Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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どーすんのよ!
危機は、突然やってくる。

2月25日。
振り込まれるべき請負代金が、振り込まれていなかった。
そこで、電話をして聞いてみた。

「厳しい状況なので、1ヶ月ほど待ってもらえませんか?」

世の中には、非常識な人が意外と多い。
そんな大事なことは、事前に知らせるべきだろう。
こちらが電話をかける前に、事情を説明するのが、常識人の誠意というものである。

それなのに、こちらが電話をかけるまで知らんぷりをするなんて、どこを探せば「誠意」が出てくるのか。

私は、悪質な取立て屋ではないのだから、威嚇もしないし暴力に訴えることもしない。
平和に話し合うことができるのに・・・。

28万円が、翌月まわし。

どーすんのよ!

ヨメの言葉が、私の胸を真っ向から貫き通す。

今月の初めには、取引先のリフォーム会社が倒産した。
これは、私の仕事が甘かったと、いま大きく反省しているところである。

昨年の暮れ、いままで付き合いのなかった会社から、2回立てづづけに、チラシの仕事を請け負った。
頭のいい人間なら、手付金か前払い金というのを貰って、請け負ったかもしれない。

しかし、私は手付金も前払い金も貰わなかった。
2回の請負代金が、あわせて9万円。
倒産したことにより、それを回収することが難しくなった。

ただ、印刷代金だけは残る。
それは、私が印刷会社に支払わなければいけないものだ。

「いやあ、取引先が倒産したんで、印刷代金ちょっと待ってもらえませんか」
そんなことを言ったら、次から印刷を請け負ってもらえなくなる。

フリーランスは、一度でも相手の信頼を裏切ったら、終わりなのだ。
相手には、支払いの遅滞を許しても、こちらが遅れることは許されないのである。

金がない。

公団の家賃の引き落としが迫っている。
1ヶ月支払いを待ってもらうしかないか。

どーすんのよ! どーすんのよ! どーすんのよ!

この追及は、堪える。

パソコン貯金がある。
これは、パソコンが壊れたときのために、毎月積み立てているものだ。

おそらく、15万円を超えただろう。
しかし、これを使うつもりはない。
一度使ってしまったら、際限がなくなるからだ。

息子の大学の入学金。
これは、大金だ。
しかし、これは払い込み先がもう決まっている。

「家計が厳しいので、支払いを待ってもらえますか?」
そんなことを言っても、大学側は、鼻で笑うだけだろう。

困ったぞ。
本当に・・・・・。

どーすんのよ!

手に、クレジットカードがある。
私には、縁のないものである。
ほとんど使ったことがない。

10年ほど前、母が真菌症という病気にかかって、手術をしたことがある。
そのとき、手術費用が払えなくて、一度だけカードで支払ったことがある。

それ以来使っていない。

このカードには、キャッシングというものがついている。
それを使おうか迷っている。

しかし、使ってしまったら、際限がなくなるのではないか。
カードでキャッシング。
これは、魅力的だが、あとが怖い。
そして、ヨメも怖い。

この請求書が送られてきたら、ヨメは必ずこう言うだろう。

どーすんのよ!

カードを持つ私の右手が、いま小刻みに震えている。


2009/02/26 AM 10:49:29 | Comment(7) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

侍ジャパン
WBC(ワールドベースボールクラシック)が盛り上がっているようです。

私のまわりにも、早くも優勝したような盛り上がり方で浮かれている男がいます。

まだ始まってもいないのに・・・?

不吉なことを言うようだが、負けたらどうなるんでしょうかね。

「あいつが悪い」「あそこはあいつを出すべきだったろう」「何であいつを使うんだよ」

メディア、ファンそろっての戦犯探し。そして、バッシング。

何だよ! 前回の優勝はまぐれかよ!

そして、星野前オリンピック代表監督の復権。
「星野のほうが良かったんじゃねえ?」

そうならないことを祈ります。
侍ジャパンの皆様、重圧に負けずに、野球を楽しんでください。

しかし、「侍ジャパン」とはね・・・。

何で野球選手が、サムライなんだ? と突っ込むのは野暮なんでしょうね。
日本男子だから、サムライ。
日本女子は、ナデシコ。

これって、何も野球選手じゃなくても、他のアスリートでも使えそうだ。
岡田ジャパンだって、侍ジャパンで通るだろうし、バレーボールや体操の日本代表も侍ジャパンでいい。

つまり、いたって安易なネーミング。

そのネーミングを聞いた途端、私は脱力しましたが、皆さんはどうなんでしょうか。
私のまわりでは、意外と素直に受け入れているようだ。

このあたり、人間の柔軟性、素直さというのがわかりますね。
私の頭は、硬直して、しかもひねくれている。

だから、まだ始まってもいないのに、大盛り上がりをしている記事を見ると、見出しだけで拒否反応を示して、意識を閉店状態にしてしまうのである。

得意先に行くと、「侍ジャパン2連覇、間違いないでしょう」と話をふられる。
あー、う〜ん、え〜(上の空)。
「松坂とダルビッシュ、どっちが活躍するかね」
まー、この〜、その〜(まともにこたえる気がない)。
「イチローがいる限り、優勝は固いね」
そー・・・・・・・・・ですね(早く他の話題に変わってくれないかな)。

もちろん、私は日本が優勝することを期待しています。
しかし、控えめな期待ですね。

外国の一流アスリートとハイレベルな戦いをして日本が勝つ、というシナリオはワクワクするが、そんな素敵な結末が訪れない場合もある。
他の国だって、みな主役になりたいだろうから、当然日本が主役になれないシナリオもありうる。

そんなとき、「ひでえ脚本だ! こんな脚本は認めない!」と息巻くのが、今までのメディアだった。

監督が悪い、脚本が最悪だ、主役が大根だ、脇役もひどい、そして、結末が納得できない!

