Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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ハッポーシュウおやじ
恥ずかしながら、インフルエンザに罹ったことは、前回書きました。

当たり前のことだが、これは自業自得。
ワクチン代をケチった私が悪い。
だから、つらくても、我慢するしかない。

インフルエンザに罹ったのが、おそらく木曜日あたり。
そして、高熱が出たのが、金曜日。土曜日も高熱。日曜日は、少し熱が下がった。
いまは、37度前後だ。
この熱も、いつか下がるだろう。

関節が痛いが、「痛い」と言っても仕方が無い。
これも、いつか消える痛みだ。
つまり、これらの症状は、消えていくものだから、休んでいても意味は無い。
休みは「自由業の死」を意味する。

これが、「フリーランスの理屈」だ!

火曜日。
前回急ぎの仕事をいただいた桶川の得意先から、お迎えが来た。
女優の麻生久美子似の運転で、事務所へ。
まるでVIP待遇ではないか。

熱が少々下がったとは言え、まだウィルスは元気満々だろう。
だから、前回と同じように、不織布のマスクを2枚重ね、フリースの手袋の下にポリエチレンの手袋を付けた状態でフクシマさんとご対面をした。

それに対して、フクシマさんは、大型の空気清浄機らしきものを応接セットの脇に置き、両手を広げて得意げに、「さあ、これで大丈夫ですよ。この機械は、ウィルスさえも吸い取ってしまうんです」と、鼻の穴を広げて私を見た。
「鬱陶しいでしょうから、マスクも手袋も取ったらどうでしょう?」と、麻生久美子似も言う。

本当ですか? 伝染っても知りませんよ。
マスクを取った。

マスクを取った私の顔を見て、フクシマさんが言う。
「アレレレ、Mさん、やつれましたねえ」

(当たり前だろうが! インフルエンザに罹ったというのに、急ぎの仕事なんか出しやがって、しかも、いつもより、量が多いじゃねえか!)

・・・・・・・・・・。

「Mさん、怒ってます?」
「怒ってませんよ!」

険悪な雰囲気の中で、フクシマさんに初稿を渡そうとしたときに、カレーの匂いが、インフルエンザに冒された鼻に入ってきた。
時刻は、3時過ぎ。
随分と遅い昼飯だなあ、と匂いのほうを振り返ると、社長の姿があった。

カレーライスにかぶりつく中小企業の親父。
似合っているといえば、似合っているか・・・。

しかし、それは、味わうという概念からは程遠い光景であった。
大型犬の食事風景のようだ。
社長は、カレーを食すると、いかにもせっかちな様子で立ち上がり、私の姿を認めると「ああ、Mさん、インフルエンザなんだって? 俺は逃げるけど、さっさと帰ってね」と、早足で事務所から逃げていった。

冷ややかに社長の姿を見送る3人。

口元に冷ややかさを残しつつ、フクシマさんが言う。
「今の、お昼ご飯じゃないんですよ。おやつです。3時のおやつ」
フクシマさんは呆れ顔で、さらに言葉を続ける。

「よく行く飲み屋のママに、『社長さん、最近、臭うわね』って言われて、ショックだったらしいんですよ。つまり、加齢臭ですね。お気に入りのママにズバリ言われたもんだから、社長しょげちゃって。それから、どうしたと思います? 俺はカレーで加齢臭を消すんだって、真面目な顔で宣言したんですよ。それからは毎日朝昼晩カレー。おやつもカレー。時には夜食もカレーらしいですね。どう思います、これ? Mさん、率直なご意見をお願いします」

それは、素晴らしい!
この未曾有(みぞう)の不況の時代に、闇雲に常識を踏襲(とうしゅう)することなく、頻繁(ひんぱん)にカレーを食べ続けるということは、どんな詳細(しょうさい)な思惑があるか知らないが、素晴らしいことだと思う。
カレーで加齢臭をなくす。これほど柔軟で確固たる信念を持った中小企業の社長にこそ、金融機関はこぞって融資すべきだ。
日本の未来は、明るい。
私は、久しぶりに勘当(かんどう)した!

そんな私の戯言(ざれごと)を簡単に受け流して・・・・・。
「そう言えば、Mさんは、オヤジ臭がないですよね。うちの会社の男たちは、30歳半ばになると、みんな臭いますけど」と、麻生久美子似が、クールに言う。

確かに、私は、「臭う」と言われたことがない。
それは、食生活が貧しいからだろうと思っている。
私の場合、肉・魚などの高級食材の摂取が、一般人の10パーセント以下である。
空気と水だけで生きている私のような人間は、体臭が出ないのだと思う。

「友だちのお父さんの枕は臭いって言うが、おまえのは、ちっとも臭わないな」と、娘にもたまに言われる。
つまり、枯れ木は、におわないってことですね(後は朽ち果てるだけですから)。

ただ、たまに「あれ? 昼間っから酒かい?」と言われることがある。
それは、近所の印刷会社の社長に言われることが多い。
ただし、この社長は、妄想癖があるので、どこか信用しがたい。

しかし、先日電車で隣に座った60年配の男から、「昼間っから酒かよ。いいご身分だねえ」と言われたことがある。
そのときは、まったく飲んでいなかった。
前夜に、発泡酒を3本飲んだが、15時間以上たっていても、アルコールの臭いって、残るものだろうか?

「残るかもしれませんねえ」と、麻生久美子似。
「残りますよ。特にMさんみたいに無臭の人は、かえって臭いが残るんじゃないですかね」と、フクシマさん。

つまり、それは発泡酒臭。
ハッポーシュウ、ということか。

ハッポーシュウおやじ。
いいかもしれないな・・・・・。
俺は、ハッポーシュウおやじ。いいキャッチフレーズだ。

「Mさん、インフルエンザ、治ったんじゃないですか? おバカそのものですよ、その発想」

ああ、そうかもしれない。
じゃあ、フクシマさん、快気祝いに、一番絞りをよろしく。

「え? いいんですか、それじゃあイチバンシボリッシュウになっちゃいますよ」

フクシマさん。
おバカは、あんただ。



2008/12/03 AM 09:49:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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