Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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野菜ジュースとストレスの関係
WBC、2連覇おめでとうございます。

イチローの決勝打。
試合を決めるヒットを打っても、無表情で2塁ベースにいるイチローの姿をみて、「カッコイイ!」と思った。

たいして重要ではない場面で打ったり勝ったりしても、ガッツポーズをする「軽さ」に辟易していた私としては、その姿に「品格」さえ感じた。

「品格」と言えば、ボヤキ老人。
ボヤキ老人が、WBC日本代表捕手の城島に対して「品格がない」と言っていたのをネットで見た。

彼の現役時代、バッターボックスに立つ打者に対して、あることないこと囁き続けた「ぼやきびと」に、果たして「品格」はあるのか。

今回のMVPは松坂でしたが、私の中では「世界一の投手陣」をリードした城島をMVPに推します。
彼は、おそらくオールスターでしか球を受けたことのないであろう投手の特徴をよくつかんで、完璧に近いリードをしたと思います。
それは、「品格」以上に、プロとして際立っていたと思います。

そんなWBCの連覇を見ながら、発泡酒で祝杯。
そして、発泡酒をトマトジュースで割って、祝杯。

最近、私はトマトジュースなしでは生きていけない体質になってしまったようだ。

なぜだろう?
思い当たるフシはまったくないのだが、とにかく体がトマトジュースを求めてしまうのである。

もちろん、こんなことは今まで一度もなかった。
トマトジュースは嫌いではないが、特別好きという存在でもなかった。
コーヒーと同じレベルの飲み物だったのだ。

しかし、今は、トマトジュースなしでは生きていけない。
色々調査してみて、ディスカウントスーパーのロジャースが一番安いということがわかって、900ミリリットルのペットボトルを大量に買いだめをした。

外出先でも、バッグにペットボトルのトマトジュースを入れて、のどが渇いたら、それを飲む。
先日、駅のホームでラッパ飲みしていたら、70歳くらいのご婦人に30秒以上凝視された。

私ノ長イ人生デ、トマトジュースヲ駅デラッパ飲ミスル人ニ、初メテ出会ッタ!

トマトジュースを飲む。
発泡酒も飲む。
ほぼ、半々の割合だ。

半々なら、混ぜちまえばどうだろかい!

そう思って、発泡酒とトマトジュースを混ぜてみた。
それが、結構イケルのである。
レモンを絞って入れると、味が締まって、さらによし!

トマトジュースとビールのカクテルを「レッドアイ」と言うらしいが、私の場合は発泡酒なので、「レッドアイ〜ン」と呼んでいる(バカバカしい?)。

そして、昨日いつものようにバッグにトマトジュースを格納して、タカダ君(通称ダルマ)の仕事場に行った。

義母の入院費を一時的に肩代わりしてもらうための「陳情」に行ったのである。

新婚のダルマ。
その横には、新妻のトモちゃんがいた。

その前で私は、これ以上小さくできないというほどに体を縮ませて座っていた。
それを見たダルマが言う。

「師匠、やめてくださいよ。オレが知っている師匠と別人じゃないですか。嫌だなあ、オレ、そんな師匠の姿、見たくないですよ」
「そうですよ、Mさん。そんなに恐縮しないでください。Mさんは、私たちの仲人さんなんですから。私もそんな姿は見たくないです・・・涙」(涙のところは嘘だが)

居たたまれない私は、バッグからトマトジュースのボトルを取り出して、一気飲みした。
そして、飲み干した。

空・・・・・・・。
トマトジュースが、キレた・・・・・・・。

ガッカリ!
さらに、肩を落とす「トマトジュース依存症男」。

「ああ、師匠、トマトジュースが切れたんですね。買ってきましょうか」

いいよ・・・(肩を落としたまま呟く)

「いや、買ってきますよ。すぐそこがスーパーですから、5分もかかりませんので」

ダルマが、澱んだその場の空気から逃げるように、事務所を出て行った。
前にいるのは、幸せ満開、笑顔満点のトモちゃん。
トモちゃんは、私の気持ちを引き立てようと、色々なことを話してくれた。
まぶしいほどの笑顔つきで。

癒された。

心にわだかまっていたものが、まるで霧が晴れるように消失したような気がした。

そんな清々しい気持ちの中で、ダルマが帰ってきた。

「師匠、買って来ましたよ、トマトジュース。1本じゃ寂しいんで、3本買ってきました!」

しかし、ダルマが手にしたものは、野菜ジュース。
色は同じだが、トマトジュースと野菜ジュースは、似て非なるものである。

野菜ジュースには、トマトジュースの「純粋さ」がない。
日本代表と言いながら、ブラジル出身、アルゼンチン、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、ロシア、ウルグアイ、メキシコ、韓国出身の選手がいるサッカーチームのようなものである。

タカダ君、それ・・・・・。

「ああ、やっぱり、コップがいりますよね」

いや、そうじゃなくて、それは・・・・・。

「ああ、師匠は、このままワイルドに飲むほうが好きなんですよね?」

いや・・・・・・・。

ムムムムムムム・・・・・・。

怒りたいのだが、怒れない。

ああ! ストレスが、た・ま・る・・・・・。


2009/03/26 PM 02:11:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

代打逆転サヨナラ満塁ホームラン
ウィークリーマンション生活は、まだ続いている。

先週、電気とガスが通ったと連絡があったので、家族4人で「ワーイ!」と言いながら家に帰った。

しかし、喜んだのもつかの間、ブレーカーが頻繁に落ちる現象に遭遇。
電子レンジや掃除機、炊飯器を使うと必ず落ちるという怪奇現象(誰かの呪いか)。

そこで、再工事。そして、ウィークリーマンション生活に逆戻り。
我々が不自由するのはいいのだが、周りの人に少なからずご迷惑をかけているのが、心苦しいことだ。

我望電気生活正常復活(だぶちんさん風?)。

そんな生活の中で、入院中の義母の具合が、悪化した。
一時は、集中治療室に入るという急変ぶりだった。
しかし、今は心臓にペースメーカーを埋め込むことで、危機を回避しそうである。
ただ、高齢と糖尿病の持病という爆弾を抱えているから、予断は許さない。

