのタカダ(通称ダルマ)が、昨日置いていった、「いいちこ」のポケットボトル。
やはり昨日、得意先のフクシマさんが、「Mさん、退屈でしょうから、クゥーッとやっちゃってください」と置いていったフォア・ローゼスのミニボトル。

彼らのイメージでは、私は入院中でも構わずに酒をかっ食らう豪快な男に映っているのかもしれない。

しかし、現実は、3本ともキャップを開けて、それを口元まで運んでみたが、体が完全拒絶。
まったく飲みたいという気が起きないのである。

今週の火曜日には、外出許可をもらって、仕事の打ち合わせに行った。
打ち合わせの帰りに、パンのいい匂いがしたので、カフェテラスに寄って、大き目のクロワッサンにハムとチーズを挟んだものを注文した。

注文したときは、「うまそうだな、早く食いたいな」と思ったが、実際食べ始めると、半分も食べられなかった。
胃が、受け付けないのである。

もったいないので、紙ナプキンにくるんで持ち帰り、夜食として食ったのだが、健康なときなら2〜3分で食えるものが、30分以上かかってしまった。

病気って、堪えますね。

今日の夜も外出許可をもらっている。
入院する前から約束していた仕事の関係で、居酒屋天狗で飯を食うためである。

友人の京橋のウチダ氏が、6月始めオープンの居酒屋のプロデュースを頼まれたのだ。
そのメニューのデザインを私がするのだが、とりあえず居酒屋の雰囲気を二人で肌で感じようということになった。

「Mさん、入院中だろ。またの機会にしたほうがいいんじゃないかい?」とウチダ氏は言うが、別に酒を飲まなくても、料理を馬鹿食いしなくても、雰囲気だけ味わえればいい。
飲まなくっても食わなくっても、居酒屋を感じることが大事なんだ。

「しかし、ビールくらいは、飲むつもりだろ?」
まあ、そうだね。ビールくらいだったらね。
「ピザも、いっちまうんじゃないかい?」
ああ、ピザかぁ。いいねえ。それくらいは食ってもいいかな。
「刺身の盛り合わせ、おごるけど、どうだい?」
おお! 刺身の盛り合わせ! それは、なんと豪華な!

果たして、私は今日、これらを無事食うことができるでしょうか。

「まあ、一足早い快気祝いだな。バーッといこうじゃないか!」

ウチダ氏は・・・・・、悪い人だ。


2009/04/17 PM 01:03:59 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]

入院日記 その2
思いのほか、入院が長引いている。

血液検査などの結果を提示しながら、医師が言う。
「疲労の回復が遅いようです。だから、しばらく入院したほうがいいでしょう。いま退院したら、今度はもっと衰弱して舞い戻ってくる可能性があります。もう少し、もう少しですね・・・」

しかし、先日外出許可をもらって、得意先に打ち合わせに行ったとき、駅の階段を2段飛ばしで駆けても、息切れはしませんでしたよ。

私がそう言うと、医師はしばらく無言でカルテを見詰めていたが、しばらくすると大きなため息をつき、無精ひげをさすりながら、言葉を投げ出したのだ。

「体力があることと、健康であることは、同義語ではない!」
そう言って、医師は、席を立った。

怒ったようである。

その日の午後3時過ぎ。
友人のコピーライターの奥さんが、一人で見舞いに来てくれた。
彼女の夫は、極道顔で、性格も極道だが、彼女は、穏やかで常識的な元ナースだった。

「体力自慢のMさんは、いつも勘違いをしています」と、その元ナースが言う。
「人間の体に限界はありますか? ありませんか?」

あると思いますが・・・・・。

「Mさんは、言葉ではそう言っても、頭の中では、いつも『俺だったら、これくらいは大丈夫』って、思ってるんですよ。今回のことは、それが積み重なって必然的に出てきたことなんです。体は正直なんですよ」

そして、力強い真ん丸目で、私の目の奥に焦点を据えながら、こう言うのだ。

「Mさんは、体力がある。でも、健康じゃなかった。もっと向こう側にあると思っていた限界が、『すぐそこ』にあった。その現実を見つめないと、きっとまた同じことが起こります」

わかりました。
医者が言うよりも、それは、私の心に直に響きました。
目が覚めました。
ありがとうございました。

話は変わりますが、ススキダに電話で頼んだ、「アレ」は?