最後は、・・・・・、
腹を切れ! 侍ジャパン。

そんなことにならないことを祈るばかりです。

映画の予告編だけで盛り上がり、「傑作だ」「観客動員数日本一間違いなし」「アカデミー賞ものだ」と煽る手法は、もう飽きた。
それは、もう勘弁してほしい。

話は変わりますが、「おくりびと」アカデミー外国映画賞受賞おめでとうございます。

この映画のように、最初は地味に公開し、最後は大きな花火を打ち上げ、みなの喝采を浴びる。
これが、理想の姿ですね。

侍ジャパンも、そうありたいものです。
「ラスト・サムライ」には、なってほしくない。



2009/02/24 PM 05:39:15 | Comment(5) | TrackBack(0) | [メディア論]

暴走バイク
丸一日ヒマになってしまった。

私の場合、仕事が入ると、一気にやってしまうことが多い。
手持ちの仕事を片付けておかないと、次に仕事が入ったとき、時間の調整で右往左往することになるからだ。

私は、基本的にどんな仕事でも請けることにしている。
よほど非常識で高圧的な仕事の出し方をされない限り・・・という但し書きは着くが。

今現在ストックしてある仕事は、1件ある。
しかし、画像がそろわないので、イメージがわかない。
だから、保留にしてある。

そのため、ヒマ・・・・・。

「ヒマなときは、酒だろう」というのが、今までの私の常識的な時間のつぶし方だった。
安い酒を一人で、ダラダラと飲む。
これは、ストレス解消にいいのだ。

特に、「ダラダラ」というところが。

しかし、我が家には今、老スパイがいる。
そんな私の常識が通用しない状況になっている。
ヒマだからといって酒なんか飲んでいたら、どれほど悪意のあるストーリーが出来上がることか・・・。

「どこかの政治家の真似でもしてるんじゃないの!」


それに、先日、中学1年の娘にこう言われた。
「おまえみたいに顔に出ないお酒の飲み方が一番怖いらしいぞ。もう年なんだから、ほどほどにしろよな」

そして、ボソッという感じで、こうも言ったのだ。
「心配だからな」

その宝石のようなお言葉を聞いて、私の酒量は確実に半分以下に減った。

そして、先日娘の友達のフナ公(女の子です)から、こんなことを聞かされた。
「Kは、父親が心配するから、高校卒業するまでカレ氏作らないって言ってたよ」

なんという孝行娘!
私は、泣いた。

しかし、フナ公はこうも言う。
「まあ、心配しなくてもKにカレ氏ができることはないと思うよ。クラスの男たちからKがなんて言われているか知ってる? 『暴走バイク』だからね。カレ氏なんか、無理ムリ・・・」

そうか、暴走バイクか。
聞かなかったことにしよう。

と・・・・・いうことで、酒は控えるか。
暴走バイクが怖いし。

しかし、意志の弱い私は、簡単に酒を選んでしまったのである。

「そうだ! 『隠れ家』へ行こう」

隠れ家に関しては、このブログに何度か書いた(たとえばコチラ)。

今年初めての隠れ家。
埃がたまっているかと思ったが、人類が生存可能な範囲だったので、ソファをパンパンと叩くだけにした。

ソファに座り、早速「いいちこ」のお湯割りを飲んだ。
焼酎の適度な臭みが鼻から入ってきて、顔がカッと熱くなる。
その熱さを心地よいものに感じながら、一気に残りを飲んだ。

全身が熱くなる。
CDラジカセから流れているのは、ディープ・パープルだ。
ハードロックの王道。
どのプレイを取っても、ハードロックの教科書という演奏、シャウトである。

熱くなる、熱くなる。

だから、冷まそうと思って、麦とホップを飲んだ。
グイグイ、グビグビと飲んだ。

2本目を飲む。
そして、3本目に手を伸ばしたとき、「暴走バイク」の顔が浮かんだ。
曲も「チャイルド・イン・タイム」に変わっていた。

スーッと酒が醒めてしまいました。
娘の言葉の威力というのは、すごいですね。
恐るべし、暴走バイク。

そのあと一時間ほど寝て、家に帰った。

暴走バイクが待っていた。

「おい! 来週、期末試験だ。数学がよくわからんから教えろ。ただとは言わないぞ。自腹でビールを買ってきたからな。ビールだぞ。発泡酒ではないのだぞ!」

バカ親父は、いとも簡単に、暴走バイクに買収されたのでした。



2009/02/21 PM 04:12:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

ふたたびの太もも
以前書いたブログが、不評だった。

それは、これだ。

「こんなのブログに書くことじゃないだろう」
「品性のかけらもない! 読んでいて悲しくなる」
「いったい何を伝えたかったんだ! 意味不明じゃないか」

その日のうちに、ごもっともなご意見を友人たちからいただき、ふてくされていたのでございます。

なんて、ヒマな奴らだ!
この激動の時代に、こんなブログごときに憤るなど、正気の沙汰とは思えない。
反省するのは、おまえらの方だ!

もし今、百年に一度の不景気が訪れたらどうする?
ワインと一緒に風邪薬を飲んで、呂律が回らなくなる大臣が出てくるかもしれない。
もしかしたら、世界でも有数の自動車メーカーが、大幅な赤字を出す日が来るかもしれない。
時の内閣総理大臣の支持率が10パーセント前後になって、政府が国民からそっぽを向かれる日が来るかもしれない。
元首相と現首相の醜い争いが起こるかもしれない。
派遣切りやネット難民が増え続け、雇用の不安定な時代が来るかもしれないのだ。

そんなときに、ひとのブログを読んで「エロオヤジ!」と罵声を浴びせるヒマなどあるのか。
ないだろう、普通は!

心の中で毒を撒き散らしながら、桶川の得意先に初稿を届けに行った。
そして、言われた。
「ああ、太ももエロフェチジジイだ!」

太ももエロフェチジジイ?

なんて素敵なネーミング。

言うんじゃなかった。書くんじゃなかった・・・・・。
今さら後悔しても遅いが。

太ももエロフェチジジイが出した初稿を担当のフクシマさんは、気に入ったようである。
「ああ、いいんじゃないですか。俺の思ったとおりですよ。これは、気に入ってもらえるんじゃないですかね」

フクシマさんが珍しく褒めたので、麻生久美子似もテーブルまでやってきて、プリントを見た。
今日は、平日なので、常識的な格好である。
けっこう、けっこう。

いや、正直言うと、太ももエロフェチジジイは、少しは期待しましたけどね・・・・・(落胆)。

「ああ、優しくて温かい仕上がりですね。これは、手作りのパン屋さんのイメージにピッタリだわ」
そう言って褒めてくれたが、太ももは見えない。
消化不良・・・・・。

「ありがとうございます、太ももエロフェチジジイさん」と言って、フクシマさんがご褒美に一番搾りをテーブルの上に置いた。
太ももエロフェチジジイは、沈み込みそうになる心を抑えながら、ビールを飲んだ。

