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● 勘違いのレッドカーペット その1 |
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インフルエンザは、我が肉体から消えつつある。
それとともに、数日前に、義母が5日間の入院生活から帰ってきた。 しかし、入院前のように、事件の数々は勘弁願いたい。 私は熱にうなされながら、そのことを真剣に考えた。
そして、考えながら、突然あることを思い出したのだ。 それは、義母が我が家にやってきた日のことである。
「わたし、欠かさず見ているテレビがあるのよ!」
義母は、その番組名を暗唱するように、我々の前で得意げに披露した。 それは、ほとんどがゴールデンタイムに放映されるNHKの番組だった。 たとえば、「篤姫」や「ためしてガッテン」、ほかに朝の連続ドラマなど。 民放では、日本テレビの朝のワイドショーやTBSの「不思議発見」(?)、「笑点」や「渡る世間は〜」などだった。
我が家では、テレビは大きなウエートを占めていない。 以前は、3台あったテレビも、子どもたちがテレビゲームに関心を持たなくなったこともあり、1台減り1台減りして、今はリビングに1台を残すだけとなった。
しかし、そうは言っても、テレビは見る。 そして、義母が好んで見るテレビ番組を我々は見たことがない。
だから、我々は、義母の言葉を無視した形になった。 義母が見たいテレビ番組を我々は、見なかったのだ。
そのことで、義母はストレスが溜まったのかもしれない。 たかが、テレビ番組で・・・、と思うが、テレビは老人にとって我々が思う以上に大事なものかもしれない。
そのことに気付いて上げられなかった。 それは、我々に思いやりがなかったからだ、とインフルエンザに冒されながら、遅ればせながら気付いた。
そこで、義母が退院してから、我々は、テレビの最前列を義母に譲ることにした。 ドラマ好きの中学一年の娘は、最初は渋ったが、娘所有のパソコンにテレビのチューナーを取り付けることで、簡単に納得してくれた。
その効果は、絶大だった。 それからは、義母が事件を起こさなくなったのである。
なんて、単純なことだったのだろう。 テレビの重大性を軽んじた私のミスだった。 テレビの持つ力は、想像以上に大きいということだ。
ゴールデンタイム。 義母はリビングに置いてあるテレビを占拠して、ご機嫌である。 食事も一人でとる。
我々の夕食は、和室で和気あいあいととる。 これで、上手くバランスが取れるのだ。 そして、たまに義母が我々の夕食風景に顔を出す。
そこで、朝のワイドショーの受け売りを語るのだが、これが楽しいのだ。
娘は、「おばあちゃんの話は『勘違いのレッドカーペット』だね。オチが読めなくて、楽しいよ」と喜んでいる。
たとえば・・・・・、「ヤマシタヒトシが、オノダユージロウのものまねを禁止されたらしいわよ」 おそらく、ヤマシタヒトシは、山本高弘のことで、オノダユージロウは、織田裕二のことだと思うが、本人は大真面目なのだ。 「羞恥心とセザンヌが紅白歌合戦で、解散宣言をするんだってさ」 (これって、本当ですか?)
他に、女優の水川あさみが出ているCMを見て・・・、 「あら、きれいな子ね」と義母。 「水川あさみって言うんだよ」と娘が答える。 「ああ、この子、私の友だちの娘だよ」 「えー!」と家族一同驚きのリアクション。
しかし、よく聞いてみると、義母の知り合いに水川さんがいて、娘さんは「あさみ」という名だが、年は47歳だという。 つまり、義母の頭の中では、水川さんの娘は「あさみ」さんに間違いないのだから、女優の水川あさみは、私の知り合いの娘だ、ということになる。 その場で、ヨメが「それは違うよ」と説明して、義母は一旦納得したが、それ以降、水川あさみが出るたびに、「ああ、この子、私の友だちの娘なんだよね」と義母は繰り返すようになった。
だが、そのことに関して、我々はノーリアクションである。
勘違いのレッドカーペット。
「アソウ総理は、フクダシゲルの孫なんだって?」 「ヒガシコクバル都知事は、テレビに出すぎだね」 「横綱・大関がモルガン人ばっかりじゃ、つまらないよ」 「篤姫役のヤマザキヤヨイ、私は好きだね」 「イチローは可哀そうだね。外国にトレードされたまんまで」 「コムロテツヤって、金八先生のことかい?」 「最近のスマップは、新しいグループが多くて、わからないね」 「とんねるずによく似た外国人のグループが歌うたっていたけど、女だったよ。気持ち悪いね」 「『トンカツラーメン』って言っても、トンカツは入っていないんだね」 「オグリシュンは、いい役者だったけど、ドラマ撮り終わって、すぐ亡くなったんだね」 「タモリは、フジテレビの人なのに、他のテレビに出てもいいのかい?」
さあ、この勘違いの数々、正解を見つけることができたでしょうか。
これは、楽しいですよ。 毎日が、新しい発見に溢れています。 幸せなことだ。
ただ、もちろん、笑い話になることもあれば、ならないこともあります。 次回は、傍から見れば笑い話でも、当人(私)にとっては笑い話にはならない、というお話をしたいと思います。
ご期待せずに、お待ちください。
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2008/12/05 PM 02:26:15 |
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