先日、病院の待合室で二日続けて、寝泊りした。
本来なら、ヨメが様子を見なければいけないのだろうが、ヨメは、一度寝入ってしまったら、「石」になってしまう人なのである。
彼女は、何があっても、絶対に起きない。

昔、北海道を旅行したとき、最終日に札幌に泊まって、うまいもの食って帰ろう、と計画したことがある。
知床や層雲峡、小樽などを回って、最後は札幌の京王プラザホテルに泊まった。

3時にチェックインして、「さあ、時計台でも見て、あとはのんびり過ごすか」と私が言うと、ヨメは「ちょっと疲れたから、1時間寝かせて」と言ったのだ。
確かに、駆け足でいろいろと回ったから、疲れたかもしれない。

優しい私は「いいよ」と答えた。

しかし、ヨメはそれから寝続けたのである。
夕方になっても夜になっても、呼べど叫べど起きない。
結局、起きたのは翌日の朝7時だった。

札幌には、寝に行ったようなものである。

そんなヨメに、病院の番は任せられない。
私は、目をつぶったら、すぐに寝てしまうが、覚醒するのも早い体質を持っている。

医者向きの体をしているのかもしれない。
チーム・マツシタ(バチスタ)の栄光?・・・・・なんの関係もない。

病院で二日続けて番をすると、やつれて見えるようだ。
無精ヒゲがあるから、尚更そう見える。

「Mさん、病人みたいですよ」
そう聞かれるたびに、「ゴホッ、ゴホッ、ゲボッ!」と大げさに咳をする。
もどしそうな振りもしてみる。

すると、相手は、それ以上何も言わなくなる。
その結果、話が早く終わる。
大変都合がいい。

朝病院の待合室で、病人の振りをしてボーッとしていると、「何でWBC見せないんだよ」と、病院の事務員に食って掛かる人を何人か見かけた。

病院のテレビ放送は、なぜかNHKなんですよね。
気取ったアナウンサーとアシスタントが、差しさわりのないことを他人行儀に言いながら、番組を進行させている。
あの他人行儀さが、病人を安心させるから、NHKを選んでいるのか。

民放では、いつもどぎついことを言っているようなお笑いタレントも、NHKに出ると「他人行儀」になる。

他人行儀のNHK。

盛り上がったか、WBC。

プライベートで色々なことがありすぎて、WBCは、私には「他人事」です。

WBCより、私が今回強く感じたこと。
それは、藤原紀香。

スポーツ新聞では、毎日うるさいくらいWBCの話題が一面を大きく占領していたのに、一日だけ藤原紀香が、占領した。

「へぇ〜、藤原紀香って、そんなに大物だったんだぁ!」

そこで、藤原紀香好きの、Nアートのフジイ君に電話をしてみた。
「藤原紀香って、たいしたもんだねえ。WBCを負かすんだから」

それに対して、フジイ君は、こう言う。
「Mさん、相変わらずピントがボケていますねえ!」

見事に褒められたようだ。

褒められついでに、大胆に予測しましょう。
まだ、WBC「日本対韓国」の試合は、始まっていないようだ。

そこで、今日の決勝は、こうなる!

代打マツザカの「逆転サヨナラ満塁ホームラン」で、日本が15対12で勝つ!
(まるで、マンガ)


2009/03/24 AM 10:38:24 | Comment(4) | TrackBack(0) | [日記]

警察官と遊んでもストレスがたまる
火事で焼け出された、とブログに書いたら、いろいろな方から励ましのメッセージをいただいた。

私ごときに、ありがたいことです。

長いつきあいの尾崎や極道顔のススキダからも連絡があった。

「何で、オレを頼らないんだ?」(二人とも、顔が怖いんだよ)

お前らに頼るには、今回のことではスケールが小さすぎる。
もっとでかいアクシデントがあったら、頼ることにするよ。

「そんなアクシデントがあったら、お前はもう死んでいるんじゃないか」とススキダが言う。

何を言いますか! 私は不死身ですよ!

私は不死身だが、しかし、ストレスはたまる。
我が家の人間もストレスがたまっているようだ。
そして、彼らは、そのストレスをいろいろな方法で発散している。

息子は、カップ焼きそばを5個買ってきて、それを一気食いし、「ああ、うめえなあ! 満足した!」と言っている。

ヨメは、風呂で大きなオ○○を連発して、「ああ、すっきりしたゾイ!」と叫んだ。

娘は、友達の家で電子ドラムセットを3時間叩きまくり、「ヘン! 天才をなめんなよ!」とすごんだ。

私は、ジョギングをしたが、20キロ走って疲れ、発泡酒を飲む気力もなく、ひとり打ちひしがれた。

私だけが、ストレス発散の仕方が下手なようだ。

「俺は、不器用な男だ」という自己嫌悪に、ドップリと漬かりながら、自転車を漕いでいた。

そこへやってきたのが、パトカー1台。

「またかよ!」と思った。

自転車を盗んだと思われたのである。
私の自転車本体には、鍵がついていない。
壊れたので、取っ払ったのだ。
普段は、チェーン式の鍵を使っている。

「鍵がついていないから、それは盗難自転車に違いない」
単細胞の警官の考えることは、その程度である。

「申し訳ありませんが、少しお時間をいただけないでしょうか?」
にこやかに微笑む26歳(?)の小太りの警官。

3度目だよ!
毎回この警官だ。
わが国の警察官には、学習能力がないのか!
大丈夫か、ニッポン!