喉を通りすぎる爽快感。
上品な苦さ。香り。飲み終えたあとに、口の中に残る微かな刺激。
それだけで、私の心は満たされる。

もう、どうでもいい。
太ももエロフェチジジイ、と言われてもいい。
エロオヤジ、と言われてもいい。
1本のビールさえあれば、満足だ。

そんな爽快な思いに浸っていたとき、この会社のもう一人の女事務員が、荷物を抱えて帰ってきた。
そして、私の顔を見るなり、こう言ったのだ。

「あら、太ももエロス。来てたんですかぁ〜」

太ももエロスは、さすがに、ちょっと・・・・・。


2009/02/20 AM 09:48:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

割り箸を使うとヨメの眉間の皺が深くなる
最近、ものがよく失くなる。

たとえば、箸、スプーン、フォーク、レンゲ、しゃもじ・・・。

我が家では、これらのものは、すべて木製である。
そして、これらすべてが、100円ショップで買ったものだ。

木製と言っても、箸は割り箸ではない。
5本セットで100円という安っぽいものを使用しているが、使い捨てではない。
これは、先端部分に溝が掘られていて、麺類などが食いやすくなっている優れものだ。

安いつくりだが、丁寧に使えば、半年は持つ。
スプーンやフォークなどは、3年以上もっていた。

しかし、昨年の11月からこれらが頻繁に失くなるようになったのである。
気がつくと、その本数が一本二本と減っていた。

謎。

そのたびに、100円ショップに行って、不足分を買い求める。
我が家では、100円ショップに費やす金額が、それまで月に1500円程度だったが、昨年の11月以降は時に4千円を超えるようになった。

なんとなく原因は想像がついたが、私は「まあいいか」と思っていた。
ヨメが気づかなければ、すべては平穏無事に通り過ぎていくだろう、と甘い考えを持っていたのだ。

しかし、とうとう気づいた。
ヨメは、無頓着なほうである。
たとえば、我が家の米がどれくらい残っているか、調味料の類やシャンプー・リンスが足りているかなどは、彼女は何年も心配したことがないはずだ。

米は、当然のように米びつに存在するし、しょう油や油が切れたことは一度もない。
リンスもいつの間にか補充されている。
浄水器のカートリッジもいつの間にか新しくなっているから、いつでも旨い水が飲める。
それを疑ったことなど、ないはずである。

しかし、パソコンの家計簿を見て、彼女は気づいたのだ。
なぜ、毎週同じように箸を買い、スプーンやレンゲを買うのか。
それは木製だから、ある程度は長持ちするはずではないか。
我が家は、大家族ではないのに、なぜこんなにも頻繁にそれらを買い求めるのか?

なぜ、と問われても私には答えようがない。
推測は成り立つが、それは私が言うべきことじゃない。

だから、私は「なんでかね?」と、とぼけた。
「足りなくなったから、買ってくる。そうしないと、飯が食えないからね」

私の珍しく投げやりな口調に、ヨメは「あ!」と言ったあと、黙り込んだ。
眉間に皺がよっている。
おそらく、私と同じことを考えたようである。

3ヶ月ほど前から、義母が我が家に一時滞留していることは、何度か書いた。
その義母は、東京三鷹で一人暮らしをしていたが、糖尿病が悪化したので、我が家にしばらくいることになったのである。
偏食家の義母は、一人暮らしのとき、バランスのいい食事を取ってこなかった。
ほとんど肉しか食わず、肉を食いすぎると、二日以上食事を抜くこともあった。

ようするに、気まぐれなのである。
そして、食事に気を使わない義母は、食器にも気を使わなかった。
お皿は使い捨ての紙製。スプーンやフォークはペラペラのプラスチック製。箸は割りバシだった。

そして、義母は、食事をし終わると、食器類をまとめてゴミ箱に捨てる習慣があった。
彼女は、それを我が家でも実践していたのだ。

義母は、食事を一人でとる。
我が家では、リビングにだけテレビがあって、彼女はテレビなしでは生活できない人だったから、我々はテレビのチャンネル権を義母に譲った。
そして我々4人は、義母が好んで見る番組を見る習慣がないので、食事は別の部屋でとる。
だから、我々は、義母の食事の後の行動を把握していなかったのである。

先日、ヨメが、義母の行動を監視した。
すると、義母は食事の後、箸やレンゲをまとめて掴むと自分の部屋にこもったのだ。
後でヨメが確認してみると、臨時のゴミ箱として使っている段ボール箱に、今までの食器類が束になって捨ててあった。

だから、彼女が食事をするたびに箸やスプーンがなくなっていたのだ。そして、時にしゃもじも。
陶器の皿は、さすがに捨てる気にはなれなかったようだが、木製のものは「割り箸感覚」で平気で捨てていたのである。

「しかたないわね。母には、割り箸を使ってもらいましょう。スプーン・フォークも厳禁にしましょ」

我が家では、お客が来ても、割り箸を出すことはしない。
お客様用の見栄えのする箸があるのでそれを出す。
だから、割り箸を使ったことがない。

子どもたちも「環境によくないからね」と、外で食事をするときも「マイ箸」持参である。
それが、我が家のポリシーだった。

100円ショップに毎月4千円の出費は、家計に響く。
今回は、方針を変えざるを得ないだろう。

ヨメの眉間の皺が深い。
この件に関して、彼女は私に文句を言うことができない。
だからなおさら、皺が深くなるのだろう。

「まさか、割り箸を使うことになるとは・・・・・」

皺が、さらに深くなって・・・・・コワイ。


2009/02/13 AM 10:14:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

太ももパラダイス
桶川の得意先から、今年初めての仕事。
この会社には、フクシマさんという愛すべきおバカさんがいる。

「いやあ、休日出勤は久しぶりですねえ。しかし、よりによって休日にMさんですかぁ。気分が乗りませんねえ」
私を呼び出したのは、あなたでしょう。
何を薄らトボケタことを言っているのか。

殺意の目で、フクシマさんを見る。
フクシマさんは、慌てて目をそらし、一番搾りを持ってきた。
一番搾りを飲ませれば、私の機嫌が良くなると単純に思っているようだ。

たしかに、機嫌よくなりました。

仕事は、パン屋さんのオープン前のチラシとオープン後のチラシ2点。
それほど、難易度の高い仕事ではないので、打ち合わせは10分もかからずに終わった。

打ち合わせを終わって、事務所内を見回してみた。
社長を含めて総勢14名の企画会社。
昼間来ると、たいてい営業の人は出払っていて、いるのはフクシマさんと麻生久美子似のアンニュイな雰囲気の事務員と「いきものがかり」のヴォーカルを3回程度振り回した顔をした事務員くらいである。