酒がねえと、やってられないんだよ! 何でもいいから、酒を差し入れに持って来いや! いや、バーボンがいいな。喉が焼けて、体が生き返るやつを持ってきやがれ!(アル中か)

ススキダ夫人は、いつものように心からの笑みを浮かべて、バッグから小さな紙袋を取り出して、それをベッド脇のテーブルにおいた。

「ワイルドターキーのミニボトル。ススキダからです。いま、飲んでみますか」

ありがたい。
さっそく、取り出して、キャップをまわし、匂いをかぐ。
飲もうと口を近づけたが、・・・・・・・体が、意外にも拒否反応。
すぐに、キャップを閉めた。

ススキダ夫人が、微笑んでいる。
つまり、体が受け付けないことを承知で、彼女は持ってきたのだろう。

おのれの現実を直視せよ・・・、と。
わかりました。
現実を直視します。

子供たちは、毎日病室に顔を出す。
入院初日、私の顔を窺いながら、娘が小さな画用紙に、「20」という数字を書いた。

それは、なに?

「おまえの、顔の回復力だな。今は、ひでえ顔をしている。人間の顔じゃない。本当は『20』以下だが、今日は、おまけだ」

その日以来、少しずつ数値は上がり、昨日やっと60になった。
しかし、100には、まだまだ遠い。

「いや、100はないよ。だってアタシは、おまえの完全に元気な顔を一度も見たことがない。いつも疲れていたからな。だから、合格点は70だとおもっている。70で、人間復活だ」

そうか、そんなふうに私を見ていたのか。

しかし、これは、私だけではないのかもしれない。
働く人はみな、いつも疲れていて、ひとに100パーセントの元気顔を見せられる人は、少ないのではないか。

疲れた現代の「はたらきびと」の皆さん。
くれぐれも私のようにならないように、お気をつけください。


2009/04/14 AM 10:52:54 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]

入院日記 その1
ただいま、入院中。

先週の金曜日。
前々日からの不調を引きずるように、内臓の中に毒蛇でも飼っているような不快感を持ちながら仕事をこなした。

ドラッグストアのチラシを一気に校了。
そして、工務店の内覧会のチラシも、夜までに仕上げた。

働いてるうちは、緊張感があって、体はシャンとしているから、家族のメシも作ることができた。

しかし、次の土曜日は、朝から悲惨だった。
内臓の毒蛇は大きくなっていたし、喉は、まるでピラニアが食いついたように強烈に痛んだ。
いつもなら15分程度でチャチャッと作ってしまう朝メシの支度に、1時間以上もかかった。

このとき、一番早く私の異変に気がついたのは、娘である。
「おい、顔が悪いな。病んでるんじゃないか?」

ヤンデル、ヤンデル、ヤンデルタール人。
「バカ!」

その後、昼メシの催促に仕事場に顔を出した息子が、私のヤンデルタール姿を見て、ボー然と立ち尽くした。
「だ、大丈夫?」

ダイジョブ、ダイジョブゥ〜〜。
「・・・・・・・」

次の日の朝、喉をピラニアに食いちぎられ、内臓を毒蛇にかき回されて、のた打ち回る一人の哀れな男がいた。

その姿を見て、全方位的に無頓着な我がヨメも、事態の深刻さに気づき、タクシーを呼んで、私を病院に連行した。

診断。
急性気管支炎、と急性胃潰瘍。

それを聞いて、急性胃潰瘍というのは、もしかしたら、あのイチローと一緒か、と思った。
つまり、俺も、メジャー級。

と、浮かれていた私を奈落の底に突き落としたのは、医師の次の言葉だった。
「栄養不良だね。まあ、栄養失調とまでは言えないかな・・・」

エイヨーシッチョウ?!

2009年、この飽食の時代に、いい大人が栄養失調一歩手前?
あのー、すみません。ちょっと、言っている意味がわからないんですが・・・。

「後で、看護士に聞いて」
なんて冷たい野郎なんだ!

メシが食えるようになるまで、ずっと点滴ですって。
「この1週間、何を食べましたか」と看護士に聞かれた。

たこ焼きとトマトジュース、時々発泡酒、と答えたら、失笑はしなかったが、無言で人の顔を見つめやがった。

さらに「退院する前に、食事療法を教えますから」と冷たい顔で言われた。
やさしい白衣の天使は、どこへ行った?