名前を聞かれ、住所を聞かれた。
そして、本部らしきところと交信をしている。

盗難自転車でないことは、すぐわかったようである。
当たり前だろ! いい加減覚えろよ。小太りクン。

このままでは、ストレス溜まりまくりになるので、私は聞かれていないことまで、警官に告げた。

生年月日と本籍地、血液型を教えた。
そして・・・・・
「大学は、○○大学法学部を優秀な成績で卒業」
「好きな食べ物は、卵がけご飯」
「好きな女優は、柴咲コウ」
「好きなアーティストは、浜田省吾」
「最近読んだ本は、大沢在昌の『天使の爪』」
「好きな言葉は『テキトー』」
「昨日は、バナナマンの日村に、溺れているところを助けられた夢を見た」
「最近凝っている飲み物は、発泡酒とトマトジュースを半々で割る『レッドアイ』」
「貯金は、限りなくゼロに近い」
「宇宙人は、いると信じている」
「幽霊も信じている」
「最近一番腹が立つことは、同じ警官に3度も自転車泥棒に間違えられたこと」

小太りクンは、それを黙って聞きながら、苦笑い。

しかし、笑ってる場合じゃ、ないんだよ!

お前は、ひとの貴重な時間を取る「時間泥棒」じゃねえか! この無能警官め!

そう言ってやったら、ストレス解消になったのだろうが、言えなかった。

だから、まだストレスが溜まっている。


2009/03/19 PM 06:59:55 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]

火事とシラガとクマ
まさか、火事で焼け出されるとは、思わなかった。

台所が焼けた。
リビングの台所側も煤けた。
台所に近い廊下も、少しだけ煤けた。

原因に関しては、詳しくは述べない。
傷つく人がいるので、「まさか」ということだけにしておく。

火事によって、電気とガスが使えなくなった。
緊急避難しなければいけないが、工事費の見積もりを聞いたら、悲しいほど手元に金が残らなくなることに気づいた。

これでは、どこにも泊まることができないゾ。

そこで、知り合いに声をかけまくって、金を借りた。
6人に、合わせて15万円を借りた。

ありがとうございます。
このご恩は、一生忘れません。

その中で、中学高校大学の陸上部で一緒だったイイヅカが、えらそうにこう言った。

「3万円借りるのに、そんなに卑屈になるなよ。もっと大金なら別だけどさ」
では、お殿様、わたくしめに、百万円を貸していただきたく存じます。
嫌だ!
薄くなった頭を張り倒そうかと思ったが、「恩人、恩人」と呟いて、グーにしたこぶしをそっと閉じた。

薄ハゲ男が、さらにこう言う。
「おまえ、白髪ふえたなあ! 半年前の5割増しだな」

フン! ハゲるよりはいいだろう(ハゲのかたを敵に回したか?)。

ということで、皆様のおかげで、ウィークリーマンションを借りることができました。
間取りは2K。
広いとは言えないが、ぜいたくを言ったら罰が当たる。

最小限の家具や、調度品が付属しているので、それほど不自由はない。
家具が少ないので、一つの部屋に一家四人が布団を三つ敷いて寝ている。
まるで、修学旅行気分だ。

私は、中学一年の娘と一緒に寝るのだが、それを見て、ヨメが娘にこんなことを言う。

「あんた、中学一年にもなって、父親と同じ布団で寝る娘なんていないよ! ああ、気持ち悪い!」
それに対して、娘。
「だって、こいつのこと、父親だと思っておらんもん!」

・・・・・・・・・・(嬉?)(悲?)

話し変わって、花粉症。
花粉は、いまだに盛大に飛び交っているようですが、私の花粉症は全快いたしました。

くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、すべてが止まった。
昨年の花粉症デビューのときも、10日前後で止まった。
今回は、2週間くらいか。

私の場合、マスク、めがねはせず、薬も飲まない。
花粉全開の中で、平気でジョギングもする。
それによって、強い免疫ができたのではないかと、素人考えで勝手に思っている。

医者に言わせたら、「それはありえない」と断言するだろう。
そもそも、それは花粉症ではなかったのではないか、という考え方もある。

まあ、いずれにしても、「花粉症のような症状」が、完全に治まったのだから、めでたいことである。

花粉症の治った私は、出火のショックで入院した義母の様子を見に、病院に行った。
見ると、待合室の8割以上の人が、マスクをしている。
それも、ほとんどが先がとがったようなマスクだ。

白いカラスの集団?

まず、ナースステーションに挨拶に行った。
1個10円のミニ饅頭の詰め合わせを持っていった(50個で525円! 安すぎる!)。

私の顔を見るなり、タレントのはしのえみに似た看護師が、こう言った。
「あら、随分、シラガ増えましたね。以前はもっと黒かったような・・・・・」

昨年義母が、この病院にインフルエンザで入院したときも彼女が担当だった。
まさか私のことを覚えているとは思わなかった。
看護師の記憶力というのは、侮れないようだ。

曖昧な笑いを返して、ナースステーションを後にした。
そして、すぐにトイレに入る。
大きな鏡がある。

見つめた。

私は、自分の姿を鏡で見る趣味がないので、数ヶ月ぶり、数年ぶり(?)に、自分の姿を確認したような気がする。

頭を見てみた。
白髪は確かに多い。
しかし、それはあまり気にならなかった。

それよりも私が気になったのは、目の周りの黒いクマだった。

パンダ?