そして、たまにマルチーズを溺愛する愛すべき社長の姿を見かけることもある。
今日は休日なので、いないだろうと思っていたが、事務所の一番奥から「働き者だね、Mさん」という声が聞こえた。
当然、マルチーズ様もいらっしゃった。

さらに今日は、珍しく営業が一人いて、恐ろしく早いキータッチでパソコンを駆使していた。
彼は、この会社で「ドスコイ三力士」と呼ばれている社員の一人だった。
この会社には、百キロを超す男が三人いて、社内の人間は彼らを「大関・関脇・小結ドスコイ三力士」と呼んでいるのである。

彼は「小結」と呼ばれていて、さらに「エクセルの達人」とも呼ばれているらしい。
小結がブラインドタッチでキーを叩き、エクセルを一心不乱に駆使する様は、早朝の高砂部屋の稽古風景を思い起こさせる(?)。

その神がかり的なキーの音に聞きほれていたとき、「ただいま帰りました」という声が聞こえた。
その声は、麻生久美子似の事務員。
彼女も休日出勤をしていたのか。
なんと、働き者の多い会社!
さぞ、マルチーズ様もお喜びでしょう。

大きくうなずきながら、感心していた私の目に、太ももが飛び込んできた。
タイツに隠された太もも。

ふ・と・も・も!

その太ももは、間違いなく美しかった。

見とれた。

しばしの間、見とれた。

「どうしたんですか、Mさん? なんか異常な食いつき方じゃないですか。アリマさんに失礼ですよ。セクハラですよ」

そんなフクシマさんに対して、麻生久美子似は、鷹揚にこう答える。
「ああ、今日は休日出勤なので、いつもより軽い格好で来ちゃいました。変ですか?」

いいえ、決して変ではありません!
黒のショートコート。淡いブルーのデニムのミニスカート。黒のタイツ。ショートブーツ。
何も言えねえ!(古い)

隠しておりましたが、実はワタクシ、太ももフェチだったのでございます。

「太ももフェチィ!」
フクシマさんが叫ぶ。
「ようするに、ただのスケベオヤジィ!」

はい、申し訳ございません。
昨今のミニスカにタイツという素晴らしい流行は、スケベ親父にとって、パラダイスでございます。

先日も、中学一年の娘と原宿に行き、街ゆく太ももに対して、「80点」「85点」「惜しい! 98点」などと点数を付け、娘と二人盛り上がっていたのです。

ちなみに私の太ももビッグスリーは、ベッキー、香里奈、エビちゃん。
娘は、戸田恵梨香、榮倉奈々がツートップである。

それを聞いて、フクシマさん。
「Mさん、ダメでしょう。娘さんまで巻き込んで、そんなバカなことしてちゃぁ!」

はい、深く反省しております。
しかし、反省すると言いながらも、目は麻生久美子似の太ももに釘付け。

「あのねえ、Mさん。いい加減にしたほうがいいですよ。アリマさんも困って、立ち尽くしているじゃないですか」
フクシマさんは、そう言ったが、麻生久美子似は、平然としたものである。

「これ、見せるためのファッションですから、私は見られても全然平気ですよ」

いい覚悟だ!

では、すみませんが、ゆっくり2度ほど回っていただけませんか?

呆れ顔のフクシマさん。
「ほーんと、セクハラオヤジだな。それは、いくらなんでも失礼すぎるでしょう」

しかし、麻生久美子似は、私のリクエストに応えて、回ってくれたのである。
美しい。実に・・・、美しい。
正面から見て綺麗でも、横から見るとバランスが悪いという人がたまにいるが、この太ももは、完璧だった。

私は、思わず叫んでいた。
「ヒャクテン!」

しかし、事務所の隅から社長の声で、「Mさんは、レイ点!」。

そりゃ、そうだ。



2009/02/12 PM 04:55:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

ウコンの話
たいした仕事ではない、と思って引き受けたのが間違いだった。

16頁の政治的な主張(これもマニフェストというのだろうか)。
そのままレイアウトして初稿を出そうと思ったが、読んでみて、あまりの文章のひどさに我慢ならなくなり、クライアントに忠告した。

こんなダラダラと長いだけの文章、誰も読みませんよ。

クライアントに対して、大変失礼な言い方であったと思う。
しかし、我慢ができなかったのだ。

この文章は、あまりにも・・・・・ヒドイ。

たとえば、こんな風だ(そのままを書くと差しさわりがあるので、多少アレンジしてます)。

我が国の国債はあまりにも国民のつけとして乱発している事に対しこれ以上の国債の発行は紙くず同然になる危機と同時に海外に対しての途方もない国民を無視した場当たり的な国債や無償援助又は支援資金を出し続け未来有る子供達に平然とその全ての付けを先送りをし押付けて行くと言うこの無責任極まりない我が国の行為を市民上げて一日も早く現在までの横暴であった政治行政の巧みな言葉に騙されずにその全ての責任を約四半世紀に遡り取らせるところから始めるべきであります。

句読点のまったくない文章。
一体どの言葉が、どの言葉にかかるのか、意味不明の言葉の羅列。
数行読んで、頭が痛くなった。

これは、こんな風にした方がいいんじゃないですか、と恐る恐るお伺いを立ててみた。

我が国の国債の現状は、目に余るほどである。
もはや、これ以上の国債の発行は、紙くず同然になる危機を孕んでいる。
海外に対しても、途方もない国民を無視した場当たり的な国債や無計画な無償援助と支援資金。
そして、未来ある子どもたちに平然とその全ての付けを先送りし押付けるという無策。
この無責任とも言える国債のばらまき。
今こそ我々は、四半世紀に及ぶ政治・行政の責任すべてを、告発すべきときではないだろうか。

