Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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瞬発力で会話する親子
親子は、似るものである。
当たり前のことだが、最近それを強く実感している。

3ヶ月前から、義母が我が家に一時滞留していることは、何度か書いた。
その義母を見ていて思ったのだ。
ヨメと義母は、似ている。

この親子は、ひとの話を最後まで聞かない。

あらためて考えてみた。
ヨメとの付き合いは25年以上になるが、その長い期間ヨメが私の話を最後まで聞いたことは一度もなかったような気がする。

昨日、私はヨメにこんな話をした。いや、しようとした。
ヨメが、最後まで話を聞いてくれたら、それはこうなったはずだった。

取材で久しぶりに高田馬場に行ったんだけど、思ったほどは変わっていなかったな。
それで、取材が終わって街を歩いていたら、女子高生がふたり前を歩いていたんだが、すごく短いスカートはいてたんだ。よくあれで、寒くないもんだ。
で、その女子高生の一人が財布と定期を落としたらしいんだな。オロオロしてたよ。
それをもうひとりの女の子が「一緒に、探そう」って慰めていたんだけど、そこへ警察官が通りかかったんだ。
その慰めていた方の女子高生が、警官に近づいて、「この子が財布を落としちゃったんです」って言ったんだよ。
そしたら、警官は面倒くさそうに「ちゃんと探したかい? 真面目に探してから、人を頼るんだな。真面目に探せば、絶対に見つかるんだよ。見つからないのは、真面目に探さないからだ」と言って、彼は女子高生の太ももをチラッと見ながら行ってしまったんだ。
この警官の対応は、どうなんだろうね。

これは、普通に話せば、3分で終わってしまう程度のものである。
しかし、ヨメは会話を終わらせてくれないのだ。

まず、「高田馬場」ということばに反応する(当然私の話は中断される)。
「ああ、高田馬場。新宿に住んでいた子どものころ、おじいちゃんにおんぶされて、早稲田の野球部の練習を見たものよ。寒かったんだけど、おじいちゃんが野球が好きで何時間見ても飽きないの。いつも暗くなるまでグラウンドの横に立ってたわ。寒かったなあ。それでね、早稲田といえば・・・・・」
そして、「短いスカート」ということばに反応する。
「そういえばカマタさんちのナミちゃん。この間、高校に上がって初めて見かけたけど、すごい短いスカートはいてるの! 中学時代は真面目な子だったし今も真面目そうなんだけど、スカートだけが短いのよ。まさか、あんなになるとは思わなかったわ。そうそう、スガワラさんちの・・・・・」
次に「財布」ということばに反応する。
「私の財布、もう一年以上使っているから、かなり傷んできたわ。どこかで閉店セールやってないかなあ。そう言えば、この財布も閉店セールで買ったんだったわね。最近は閉店セールでしか買ってないわねえ。ああ、セールで思い出したわ・・・・・」
さらに、「警官」ということばに反応する。
「サガさんの旦那さん。白バイに乗ってるんですって。奥さんも昔は婦警さんで、ミニパトに乗っていたらしいわね。つまり、職場結婚だったわけね。そうそう、職場結婚といえば、スズキさんがこの間結婚したのよ。職場結婚。彼女50歳近くで初婚よ。人生わからないものね。しかも、その旦那さん別荘持ってるのよ、それなのに・・・・・」

このあたりまでくると、私は最後まで話をする気力が失せる。
だから、私の胸の奥底には、いつまでも消化不良な思いが暗く澱んでいるのである。

なぜ、人の話を最後まで黙って聞けないのだろう。
全部聞いてから、意見を言うのが、真っ当な大人というものではないだろうか。

ヨメの会話は、瞬発力だけで成り立っている。
会話が繋がらないのだ。
その瞬間のことばに、ただ反応するだけである。

そして、義母を見ていると、ああ、この二人は親子だなと、妙に感心する。

たとえば、義母が天気予報を見ているとする。

「西から天気が崩れてくるでしょう。関西地方は夕方から雨になります。ただ関東地方の天気は今日いっぱいもつでしょう」

義母は、この天気予報の「雨」のところにだけ反応するのである。
花屋のパートにいくヨメに「今日は、雨だって言ってるから、傘持って行くんだよ」と声をかける。
それを聞いて私は、「いや、雨は西のほうだけ。関東地方は、今日は大丈夫だよ」と言うのだが、ヨメは義母の言うことは素直に聞くから、傘を持っていくのである。
雨は降らない。しかし、パートから戻ってきたヨメの手には当然のことながら傘が握られている。
それを見て義母が言うのだ。
「なに! こんな天気のいい日に傘を持っていったのかい! 邪魔だろうに」
「・・・・・」(ヨメ)

先日、義母が突然そばが食べたい、と言い出した。
「美味しいそばが食べたいねえ。本当の料理人が作ったそばが食べたいよ」

インターネットで探して、大宮まで行ってきた。
その蕎麦屋での、ヨメと義母の会話。

「お母さん、鴨南蛮はどう? 好きだったでしょ」
「ああ、鴨せいろは、美味しいからねえ」
「山菜そばは、体にいいでしょ。血圧にもいいんじゃない?」
「そうだね。確かに私は三歳の頃からソバ食べてたような気がするね」
「カレーうどんも美味しそうね」
「カレーどんぶり? そんなものがあるのかい?」
「天ぷらそばも美味しそうだけど、カロリーが高そうだから、お母さんはダメね」
「ああ、じゃあ、私はその天ぷらそばにしようか」
「私も天ぷらそばにする」

これ、コントじゃありませんからね。実話ですから。

たとえ、話がずれていたとしても、お互い力ずくで自分の考えを押し通すから、この親子は、こんな会話をしていてもストレスが溜まらないのである。

しかし、傍(はた)で見ている人間はストレスが溜まる。
たとえば、高校三年の息子。

義母は、若いタレント・女優などを見ると、すべてが大沢あかねに見えるらしい。
何故だかは、わからない。おそらくその理由は、誰にもわからないだろう。

CMでエビちゃんを見ると、「オオサワ?」
綾瀬はるかを見ても「オオサワ?」
GIRL NEXT DOORが歌ってるのを見て「オオサワ?」
バラエティ番組の南明奈を見て「オオサワ?」
司会をしている優香を見て「オオサワ?」
なぜかギャル曽根を見ても「オオサワ?」
画面に「大塚愛」と出ていても「オオサワ?」なのである。
しかし、本物の大沢あかねが出てきたときは、決して「オオサワ?」とは言わない。
そこだけは、感心する。

そして、息子が怒るのは、CMで上戸彩が出てきたときだ。
最近、息子は上戸彩が気に入っているのである。

ソフトバンクのCMを見るたびに、義母が「オオサワ?」と言う。
オロナミンCやアパマンショップでも「オオサワ?」

そのたびに、息子は意地になって「う・え・と・あ・や!」と言うのだが、義母の瞬発力には敵わない。
「オオサワ?」「オオサワ?」「オオサワ?」
覚える気は、サラサラないのだ。

そして、失意の息子に、ヨメがさらに追い打ちをかける。
「上戸彩と大沢あかねって、なんか似てない?」

「に・て・な・い!」(涙目)



2009/02/06 PM 02:25:05 | Comment(3) | TrackBack(0) | [日記]



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