ワォ! 俺って可愛い!(?)

つまらないオチで、申し訳ありません。




2009/03/17 AM 10:45:39 | Comment(4) | TrackBack(0) | [日記]

徹夜よりも柴咲コウ
徹夜。

月曜日、ビールの誘惑に負けて、信じられないほどの急ぎの仕事を引き受けてしまった。

「Mさん、飲んで、飲んで。ほら、飲んで、ピザ食べて。明日の午前中までに、確実に校了にならないといけない仕事なんですよ。さあ、飲んで、食べて。まあ、急ぎといっても、Mさんには、物足りないくらいの仕事ですよ、ほら、飲んで!」

桶川の得意先のフクシマさんが、3週間前に仕事を請け負って、ほかのデザイナーに出したのだが、印刷所にデータを回す前に、クライアントの気が急に変わったらしい。

「俺のところは、まったく新しいタイプの『創作居酒屋』だよ。やっぱり、こんなありきたりのチラシじゃ、アピールできねえよ」

一度はOKを出しながら、突然のNG。
デザイナーは怒って、「直しなんか、やんねえよ。フザケンナよ!」と完全拒否。

困ったフクシマさんは、3分33秒考えた。
まあ、いいや。
ヒマなやつに仕事を回せばいいだけのことだ。

あいつなら、ビールを飲ませれば、機嫌よく引き受けるだろう(意地汚いからな)。

そのあいつは、ビールに釣られて、その仕事を簡単に引き受けた。
地獄の徹夜が待っているとも知らずに・・・・・。

すかいらーくで打ち合わせをしている最中に、バッグからMac Bookを出したフクシマさんは、「じゃあ、ラフでいいですから、2パターンほど、いま考えてください」と酔っ払いに向かって言った。

酔っ払いは、言われるままに2パターンのラフを考え、胸を張った。

どんなもんだい!

フクシマさんは、無表情にMac Bookを閉じて、帰っていった。
大ジョッキをもう一杯おごってから、帰ってほしかったんだが。

家に帰って、仕事部屋の椅子で転寝をしていたら、フクシマさんから「あれじゃ、だめ。ほかの考えてください」と切迫した声で電話があった。

また2パターン考え、PDFにして、データを送った。
フクシマさんは、それをプリントして、クライアントに持って行ったらしい。

しかし、「お気に召さないようですよ」との神の声で、また一からやり直し。

この依頼人、言ってることが抽象的なんですよ。
いかにも創作料理であることがわかるようなインパクトがほしい。
他の居酒屋とは違うんだ、という強烈な差別感も欲しい。
しかし、手頃な値段で満足できる、という安心感も欲しい。

突然そんなことを言われて、「はい、できました」とご希望通りの作品を作るほど、私は才能豊かじゃない!(完璧な開き直り)

クライアントと直接話もしていないのに、数時間で、そんなものが出来上がると思うか、ええ、フクシマ!

「でも、Mさん、ビールを呷りながら、大きく頷いていましたよ。『俺ならできる』と」

・・・・・・・・・・・・。

ビールは、怖いですね。
アルコールは、人を変える。
人生を変える。
そして、睡眠時間を奪う。

夜の12時過ぎても、クライアントは、「余が考えているものではない」という王様の主張を繰り返す。

夜中の1時。
埒が明かないので、すかいらーくにクライアントを呼んで、3人で緊急会議をした(もっと早くやるべきでしたよ)。

クライアントは、40歳前の演歌歌手のような風貌の人。
つぶれた声は、ブルースを歌わせたらいいんでないかい? と思わせるくらい味わいのあるものだった。

「俺はさあ、創作にこだわってるのよ。だから、チラシも創作にこだわってよ。つまらねえ常識は、取っ払ってくんねえかな」

私は、常識人です。
頭の中は、常識で塗り固められております。
それを剥がすのは、こんな短時間では無理です。

「じゃあ、ビール、行っちゃいましょうか」
フクシマさんの言葉に、クライアントは「なぬ!」という目をしたが、私は見なかったふりをした。

大ジョッキを立て続けに2杯開けて(アル中全快)、少しずつ常識の壁が、剥がれていった。

そして、3杯目の途中で、「面倒くせえ!」という洪水が頭の真ん中に大きな渦を作って、常識の壁が剥がれた。

イラストレーターにこだわっていたからいけないんだ。
全部、フォトショップでやっちまえば、いいんじゃないか!

かなり独創的な絵を作ってクライアントに見せたら、「ああ、そんな感じ!」

これを、いじくり回すこと1時間。
「よし、それ!」と王様が納得したので、イメージ作りは完了。

あとは、作業場に戻って、文字を乗せ、案内図を乗せ、メニューを小さくのせた。
午前5時前。会社に戻ったフクシマさんに、またPDFにしたデータを送り、それをクライアントに見せに行ってもらう。

ご苦労さ〜ん、フクシマさ〜ん。

細かい直しがいくつかあって、そのたびにフクシマさんは、クライアントのところへ飛んでいった。

ご苦労さ〜ん、フクシマさ〜ん。

しかし、そんな苦労がやっと報われるときがきた。
午前10時前、無事校了。

「Mさん、やりましたね。俺もやりましたね。やっちまいましたね」

やっちまった、やっちまった。

浮かれていたが、私は、肝心なことを聞き忘れていた。
当然、デザイン料は、大特急料金を割り増ししてもいいんでしょうね。

「え? だって、それはビール代で払ったつもりなんですけど・・・」

・・・・・・・(怒!)