怒られるかと思ったが、感謝された。
「ああ、いいね! うん! 僕が言いたかったのは、これだよ。悪いけど、あんたが全部直してくれる?」

ということで、B5で16頁分の文章をいま直しているところである。

本当に頭が痛い(私は編集者ではないんだが)。

そんなときに、友人のWEBデザイナー・タカダ君(通称ダルマ)から電話がかかってきた。
正月以来の電話である。

正月にダルマからかかってきた電話では、ちょっとしたアクシデントがあった。
義母の長男たちが来ているとき(それについてはコチラ)に、運悪くダルマが電話をしてきたのである。
そのとき、私は家族とすかいらーくでメシを食っていた。

義母には、ナンバーディスプレイに表示される、彼女の長男・次男以外の電話には出ないでくれと伝えてある。
ダルマからの電話は「ダルマ」と表示される。
だから、普段は取らないはずだったが、子どもや孫たちがいたので、義母は浮かれていたのだろう。
取ってしまったのである。

「ああ、ダルマさん。どこのダルマさん?」
私が出ると思っていたダルマは、その声を聞いて面食らった。
しかし、彼は外見は気持ち悪いが、頭のいい男である。
しかも、私のブログを読んでいるから、瞬時に事態を悟った。

「いつもお世話になります。タカダと申しますが、Mさんはご在宅でしょうか」
彼は、丁寧にそう言ったのだ。

しかし、浮かれた義母は、裏返った声でこう言ったという。
「あら、ダルマさんじゃないの? なによ!」
ガチャン!
切ってしまったのだ。

これだけのことで、賢いダルマは、私の家の事情を理解して、次の日、大宮のレストランに我が家族を招待してくれたのである。
隣にはもちろん、新妻の「微笑みの天使」トモちゃんがいた。

そして、嬉しいことに、義母や長兄、次兄、その子どもたちがくれなかったお年玉を、ダルマは我が子どもに与えてくれたのだ。
パスタを食いながら、涙で視界が滲んだ。

俺は、いい弟子を持った。
たとえ、親戚に恵まれなくても、俺にはこんなにも尊い友がいる。
これだけで、私は強く生きていける。
ダルマに感謝した一日だった。

その自慢すべき弟子・ダルマからの電話。
「師匠、ストレスでお酒ばっかり飲んでるんじゃないですか。トモちゃんが、そんな師匠に、肝臓にいいウコンの粉末を買ってきたんで、今日宅急便で送りましたから、とりあえずご報告しときます」

なんと出来たヨメ・トモちゃん!
ダルマは幸せものだ。
また、視界が滲む。

ありがとう、ありがとう!
大切に飲ませていただくよ(涙目)。

ウコンは、体にいいらしいですよ。
しかも、トモちゃんは、結構高価なウコンを買ったらしい。
本当にありがたい。

感激した私は、近くにいた中学一年の娘に「ダルマからウ○コが送られてくるぞ。あれは体にいいらしいな」と告げた。
娘は「おお! ウ○コか! それはすごい。さすがダルマだ!」と答えた。

それを聞いていた義母。
「なに? ダルマさんからウコンが送られてくるんだって? あれは体にいいからね。特に肝臓にいいらしいよ。ダルマさんは、親切な人だねえ」

???

なんで、こんなときだけ、まともな受け答えをするんだ!



2009/02/10 PM 06:24:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

同情するなら・・・
友人ススキダの仕事場。

ススキダは、昨年夏までは、横須賀の自宅マンションを仕事場にしてきたが、この誰もが不況に喘いでいる時代に、どんな悪事を働いたのか、事業を拡大しているらしい。
彼は、横浜の関内に事務所を借りて、東京・横浜を忙しく行き来しているという。

そこで、どんな悪さをしているのか、見に行ってきた。
6階建ての共同ビルの2階。
広さは、7坪だという。
一人で仕事をするには、十分すぎるほどの広さに、テーブルが二つ。応接セットが一つ。大きなキャビネットが二つ。
そして、偉そうな顔をした男がひとり。

「この間の、ワインのレポート。仕事に使わせてもらったからな」
その仕事に関しては、こちらに書いた。
ワインを飲みながら、半分泥酔状態で投げやりな文章を書いた。
全部で1800文字。
ススキダは、私の文章のほとんどを無修正のまま、仕事に使ったという。

おまえ、プロなんだから、少しは自分なりに工夫したらどうだ? そのまま使うなんて手抜きだろう?

「最後の一行は、俺が書いたよ。でも、今回は、それでいいんだ。今回のワインは、お前の軽薄な文章が合ってたのさ。
俺の重厚で気品ある文章は、このワインにはもったいない。お前の薄っぺらでリズムのある文体が丁度いいんだよ」

今回の場合、ススキダが私にくれた報酬の額は、私が考えていた額の倍だった。
だから、あまり文句は言えない。

それ以上、何も話すことがなく、二人して鼻毛を抜いていた時、ススキダ夫人がお使いから帰ってきた。

「ああ、Mさん。お久しぶりです」
身長150センチ前後の小柄な天使が、笑顔満開で言う。
「あ〜ら、Mさん。だいぶ痩せましたね。ちゃんと食べてます? 寝てます? 手抜いてます?」

寝るのと手を抜くのは得意だけど、食べるのは下手かな。
「ちょっと病人みたいな雰囲気ですよ。ストレスかしら」と言いながら、ススキダ夫人は、いきなり私の両方の指を包み込むように握ってきた。

?????

最初は指の付け根を握り、次に指先を握った。
そして、うなずきながら言う。
「指先が冷えてますね。これは、軽いストレスかもしれませんね。人間は、ストレスを感じると血流が悪くなる人がいるんですよ。
もちろん全部の人がそうなるわけじゃありませんけど、Mさんみたいに絶えず運動している人の指先は本当は血流がいいはず。
だから、この指先の冷たさは、ストレスから来ている可能性があります」

ススキダ夫人は、元ナースだったのである。

「そう言われてみれば、確かにやつれたような気がするな。もともと貧相だから、最初は気付かなかったが、けっこう痩せたような・・・」
そう言って、ススキダが部屋の隅から体重計を持ってきた。
体脂肪や筋肉の割合なども測れる最新式のものらしい。

「乗ってみろ」
偉そうに、ススキダが言う。

やだ! もし高圧電流が流れていたら、俺は即死だ! そんな危険なものに俺は乗れない。まずは、お前が乗れ。お前が測って、無事だったら、俺も測る。

「アホか」と苦笑いを浮かべながら、ススキダが乗った。
最初に年齢と身長を記録するものらしい。

ススキダの身長は174センチ。
腹が少々出てはいるが、醜いというほどではない。50歳前ということを考えたら、普通の体型と言っていいだろう。

体重71キロ。体脂肪率20.5パーセント。あとは、色々な数値がゴチャゴチャ。
メタボとは言えない。いい物を食って楽している割には、健康的な数値と言っていいだろう。
これも、ひとえにススキダ夫人のコントロールのおかげである。
野獣は、いいパートナーを持ったと言える。

私も乗ってみた。
測るためには、靴下を脱いだ方がいいらしい。
だから、小指の部分が穴のあいた靴下を脱いだ。

そして、私の足を見て、ススキダがしみじみと言う。
「はじめてだな。人の足を見て、可哀想だと思ったのは」

私の右足の3本の爪が紫色に変色している。
そして、左足は2本。つまり、爪が死んでいるのである。
それに加えて、右足のかかとの皮膚が割れて、血が滲み出ていた。

ススキダが、もう一度言った。
「かわいそうに・・・」

同情するなら、金をくれ!(古すぎる?)