このブログは、友人のテクニカルイラストの達人・通称「アホのイナバ」に借りたMacBookで打っている。

イナバくん。
入院費用を貸していただき、さらにノートパソコンまでくれるなんて、君は大きく成長したねえ。

「Mさん。一箇所、完全に間違っていますよ。ノートパソコンは、貸すんです! あげたんじゃありませんから!」

まあ、どうでもいいことだ。

「でも、Mさん、本当にやつれましたね。体重相当落ちたでしょ?」

入院したその日に、体重と身長を計ってくれた。
体重は、51.5キロ。まさか、そこまで落ちてるとは、思わなかったね。
人生は、何が起きるかわからないもんだ。

そして、身長は、180.1センチ。
年をとって縮んだと思っていた身長が、また元に戻ったんだよ。
本当に、人生は、何が起きるかわからないね。

だから、イナバくん。
このノートパソコンも、何が起きるかわからないと思っておいたほうがいいよ。

イラストの達人は、苦笑いするだけだった。

さて、冗談は、イナバの顔だけにしておいて、これからの私は、一体どうなるのでしょうか。

それは、イチローが9年連続200本安打を打てるか、という深遠なテーマと同じように、判断しがたいものだ(?)。

椎名林檎の「葬列」をiPodで聞きながら、私は、退院したら絶対「卵がけご飯」を腹いっぱい食ってやると、いま壮大な夢を持っているところである。


2009/04/08 PM 01:12:55 | Comment(3) | TrackBack(0) | [日記]

38度8分は高熱か
まさか自分が、こんなにも鈍感だとは思わなかった。

高熱があったのに、気が付かなかっただなんて・・・。

昨日、ブログをアップしてから、得意先に打ち合わせに行った。
午後4時。
場所は、ドラッグストアのチェーン店だ。

今では、月のレギュラーは、ここ1本になってしまった。
月に1〜2回、定期的に仕事を出してくれるお得意様。
付き合いが長いので、打ち合わせはいつも段取りよく終わる。

その週の特売品をメインに、後は少しずつ商品や価格を変えていくだけだから、細かく打ち合わせをすることもない。
それに、ここの担当者は、校了寸前に価格が変わったときなどは、自分で印刷会社のオペレーターと交渉してくれるから、なおさら楽である。

私は、いいお得意様を持った。感謝、感謝・・・・・。

しかし、腰から下が震えるのは、何故?
お客様への、感謝のせいか?
それとも、地震?
いや、キャビネットの上の花瓶は揺れていないから、地震ではなさそうだ。
しかし、下半身の震えが止まらないぞ。

両手で膝を押さえてみたが、その両手が異様に冷たくて、力が入らない。
打ち合わせが終わったのだから、早く席を立たなくちゃ。

気持ちは焦るのだが、震えが肩までのぼってきて、自分の体をコントロールできない。
そして、右から左に黒い幕を引いたように、一瞬視界が突然暗くなった。

目を閉じてまた開けると、視界は復活。
しかし、脳が冷える。
額が痺れる。
背中の筋肉が、勝手に震えている。

立たなくちゃ。

右足の腿に意識を集中させて、立とうと思った。
腿に力は、入ったようである。

しかし、私の意識は、そこで途切れた。
意識が戻ったときは、私は担架に乗せられて、救急車の中にいた。

え? 何これ!?
オレ、倒れた?
まさか?

エーーーーーーーーーーー!

パニックになりそうになったが、ここは寝ちまったほうがいいんじゃないか。
二度と目覚めることはないかもしれないが、まあ、そんな人生もいいだろう(?)。

次に目覚めたとき、目の前に、得意先の担当者の驚いたような顔が、111センチ先にあった。

「ああ! よかった! 気がつきましたね」
付き添ってくれていたようである。
いい人だ。スズキさん、ありがとう。

それから、診察。
「高熱による脱水症状です」

え? しかし、熱の自覚はなかったですよ。それに、水分は、トマトジュースをかなり大量に飲みましたが・・・・・。

「38度8分の高熱に気がつかなかった?」(アホじゃないの?)

アホかもしれない。
38.8℃か。
確かに、高熱。
確実に、AHO。

点滴が終わるまで待ってくれたスズキさんが、車で家まで送ってくれた。
スズキさん、ご迷惑をおかけしました。

家に帰ったのが、7時半過ぎ。
家族に、冷凍してあったシチューを温めて出し、ついでにバジリコ・スパゲッティを作って食わせた。

そして、私は寝た。

今日の午前中は、古本屋の知人が相談があるというので、赤羽まで行ってきた(何となく釈然としない話なので、このときの相談事に関しては、いつか書こうと思っている)。
お昼にカツ丼を奢るといわれたが、辞退して、3時前に帰ってきた。