「嘘です、嘘。5割増しということで、手を打ってくれませんか」

打ちましょう。

そして、昨日の夜、フクシマさんが、一番絞りを1ケース持って、我が家に来た。
かれは、前代未聞のおバカとは言え、気配りだけはできる人だ。

ありがたく、いただいた。

「長いお付き合いですけど、Mさんの仕事場入るの、初めてですね」
キョロキョロと仕事場を見回すおバカ。

掃除は、それなりにしているが、雑然としているから、はじめての人には、汚く見えるのではないだろうか。
きっと、呆れているに違いない。

よくこんな汚い部屋で、生きていられるな・・・。

しかし、フクシマさんは、目のつけどころが違う。
「柴咲コウのポスター、あれ古いやつでしょ。新しいのに変えなきゃだめですよ。本当のファンならね・・・」

ああ・・・・ごもっともです・・・・・。


2009/03/12 AM 10:58:46 | Comment(7) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

我慢のあとにはカモが来る
やっと9日まで来たという感じだ。

所持金を机の上に並べてみると、6710円。
今日一日しのげば、明日には得意先からの入金がある。
ただ、家賃を払えるほどの金額ではないので、一息つくまではいかないかもしれない。
しかし、どんな金額でも、この状態のときの入金はありがたい。

本当に、ありがたい。

金欠は、子供にも気を使わせるようだ。

金曜日、中学一年の娘が、遠慮がちに言った。
「土曜日に友達とカラオケに行くんだが、心配するなよ。イッちゃんが奢ってくれるって言うから、一銭もかからないからな」

それは、まずいだろう。
カラオケでいくらかかるか知らないが、お友達に借りを作るのは良くない。
だから、「三千円出すから」と言った。

しかし、娘は大きく首を横に振って、「いいんだよ、今回はイッちゃんから言い出したことだから、アタシはゲストなんだ」と言う。
そうは言っても、やはり中学一年である。
遊びは、割り勘が望ましい。
イッちゃんは、いい子だが、これからも友だち関係を持続させたいのなら、ここは割り勘でいくべきだ。

私は、娘の前に千円札9枚と百円玉4個を置いた。
「とりあえず、これだけ持っている。パパの計算では、月曜日まで2千円程度あれば、普通に暮らしていける。だから、安心して3千円を持っていきなさい」

「いいのか」と娘。
大きくうなずくバカ親父。

そして、娘は土曜日の夕方、満足気にカラオケから帰ってくると「歌いまくったぜ、プリクラも撮ったぜ」と言いながら、1800円を自分の財布から出した。
「これだけ、余ったから返す」

いいから取っておけよ、と言おうとしたが、私に気を使っている娘の好意を素直に受けて、1800円を受け取った。

日曜日は、ヨメの誕生日。
娘と二人で、バースデーケーキを作った。
スポンジケーキ、生クリーム、イチゴ、クッキーのプレート、ロウソクを買って、私の仕事場でチャチャッと作った。
プレゼントは、折りたたみの傘だ。
これは、先月買っておいたものである。

夕食前に、ハッピバースディーをしたのだが、それを見た義母がすねた。
「私の誕生日は1月15日だったんだけどねえ」

「お母さんの誕生日には、ウナギが食べたいって言うから、特上のウナギを頼んだでしょ。プレゼントは孫が靴下。私たちは、帽子を上げたわよ」とヨメ。

「なに言ってるんだい! 靴下は、長男がくれたんだよ。帽子は、次男だったろ!」

・・・・・・・・・・(感謝もされない、空しいプレゼント)

「それに、私のときはケーキもなかった」と義母。
「お母さんが、ケーキなんかいらないって言ったんでしょ!」
ヨメがキレる。

「でも、誕生日には、やっぱりケーキだよ」と義母が駄々をこねるので、ヨメがさらにキレて、ケーキを義母の前に押しやり「好きなだけ、どうぞ!」

険悪な誕生日になった。

そんな日曜日が過ぎ、私の目の前には、6710円。

私は、その金を前にして思うのである。

もう5日間、発泡酒を飲んでいない。
我慢の限界だ。
よほどのアクシデントがない限り、今日この金額がゼロになることはないのではないか。

だから、もう飲んでもいいのでは・・・・・?

人間、我慢のしすぎは良くない。
精神や体のいろいろなところに、支障が出てくるものである。

突然、奇声を発するかもしれない
モニターに蹴りを入れて、壊してしまうかもしれない。
無言電話をかけまくるかもしれない。
遊歩道に散乱する犬の糞を、誰彼かまわず投げてしまうかもしれない。
ベランダで、平泉成の物まねを大声でしてしまうかもしれない。
ブログで、柴咲コウの新曲の宣伝をしつこくしてしまうかもしれない。

これは、かなり危険なことである。

だから・・・・・、買いに行こうか(発泡酒を)。

世の中の平穏のためにも、買いに行くべきではないのか?

世論は、それを望んでいるはずだ!

そんなアル中一歩手前の月曜日の朝。
カモがやってきた。

「Mさん、折り入って頼みたい仕事があるんですが、大急ぎの仕事なんです。物理的に無理な仕事かもしれませんが、とりあえず話を聞くだけ聞いてください。すかいらーくで打ち合わせしましょう。ビール、いくら飲んでもオーケーです」

桶川の得意先からの電話だった。

ということで、これからビールを飲みに行ってきます!
ピザも頼もうと思う!

ああ! なんというシアワセ!