測定結果。
体重54.7キロ。体脂肪率10.1パーセント。

54.7キロォ! 去年の11月は58キロあったぞ。何故そんなに減った! 俺はダイエットはしていないのに!

「おまえ180センチあったよな。それで、この体重はまずいだろう」

いや、最近は年をとって縮んできたから、179.6センチだ。

「そんなことはどうでもいい!」

「Mさん。お昼ごはん食べました?」
愛らしいススキダ夫人の天使の微笑み。

いえ、まだです。

「じゃあ、ネギトロ丼でも作りましょうか。手っ取り早くカロリーのあるものを摂るには、丼ものが一番なんですよ」

いただきましょう! ぜひお願いします。

「こいつに、高級なトロの味がわかるかな」
ススキダが言ったが、無視。

出来上がった丼が三つ。
その中でも、一番大きく盛り上がった器を私の前に置いたススキダ夫人。
可愛い! 40過ぎには見えない愛らしさである。

それにひきかえ、この極悪人は・・・。
二分で食い終わりやがった。

私とススキダ夫人は、ゆっくり優雅に食べた。
美味かった。
そして、天使がこんなことを言うのだ。

「トロ、まだ残っていますから、お持ち帰りになられますか?」

なられます、なられます!

トロのほかに、サバやサンマ、焼き鳥などの缶詰セットを(持参の)エコバッグに詰めてくれた。
「これ、ススキダが小腹が空いたときに食べてるものなんですよ。彼は缶詰が大好きなんです」

ほー、缶詰が好き? 貧乏くせえやつだな。こいつ、缶詰食って喜んでるのか。貧しい。実に、貧しい!
(かわいそうに・・・)

そして、缶詰で膨らんだ私のエコバッグを見て、ススキダがつぶやく。
「かわいそうに・・・」

同情するなら、仕事くれ!

「わかったよ。やるよ。本当におまえのこと、可哀想になってきた。ハァー、なんか切ないなァ・・・」

大きなため息をついて、私に哀れみの目を向けるススキダ。

同情でも何でもいい。
仕事があれば、生きていける。

そう・・・、同情でもいいんです。
だから、仕事を・・・・・。


2009/02/09 PM 01:09:43 | Comment(2) | TrackBack(0) | [Macなできごと]

瞬発力で会話する親子
親子は、似るものである。
当たり前のことだが、最近それを強く実感している。

3ヶ月前から、義母が我が家に一時滞留していることは、何度か書いた。
その義母を見ていて思ったのだ。
ヨメと義母は、似ている。

この親子は、ひとの話を最後まで聞かない。

あらためて考えてみた。
ヨメとの付き合いは25年以上になるが、その長い期間ヨメが私の話を最後まで聞いたことは一度もなかったような気がする。

昨日、私はヨメにこんな話をした。いや、しようとした。
ヨメが、最後まで話を聞いてくれたら、それはこうなったはずだった。

取材で久しぶりに高田馬場に行ったんだけど、思ったほどは変わっていなかったな。
それで、取材が終わって街を歩いていたら、女子高生がふたり前を歩いていたんだが、すごく短いスカートはいてたんだ。よくあれで、寒くないもんだ。
で、その女子高生の一人が財布と定期を落としたらしいんだな。オロオロしてたよ。
それをもうひとりの女の子が「一緒に、探そう」って慰めていたんだけど、そこへ警察官が通りかかったんだ。
その慰めていた方の女子高生が、警官に近づいて、「この子が財布を落としちゃったんです」って言ったんだよ。
そしたら、警官は面倒くさそうに「ちゃんと探したかい? 真面目に探してから、人を頼るんだな。真面目に探せば、絶対に見つかるんだよ。見つからないのは、真面目に探さないからだ」と言って、彼は女子高生の太ももをチラッと見ながら行ってしまったんだ。
この警官の対応は、どうなんだろうね。

これは、普通に話せば、3分で終わってしまう程度のものである。
しかし、ヨメは会話を終わらせてくれないのだ。

まず、「高田馬場」ということばに反応する(当然私の話は中断される)。
「ああ、高田馬場。新宿に住んでいた子どものころ、おじいちゃんにおんぶされて、早稲田の野球部の練習を見たものよ。寒かったんだけど、おじいちゃんが野球が好きで何時間見ても飽きないの。いつも暗くなるまでグラウンドの横に立ってたわ。寒かったなあ。それでね、早稲田といえば・・・・・」
そして、「短いスカート」ということばに反応する。
「そういえばカマタさんちのナミちゃん。この間、高校に上がって初めて見かけたけど、すごい短いスカートはいてるの! 中学時代は真面目な子だったし今も真面目そうなんだけど、スカートだけが短いのよ。まさか、あんなになるとは思わなかったわ。そうそう、スガワラさんちの・・・・・」
次に「財布」ということばに反応する。
「私の財布、もう一年以上使っているから、かなり傷んできたわ。どこかで閉店セールやってないかなあ。そう言えば、この財布も閉店セールで買ったんだったわね。最近は閉店セールでしか買ってないわねえ。ああ、セールで思い出したわ・・・・・」
さらに、「警官」ということばに反応する。
「サガさんの旦那さん。白バイに乗ってるんですって。奥さんも昔は婦警さんで、ミニパトに乗っていたらしいわね。つまり、職場結婚だったわけね。そうそう、職場結婚といえば、スズキさんがこの間結婚したのよ。職場結婚。彼女50歳近くで初婚よ。人生わからないものね。しかも、その旦那さん別荘持ってるのよ、それなのに・・・・・」