熱は下がったが、食欲はない。
昨日の夕方から、腹に入れたのは、トマトジュースだけだ。

時々、意識が飛びそうになる。
午後4時54分。

なんか・・・疲れた・・・。

だから、今日は、これから寝ようと思う。

おやすみなさい。




2009/04/02 PM 04:54:17 | Comment(5) | TrackBack(0) | [日記]

たこ焼きが美味く感じる日
ウィークリーマンション生活から、やっと脱出した。

しかし、問題点は、いまだ多い。

まず、団地保険が、まだ下りない点が困る。
最初の担当者の話では、4月1日ということだったが、昨日突然電話がかかってきて、「書類上の問題で、あと4日延びます」と言われた。

書類上の問題って何?
「書類の不備がありまして」
俺は、言われたとおりのものを出したぞ。
「ええ、しかし、ちょっと書類上で・・・・・」

ようするに、あんたが段取りをミスったんだな!

普通の人だったら、強く談判するところだろうが、他人のミスに寛大な私は、「まあ、これから気をつけるんだね」で済ませた。

しかし、ヨメは、他人のミスには容赦がない人だ。
「高い保険料払ってんだゾー! フザケンナ!
私から受話器を取り上げて怒鳴るが、保険屋さんは、謝るのもうまいようで、20分粘ったあげく、最後は丸め込まれていた。

正直、団地保険をあてにしたていたところもあったので、夫婦してガッカリ、声もなし。
月末に得意先から入金はあったが、滞っていた家賃を払ったら、いくらも残らなかった。

電話の調子がおかしいのも困る。
何度もブレーカーが落ちたせいなのか、電話機本体でしか電話が受けられず、子機がまったく役に立たないのだ。

そして、たまにインターネットの接続も怪しくなる。
完全に読み込まないうちに、ブラウザが勝手に終了してしまう現象が続いているのだ。
メールも添付書類を読み込まないときがある。

電話会社に問い合わせしているが、相変わらず、シロートが多いようで、現状理解能力がない電話のオペレーターのところで止まってしまうのである。

電話会社さん。
もっとオペレーターを鍛えてください。

ほとんど鬱になりながら、一昨日、義母の本来の住居である三鷹のマンションに、空気の入れ替えにいってきた。
マンションに限らず、住まいは、人が住んでいないと傷むのが早い。
だから、最低限、空気の入れ替えくらいはしておいたほうがいい。

4ヶ月前までは、部屋は散らかり放題だったが、3回の訪問でそれなりに綺麗になった。
だから、今回は、20分程度窓を開けるだけにした。

義母の生活の場に、長くいても嬉しくないので、今回はすぐに部屋を出た。
そして、行ったのは近所の野川公園

桜が咲いていることを期待して行ったのだが、そもそも桜そのものが少ないし、桜もほとんど咲いていなかった。
しかし、それでも何故か花見のグループは、いる。
私が、腰を下ろした広場には5組いて、最大は8名のグループだった。

当然のことながら、酒を飲んでいる。
弁当も食っている。
そして、お菓子なども食っている。

しかし、私は何も持ってこなかった。
今日は、ただなんとなく、自然に身を任せてみたかっただけだから・・・(似合わない?)。

芝生の緑と、小さく曲がりくねった川、小さな土手、武蔵野の樹林。
どれもが、私の痛んだ心を、やさしく包み込むように癒してくれる(詩人だねぇ)。

大きく息を吸うと、木々が発散する命の粒子が、私の全身にしみ込んでくる。

自然が、私を否応なしに、無の境地に誘い込む。

そんなとき、
「ああ、これ」
レジ袋を私にさし出しながら、かがみこむ男の顔が目の前に突き出された。

レジ袋には、缶ビールが2本と、たこ焼き、焼き鳥が入っていた。

「たくさん持ってきたんだけど、食いきれないから、もらってくれない?」

もちろん、もらいます!

私が答えると、俳優の温水洋一と漫画のダメ親父を足したような男が、「エヘヘ」と笑いながら、何度もうなずいていた。

立ち上がって、頭を下げたが、ダメ温水は、もう目の前にはいなくて、全員でシートを片付けているところだった。

アクシデントだらけの日常ではあるが、いいこともある。

たこ焼きが、野川公園の風景に合うかどうかなど、どうでもいいことだ。
そのたこ焼きは、今まで食った中では一番うまく感じて、私のランキングの中で、「たこ焼きの順位」は、確実に15ポイントくらい上がった。

たこ焼き、たこ焼き、たこ焼き。
このブログを書きながら、私はいま、たこ焼きを食っている。

止まらない。




2009/04/01 PM 02:51:17 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]



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