2009/03/09 PM 01:00:26 | Comment(3) | TrackBack(0) | [日記]

花粉舞うとき私はエムになる
定額給付金の再議決に合わせるように、小沢一郎氏の政治家秘書を逮捕したのは、検察が自民党に貸しを作りたかったからか?
検察は、CHANGE(変革)を望んでいないのかもしれない。
これは、今の与党で十分だよ、という最高権力としての検察の意思表示か。

勝手な感想を言えば、疑惑を受けた政治家は潔く辞める、という先例を残せなかった小沢氏には、少し失望した。
所詮、彼は、歴史に名を残す政治家ではなかったということか。


ヘックシ!

花粉症・・・・・・・らしい。
昨年、花粉症デビューしてしまったようだし(それについては、コチラ

目が痒い。
朝、目ヤニがひどくて、瞼がくっついてしまうから、手で瞼をこじ開けないと目が開かないのである。

「わぁー、真っ赤だ。笑える」と息子にもいじられる。
瞼がゴワゴワしているから、瞬きするたびに音がするような気がする。

鼻水ズルズル。
朝が、特にひどい。昼も、少しひどい。夜も、それなりにひどい。
つまり、絶えずズルズルズルズル・・・・・。

鼻をかみすぎたものだから、鼻の回りが赤くただれている。
ラーメンのつゆが鼻に当たろうものなら、悶えたくなる。

くしゃみは、当たり前。
先日など、JRの自動改札を通ろうとして、SUIKAをタッチしようとするたびに、くしゃみが出てゲートが開かなかった。

くしゃみ7連発。
タッチSUIKA、ヘックシ!
タッチSUIKA、ヘックシ!
後ろに並んだ方々に、ご迷惑をおかけしました。

間違いなく、花粉症。
しかし、薬は飲まない。
マスクもしない。
目薬もささない。
眼鏡もしない。

いたってナチュラルなままの生活をしている。

目が痒いの結構。
鼻水結構。
くしゃみ上等!

人様に、それほど迷惑をかけているわけじゃない。
風邪やインフルエンザだったら、マスクをして伝染らないように気を使うが、花粉症は自分だけの問題だ。

花粉よ、いくらでも私をいじめてくれ。

そんなことをボソッとつぶやいていたら、それを聞きつけた娘から「お前、どエムだな」と言われた。

どエムのMさん。
我ながら、くだらない。
さらにくだらないが、私のイニシャルはSMです。
松田聖子と同じSMなんですよ(どうでもいいことだが)。

ヘックシ!

昨日の夕方、ジョギングをした。
花粉症で鼻ズルズル、ヘックシ状態でも、ジョギングはするのだ。

7キロ軽く走って、クーリングダウンのため、遊歩道を歩いた。
そこへ、前からやってきたのは、パグ犬3頭。
私の存在を認めると、前かがみになって、リードを思い切り引っ張り、嬉しそうに近づいてきた。

この3頭と私は、1ヶ月前に友だちになった。
なぜか、最初から懐いてきたのだ。
前足を私のひざに乗っけて、3頭同時に私の顔を舐めるのである。
鼻息が顔にかかって生臭いのだが、可愛いから許す。

ただ、花粉症でただれた鼻を強く舐められると、かなり痛い。
たまに刺すような痛みが走るときがある。
でも、可愛いから許す。

それって、エムだから?

私の顔を舐めまくる我が子の姿を見て、飼い主が呆れている。
「この子たち、普段は人見知りする方なんですけど、そちらには平気なんですね。不思議だわ」

確かに、不思議だ。
しかし、パグ君たちの名前を聞いて、なんとなく疑問が解けた気がした。

マイケル、ミッチー、ムック。

みんな、イニシャルがエムですよ。

エムつながりじゃないですか。

ヘックシ!




2009/03/06 PM 06:48:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

知らないことは美しき哉
小沢一郎も民主党も脇が甘いですね。
ただ、小沢氏は田中角栄の弟子らしいので、政治家としてのDNAに骨の髄まで「金権」が刷り込まれているから、体質改善は無理ですか。


ということで、スイトンの話(?)。
私と中学一年の娘は、スイトンが好きだ。
しかし、ヨメ、高校三年の息子、義母は、「貧乏くさくて、やだ!」と言う。

じゃあ、たとえば、最高級の小麦粉を使ってスイトンをつくり、それに高価な豚肉や有機野菜を入れたら、どうだ?
味は、味噌ベースで、その味噌は1キロ2千円だ。
これなら、貧乏くさくないのではないか。

「う〜ん、それなら、まあ、たべてもいいかな」

よし、決定!

まず、小麦粉をひたすらこねる。
そして、耳たぶ程度の弾力がついたら、30分ほど寝かせる。
その間に、土鍋に昆布を入れ、水を注入。沸騰させる。

煮立ったら、昆布を出す(この昆布は、後で雑炊に使う)。
その後、短冊に切った人参と大根を入れ、あくを取る。
白菜の固い部分と椎茸を入れ、さらにあくを取る。

後は、なべの縁に味噌をこすりつけ、煮立てて行く。
そして、寝かせた小麦粉をれんげですくい、なべにぶち込む。

あくを取る。

弱火で10分。
そして、あくを取る。

最後に、湯通しした一枚300円の油揚げを細かく切ってぶち込み、最高級の豚しゃぶ肉をぶちこむ。

あくを取る。

さあ、食っていいぞ。
最高級の豚肉は、うまいだろ?
有機野菜は、深みがあって甘いだろ?
自然食品の店で買った1キロ千円の小麦粉はどうだ?
味噌も高いんだぞ、うまいだろ?