このあたりまでくると、私は最後まで話をする気力が失せる。
だから、私の胸の奥底には、いつまでも消化不良な思いが暗く澱んでいるのである。

なぜ、人の話を最後まで黙って聞けないのだろう。
全部聞いてから、意見を言うのが、真っ当な大人というものではないだろうか。

ヨメの会話は、瞬発力だけで成り立っている。
会話が繋がらないのだ。
その瞬間のことばに、ただ反応するだけである。

そして、義母を見ていると、ああ、この二人は親子だなと、妙に感心する。

たとえば、義母が天気予報を見ているとする。

「西から天気が崩れてくるでしょう。関西地方は夕方から雨になります。ただ関東地方の天気は今日いっぱいもつでしょう」

義母は、この天気予報の「雨」のところにだけ反応するのである。
花屋のパートにいくヨメに「今日は、雨だって言ってるから、傘持って行くんだよ」と声をかける。
それを聞いて私は、「いや、雨は西のほうだけ。関東地方は、今日は大丈夫だよ」と言うのだが、ヨメは義母の言うことは素直に聞くから、傘を持っていくのである。
雨は降らない。しかし、パートから戻ってきたヨメの手には当然のことながら傘が握られている。
それを見て義母が言うのだ。
「なに! こんな天気のいい日に傘を持っていったのかい! 邪魔だろうに」
「・・・・・」(ヨメ)

先日、義母が突然そばが食べたい、と言い出した。
「美味しいそばが食べたいねえ。本当の料理人が作ったそばが食べたいよ」

インターネットで探して、大宮まで行ってきた。
その蕎麦屋での、ヨメと義母の会話。

「お母さん、鴨南蛮はどう? 好きだったでしょ」
「ああ、鴨せいろは、美味しいからねえ」
「山菜そばは、体にいいでしょ。血圧にもいいんじゃない?」
「そうだね。確かに私は三歳の頃からソバ食べてたような気がするね」
「カレーうどんも美味しそうね」
「カレーどんぶり? そんなものがあるのかい?」
「天ぷらそばも美味しそうだけど、カロリーが高そうだから、お母さんはダメね」
「ああ、じゃあ、私はその天ぷらそばにしようか」
「私も天ぷらそばにする」

これ、コントじゃありませんからね。実話ですから。

たとえ、話がずれていたとしても、お互い力ずくで自分の考えを押し通すから、この親子は、こんな会話をしていてもストレスが溜まらないのである。

しかし、傍(はた)で見ている人間はストレスが溜まる。
たとえば、高校三年の息子。

義母は、若いタレント・女優などを見ると、すべてが大沢あかねに見えるらしい。
何故だかは、わからない。おそらくその理由は、誰にもわからないだろう。

CMでエビちゃんを見ると、「オオサワ?」
綾瀬はるかを見ても「オオサワ?」
GIRL NEXT DOORが歌ってるのを見て「オオサワ?」
バラエティ番組の南明奈を見て「オオサワ?」
司会をしている優香を見て「オオサワ?」
なぜかギャル曽根を見ても「オオサワ?」
画面に「大塚愛」と出ていても「オオサワ?」なのである。
しかし、本物の大沢あかねが出てきたときは、決して「オオサワ?」とは言わない。
そこだけは、感心する。

そして、息子が怒るのは、CMで上戸彩が出てきたときだ。
最近、息子は上戸彩が気に入っているのである。

ソフトバンクのCMを見るたびに、義母が「オオサワ?」と言う。
オロナミンCやアパマンショップでも「オオサワ?」

そのたびに、息子は意地になって「う・え・と・あ・や!」と言うのだが、義母の瞬発力には敵わない。
「オオサワ?」「オオサワ?」「オオサワ?」
覚える気は、サラサラないのだ。

そして、失意の息子に、ヨメがさらに追い打ちをかける。
「上戸彩と大沢あかねって、なんか似てない?」

「に・て・な・い!」(涙目)



2009/02/06 PM 02:25:05 | Comment(3) | TrackBack(0) | [日記]

携帯電話と濁り水
最近、子どもに携帯電話を持たせない、という決定をする自治体が増えているという記事をネットでよく見かける。

これを見たとき、都市伝説か冗談かと思った。

しかし、大人たちは真剣なようです。

以下、私の青臭い勘違いの意見を披瀝します。

あれだけ有害サイトを野放しにし、悪意ある情報を垂れ流しにした頭のいい大人たち。

でも、水が濁りきっているのを承知で、蛇口だけを閉めるというのは、いかがなもんでしょうか。
汚染した水を清らかにする努力は、放棄してしまったんでしょうか。

もちろん、ある程度は法律や条例を整備した形跡はあるようですが、頭のいい大人たちは、そんなザルは簡単にくぐり抜けて、汚染された水はいまも澱んだままだ。

その結果、子どもが携帯電話を持つことは、まるで「悪」というような世論操作を官民こぞって繰り広げる有様。

なぜ、今になって、携帯電話を悪者扱いし始めたのか?

ひととおり携帯電話が普及して、メーカーもそこそこ儲かったので、そろそろ批判の矛先を一点集中させておけば、メーカーに火の粉は降りかからないという、ありがたい「お上の親心」にメディアが賛同したからか。

「携帯電話を持っている子は、不良だ」
そんな世論を作って何になる?

それはかつて、男が長髪にするのは不良のはじまりだ、と言っていたのと何となく似ている。
あるいは、リーゼント。バイク。ピアス。茶髪。
私の前の世代は、音楽(ロック)をやっているやつは、不良だと言われたらしい。

すべて、情緒だけが優先した世論誘導だ。

可哀想な携帯電話・・・・・。

こんな小さな筐体に、人間の知識がギッシリと詰まっているのに、頭のいい大人たちが考えた「不純な金儲け」の道具に貶められて、肩身の狭い思いをしている現実。

いつの時代も、生け贄(スケープゴート)は、必要だ。

何かを生け贄にして、賢い大人たちは、自分が「仕事をしていること」をアピールしたがる。

有害サイトを根こそぎ絶やす地道な努力は、人々にはアピールしないということなのだろう。
根を張り地に潜った、有害な虫を探し出し退治することは、彼らにとって点数にはならないのだろう。
力はいつだって、安易で単純な方へ傾きたがる。

