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● ワインは旨いのか不味いのか |
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朝からワイン。
いい身分である。 朝からワインを飲むなど、私の人生でおそらく・・・、2度目? しかも、結構いいワインらしいですよ。
千円以上のワインを飲んだことが、数えるほどしかない私は、それ以上の金額のワインを飲むと思考停止することが、今回わかった。 一口飲んで思った。 「これ、うまい・・・・・のか?」
香りは、良かったような気がする。 たまに飲む1本400円程度のものとは、そこだけは、あきらかに違う。 芳醇な、という喩え方があるが、芳醇なものを私は飲んだことがないので、その表現は使えない。
二口、三口飲んでみた。 「うまい・・・のかな?」 うまい、と言っておけば、すべて丸く収まるだろうが、率直なことを言って欲しいといわれたので、「あん?」という反応しかできなかった。
そんな私の反応をもどかしげに見ながら、「で、どうなんだ?」と、ススキダが眉間に皺を寄せて聞く。 新しいワインの宣伝を頼まれたススキダが、コピー(文章)を書くために、何人かにワインを試飲させて、感想を聞いているのだ。
しかし、明らかに、彼は聞く相手を間違えた。
千円以上のワインなんて、みんな一緒だ!
そんな固い信念を持つ私に、高級ワインなど赤い色の水にしか見えない。
「赤い色の水? そのままじゃねえか!」 極道顔のススキダの眉間の皺が、さらに深くなる。
「ワイン飲んだこと、あるだろうが! もっと、気の利いたことを言えよ。仕事なんだからよ!」
仕事だからこそ、率直な意見を言ってるんだ。 ワインは、赤い水だ。そして、何度でも言う。千円以上のワインは、俺にとってみな同じだ。
「要するに、味覚もボキャブラリーも貧しいってことだな」
7年も付き合っていて、やっとわかったのか。俺は、すべてが貧しいんだ!
呆れ顔のススキダ。 極道顔が、少し曇っている。 そして、次は困り顔。 ただ、どちらにしても、怖い顔であることに変わりはない。
そんな怖い顔の男に向かって、私はさらにこう言った。 4千円と言えば、4千円の味だ。 それ以上の値段をつければ、それ以上の味に感じるが、それ以下の値段なら、その程度の味に感じるであろう。
私のそんな意見を聞いてススキダは諦めたのか、ワインを口に含んで目を閉じた。 そして、もっともらしく口を動かして、味わう振りをする。 ソムリエ気取りで、もっともらしい顔をしても、顔の仕上がりが怖いから、説得力がない。
笑うしかない。
だから、笑った。 それが気にさわったのだろうか。 ススキダは、極道顔をさらに険しくして、やけ気味にワイングラスを呷った。
しかし、その姿は、なかなか良かった。 極道顔にふさわしかった。 その顔に敬意を表して、私は拍手をした。
パチパチパチ・・・・・・。
睨まれた。 そして、言われた。
「おまえ、このワイン5本やるから、全部飲んで、レポートを書け。俺を唸らせるような文章を書け。そうしたら、それなりの報酬を払う」 そう言いながら、ススキダは報酬額を紙の端っこに書いた。
おー! 思いがけぬ高額! その額を見て私はやる気を出した。
そして、いまワインを飲みながら、仕事をしている。
ワインを飲んでみて、私はわかった。
ワインは美味いかどうかわからない。しかし、確実に酔う。 そして、思考停止・・・・・。
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2009/01/23 AM 08:09:33 |
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