まず豚肉があっという間になくなった。
普段野菜をほとんど取らない義母が、白菜を「甘くて美味い!」と感動しながら食っている。
椎茸ぎらいの息子が、「椎茸も自然食品の店で買えば、美味いんだね」と言っている。
ヨメが、「いつも食べる5枚98円のものとちがって、この油揚げは上品だわ」とうなずく。

私と娘は、地味に小麦粉の固まりを食っている。

そして、鍋はいつの間にか、つゆだけになった。
最後の仕上げは、雑炊だ。
昆布をみじん切りにしてぶち込み、だし汁と新潟の地酒を追加する。

沸騰したところで、ご飯をいれ、最後に1個百円の卵を2個まわしいれる。

この雑炊も、瞬く間になくなった。

「スイトンも具がいいと、高級感あるわね」
「そうそう」
満足顔のヨメ、息子、義母。

フッ、フッ、フッ・・・・・。

娘を見ると、呆れたような馬鹿馬鹿しいような顔をして、3人の顔を見回していた。

ばれたか?

夜、仕事場にいると、娘がやってきて言った。
「あれ、いくらかかった? 700円くらいだろ?」

やはり、娘には、わかってしまったようだ。

惜しい! 498円。

「498円! それはまた、貧乏くさい金額だな」

内訳を言うと、野菜類はすべて、もらい物だ。
私がパソコンを教えている65歳のレディから、「重いけど、持ってってね」ともらったものである。

味噌が2千円?
いいえ、これも1年前にお土産でもらったものです(金額不明)。
新潟の地酒も、もらい物(金額不明)。
油揚げは、大量に買って冷凍しておいたもの。
豚肉は、ロジャースで420円。
卵は、特売で10個78円(!)。朝早く、近所の奥様方に混じって並びましたよ。
小麦粉は、大量にストックしてある安物だ。

高級なスイトン?
笑っちゃうくらい、呆れる(コイズミ風)。
安くたって、美味けりゃいいじゃないか!

「しかし、みんななぜ気づかないんだろうな。いまアタシんちは、そんな高級な肉なんて買える余裕ないのに。498円だって、頑張ったほうだよな」
そう言いながら、娘は、ハッと気づいたように、目をパチパチとさせて私の顔を見た。

「まさか? まさか、みんな知らないのか? うちの現状を?」

娘と頷き合った。

それは・・・・・、ありうる・・・・・・・。



2009/03/05 AM 11:05:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | [料理]

調子が悪い日
パソコンの調子はいいのだが、私の調子が悪い。

チラシデザインの仕事をいただいて、初稿を今朝出した。
「あれっ、Mさん、地図が前回と同じじゃない? これは本社移転前の地図でしょ。今は違うって、あれほど念を押したのに!」

申し訳ございません。

慌てて、原稿を確かめに家に戻り、地図をトレースして、また得意先に行った。
「あららら、ロゴの影が薄いわ。これは、怒られるんじゃない?」

機械を借りて、その場でロゴを修正した。

「あらあ、Mさん! やっちまったな! 商品説明の最後の一行が飛んでるよ」

冷や汗をかきながら、すぐ直した。
そして、見直す。
(もう大丈夫だろうな・・・、うん、よさそうだ)

「またまた、やっちまったな! ホームページアドレスが、昔のまんまだよ。どうしちゃったの、集中力ないねえ!」

まるで土下座をするように、机にキスをする寸前まで頭を下げ、すぐに直した。

「はい、オッケー! ご苦労様」
担当者のYさんが、コーヒーをいれてくれた。

恐縮です。

「Mさん、放心状態だね。どうしたの? 大金の入った財布でも落としたの?」

まあ、似たようなもんですね。

ご迷惑をおかけしたお詫びに、得意先のMac2台のメンテナンスをやった。
キーボードの反応が鈍いところがあったので、キーを一つ一つはずして、エアークリーナーできれいにした。

キーのレスポンスが復活した。

「おー、さすがだね! こういうことをしてくれるから、Mさんにまた頼みたくなるんだよね」と感動するYさん。
しかし、こんなことも言われた。
「でも、今日みたいなイージーミスを繰り返したら、俺もかばいきれませんよ」

申し訳ない・・・・・(大汗)。

うなだれながら、得意先の入っている共同ビルを出ようとした。
重いガラスのドアを開ける。
しかし、外から2人入ってくるのが見えたので、私は右手でドアを開けたままで待った。

若い女性が2人、「すみません」と頭を下げた。
さらにその後ろから、30代の男が小走りに通り過ぎたが、そのひとも「すみません」と言った。
今度は、ビルの中から、若い女性が1人、「すみません」と言って、私の目の前を通り過ぎた。

俺は、ドアボーイか!
このドア、結構重いぞ。手首が痛くなってきたぞ。

しかし、人の出入りは続くのだ。
外から、20代の男が3人、入ってきた。最後の一人が「ああ、すみません」と頭を下げた。
アラウンド・フォーティの背筋の伸びた女が、会釈をして通り過ぎた。

完全に、ドアボーイだ。
普通は、リレー式に出入りをするはずなのだが、完全に出るタイミングを逸してしまった。

手が相当だるくなってきたころ、60代と思われる男が、ふんぞり返って私の前を通り過ぎた。
次は、50代半ばの女。無表情に、通り過ぎていった。

年配の人のほうが、マナーを知らないのは、どういうわけだろう?