だから、水はいつまでたっても濁ったままなのだ。
賢い大人たちは、濁った水でも平気で飲むことができる。
しかし、彼らは、子どもたちに対しては、濁った水は有害だと言って、力任せに蛇口を閉めようとする。

それは、一見子どもたちのことを思っているように見えるが、短絡的な解決方法でしかない。
そして、それは私にはスタンドプレーにしか見えない。

汚れきった水を飲む大人たち。
彼らは、汚れた水を売り買いして生活している。
「だが、おまえらは、それを飲むな」と大人は言う。

俺たちが、おまえらを守ってやるから・・・。
俺たちは、こんなにもおまえたちのことを思っているのだよ・・・。

そして、蛇口を閉める。

しかし、「善い大人の振り」をして、閉めた蛇口を無理矢理あけて、濁った水を子どもたちに飲ませるのも、結局は「大人」なんですよね。



2009/02/04 AM 09:43:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | [メディア論]

使えねえやつ
仕事をいただきました。
いい条件の仕事です。
この厳しい不況の時代に、ありがたいことです。

はずむ気分で、得意先のビルの階段を降りていった。
ビルの前の駐車場を通って、道に出ようとした。

そのとき、大きな声が聞こえた。
「おい! ちょっと! これが邪魔で車出せないんだけどな!」

その言葉は、誰に言った?
私は、あたりを見回してみた。
誰もいない。
つまり、オレ?

30代半ばで、高級そうなコートに身を包んだ、オールバックの男が私を見て睨んでいた。
指は、得意先の社名の入った車を指さしている。
そして、その車は駐車場の外の道に停車していたのだ。

営業は、すぐ車を出すつもりで、とりあえず道に停めておいたのだろう。
だから、営業はすぐに戻ってくるはずだ。
しかし、怒りの声の主は、すぐに車を出したいらしい。
すぐに車を出したくなくても、その車は明らかに邪魔だ。
だから、彼は怒っている。

わずか一秒の間に、私はそんなことを考えた。
だから、営業を探しに回れ右をしようとした。

「なに! 動かさないのかよ! どこ行くんだよ!」

どこ行くんだと言われても、それは私の車ではない。
だから動かすことはできない。
私は、オールバックに向かって、親指を上に向けて「呼んできますから」と言った。

しかし、男は、舌打ちをした。
「何なんだよ! この会社! あんたたち、人の迷惑を考えたことがあるのかよ!」

何をおっしゃいます。
私は、いつも人の迷惑を考えている。
だから、私には何の謂れのないことでも怒らずに、あんたと向き合っているのだ。
普通の人間だったら、「俺には関係ないよ」と知らん振りして素通りしているところである。

しかし、そんな人間のできた私に、男はさらに追い打ちをかけるのだ。
「早くしてくれよ! ボーッとしてるんじゃねえよ!」
声のトーンが、高くなって、やや喧嘩腰だ。

私は、確かにボーッとしていたかもしれないが、喧嘩を売られる筋合いはない。
少なくとも、車を動かすための努力はしようとしたつもりである。
眉と目のつり上がった男を前にして、私の心に小さな渦が巻いたが、「勘違い、勘違い」と唱えて、営業を呼ぶために階段を上ろうとした。

私は、大人なのだ。
この程度では、怒らない。
怒っても、何の得にもならない。

私は、若い頃から「沸騰点の高い男」と言われてきた。
この程度では、沸騰はしませんよ。
本当です。滅多に沸騰することはありません。

しかし、そんな滅多に沸騰しない私にも、沸騰するためのいくつかのキーワードは存在する。
それを人に言われたら、私は確実に沸騰する。

そのことば・・・・・。

「何だよ! 使えねえやつだな!」

使えねえやつ!?

言ったな! この野郎!

私は、途中まで上った階段を大股で下り、オールバックの前に立ちはだかった。
顔を寄せる。
相手は、いきなり私が反転してきたので、驚いたようだ。
しかも、貧相な顔が目の前にある。

男は、首から上を後ろに反らし、口を真一文字に結んだ。
しかし、それも一瞬のことで、すぐに「何だ、お前!」と睨み返してきた。

鼻腔が膨らんで、目のまわりが紅く染まっている。
その顔は、結構、迫力がある。
そして、煙草臭い息を荒く吐いている。

だが、「使えねえやつ」と言われて引き下がるほど、私は軟弱な男ではない。
両足を踏ん張って、顔をさらに男に近づけた。
こういうときの私は喋らない。
喋ると「気」が体から抜け落ちてしまいそうになるので、黙って睨むだけである。

どれくらい睨んでいたかは、覚えていない。
五分ということはないだろう。そんなに長くはなかったと思う。
もしかしたら、一、二分だったかもしれない。

短い睨みあいを心のどこかで楽しみながら、私は踏ん張っていた。
遠くから、カラスのグワッグワッという鳴き声が聞こえてくる。
そんなとき、後ろで、足音が聞こえた。
そして、戸惑ったような関西なまりの声。

「あれ、Mさん、何してるんですか?」

私は、男の目を睨みつけながら、答えた。

ニィ〜ラメッェ〜コォ〜〜!!!

メロディーをつけて言ったが、明らかに調子はズレていた。しかし、顔は真剣。

それが、男の「気」を骨抜きにしたようだ。
男が、横を向いて、「プホッ」と吹き出した。

営業も「ハハハ」と笑った。
間の抜けた空気が、駐車場に充満した。
営業は、まだ笑っている。

しかし、私だけが笑わずに、営業に向かって「車が邪魔なのでどかしてください」とニヒルに答えた。
そして、無表情に得意先を後にした。

歩きながら思った。
今回の場合、何も睨みあいをしなくても、「私はここの会社の人間ではない。営業を呼んでくるから待っていて欲しい」と、丁寧に説明すれば済んだのではないだろうか。

私は、間違いなく無駄なことをした。
無駄なエネルギーを使った。

大宮駅近くの公園のベンチに座って、空を見上げながら、私は反省の時を過ごした。
右手には、金麦の500缶を握っている。

無意味な怒りを、泡とともに一気に飲み下した。
そんな私の前を60代と思われるオバちゃん4人が通り過ぎた。
そして、通り過ぎる時、4人が4人とも、私の姿を眉をひそめて見ていた。

その目は、「使えねえやつ」と言っていたような気が・・・。


2009/02/03 AM 08:33:16 | Comment(1) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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