二人とも、私のことなど眼中にないようだ。
きっと私の姿は、見事にドアに同化していたのだろう。
だから、私をドアの一部だと思っていたのかもしれない。

悲しいドア男・・・・・。

そして、ドア男のまま、落ち込んだのがいけなかったようだ。
また、出るタイミングを逃してしまったのだ。
その隙に、高級そうなスーツを着た、社長風の太った男が、あごを突き出すようにしてふんぞり返りながら、前を悠然と通り過ぎていった。

蹴飛ばしてやろうか、このメタボ野郎!

しかし、そのメタボ氏が振り向いて、笑顔を作ったのだ。
「ああ、Mさん・・・、だったよね。うちの会社で、ドアボーイの仕事頼んだっけ?」

よく見ると、得意先の社長だった。

私は、精一杯の愛想笑いを浮かべて、こう言った。
「はい! ドアボーイもできますので、御用のときはぜひ」

しかし、社長は無常にも笑顔を消して、背中を向けた。

私は、頬を引きつらせて、小さく笑った。

ドアボーイの仕事から解き放たれた私は、見つからないように、後ろ足で軽くドアを蹴って、北風吹く街に出ていった。

守衛に睨まれた。

今日の私は、調子が悪い。

2009/03/03 PM 05:47:20 | Comment(4) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

キャッシングは、やめた
前回書いた嘆きのブログで、つまらない愚痴を綴ったことをお詫び申し上げます。

しかし、お詫びついでに、今回も少々嘆かせていただきます。

前回書いた、支払延期を懇願された会社は、実は本当の支払期日は毎月10日だった。
つまり、2週間の延期を当方は一度呑んでいるのである。
それなのに、再びの延期。それも、今度は1ヶ月だ。

この種の状況に遭遇した場合の結末は、なんとなく読めている。
それは、最悪の結末だが、フリーランスとしては、最悪の事態も想定して動かなければ、生活が成り立たなくなる。

そこで、キャッシング、と思ったのである。
あるいは、銀行に融資を申し込む。

ただし、銀行というのは、フリーランスには、北極と南極の最低温度を足したくらい冷たいところだ。
貸したくない理由を探す努力は、いくらでもするが、貸す理由を探す努力は、全くしないのである。

だから、頼ってはいけないのだろう。
そして、キャッシングも、やめようかと思っている。

我が現状は、最大のピンチといっていいが、だからといって、借りることばかり考えるのは、あまりに安易過ぎないか。

まじめに考えてみた。
私は、まだ恵まれているのではないだろうか、と。
今月の10日には、十分とはいえないが、取引先から入金がある。
その時まで何とかしのぐことができれば、多少は息がつけるではないか。
そう思ったのだ。

それに、先週金曜日の夜10時過ぎ、自分の情けなさを骨身にしみて実感させる出来事があった。
これが、私の甘い意識を風速百メートルで吹き飛ばしてくれたのである。

夜仕事部屋で作業をしていると、中学一年の娘がやってきて、「おい、これ!」と言って、無表情に封筒を渡したのだ。
中を覗いてみると、貯金通帳と印鑑が入っていた。
通帳の残高を見てみた。

4万円を超える金額!

息子と娘には、小学5年になったら、自分のお小遣いを自己管理するように、それぞれの名義の口座を郵便局に作ることにしている。
小遣い、お年玉、その他。

金の管理というのは、すべての基本である。
金の管理がうまい人は、他のことの自己管理もうまいものだ。
金の管理は、すべてに通じる。

子どもたちには、自己管理のできる人間になってほしい。
現代社会は、金の管理のうまい人だけが、成功するといってもいい社会だ。

私自身は、社会の落ちこぼれになってしまったが・・・。

しかし、父親が落ちこぼれでも、娘は別のようだ。
娘は、私のブログを読んでいる。
自分のことが悪く書かれていないか、毎回チェックしているのである。

その娘が、私の前回のブログを読んで、何かを感じたようなのだ。

バカ親父、危機一髪!

怒ったような顔で、封筒を差し出す娘。
「使っていいからな」

何も言葉を返せずに、私は反射的に通帳を受け取っていた。

何も言えなかったのだ。

落ち込むオヤジ・・・・・。

娘が部屋を出ていってから、私は30分ほど泣いた。
まず、娘の優しさに、泣いた。
次に、ここまで落ちぶれた自分に対して、泣いた。

娘が意を決して差し出した「宝物」。
断ったら、娘は気を悪くするだろう。
だから、受け取った。

しかし、これを使うつもりは、私にはない。
どんなに貧乏をしても、これだけは使いたくない。

そこで、ない知恵を最大限に絞った。
また「おばちゃんパワー」にすがってみるか。
昨年も一度、おばちゃんたちに助けてもらったことがある(それに関しては、こちら)。
申し訳ないが、キシさんに、またお願いしてみた。

「あら、いいわよ」
簡単に引き受けてくれた。
4人集めてくれたのである。
世の中には、「本当にいい人」がいるものだと、感動で心が震える。

しかし、そんな身を切られるような時間を送っていた土曜の昼。
リビングから、ヨメと義母の会話が聞こえてきた。

「駅前の回転寿司、テレビで取り上げられたから、毎日行列ができているらしいわよ」とヨメ。
「ああ、回転寿司、しばらく行ってないねえ。私が奢るからお昼は、回転寿司にしようか」と義母。
「いいわねえ」
「アタシ、10皿くらい簡単にいけるわよ」
「じゃあ、私は15皿」

・・・・・・・・・・・。

私のその日の昼メシは、朝ごはんの残りの味噌汁に、こねた小麦粉の団子をぶち込んだものだった。
つまり、スイトン

まあ、これはこれで、おいしかったですが・・・。



2009/03/02 AM 10:53:50 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]



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