Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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友とふたり横浜の空を見る
古い話になる。
と言っても、この間の日曜日のことだ。

今年の夏は、7月の終わりに家族で一度、東武動物公園のプールに行ったが、それ以外家族サービスをしていない。
それが、すごく気にかかっていた。

家族サービスをしなければいけない、とずっと思っていた。
そんなときに、大学時代の友人シバタから電話がかかってきた。

シバタに関しては、こちらのブログに書いた。
私は、今まで彼のことを「○○」という差別用語で呼んでいた。
それは、髪の毛が頭から消失した人のことを指すのだが、あまりその言葉を多用すると、シバタの人権を大きく損ねるので、今回は「シバタ」と表現することにした。

シバタは、電話でこう言ってくれた。
「たまには、家族引き連れて、俺んちに遊びに来ないか。和室が空いてるから、何泊してもいいぞ。俺は、お盆過ぎに有休を取ったから、車で横浜近辺を案内してやるよ」

我が家族にそのことを伝えると、「よし! その話、乗ったぁ!」と全員が叫んだので、シバタのお誘いに甘えることにした。

横浜駅まで電車で行き、そこから車で拾ってもらった。
横浜三ツ沢公園近くのオール電化の家。
立派な家である。
車も3台ある。
ハイラックスサーフとステップワゴン、マーチ。

「無駄に多いな」という私の悪態にも、シバタは「デヘヘヘヘ」と笑うだけだ。
そんな余裕ある笑いで受け止められると、こちらが惨めになる。

その日は、私のリクエストで「野毛山動物園」に連れて行ってもらった。
ここは、市営であるが、入場料無料で敷地も広く、見所満載の動物園だ。
横浜の日吉に住んでいたころ、ヨメと頻繁に通ったものである。

久しぶりの野毛山動物園。
我々夫婦は、動物園オタク、水族館オタクなので、何度行っても何時間いても飽きない。
夏休みなので、混雑していたが、我々にとっては、その混雑も甘い思い出の中の一部分になる。

子どもたちも動物が好きなので、レッサーパンダやペンギンの姿に癒されていたようだ。
シバタの家族は、横浜市に住んで10年以上たつのに、この動物園には来たことがなかったという。
「こんなに動物がいるのに、ただ!」と、シバタの奥さんのリエさんは、主婦らしい驚き方をしていた。
ビジュアル系バンド好きのシバタの息子は、私の子どもたちと意気投合して、ソフトクリームをなめながら、一緒にはしゃいでいた。

夕メシは、事前の打ち合わせで、ピザにした。
シバタの息子は、宅配のピザを頼もう、と言ったのだが、「ピザは自分で作るものだ」と言う私の意見が通って、私がピザ生地を作って、我が家から持参した。
発泡スチロールの保冷箱に、直径30センチのピザ生地を3枚入れてきたのである。

具材は、あらかじめ、こちらのリクエストに応じて、シバタリエさんが買っておいてくれた。
アンチョビやツナ、コーン、サラミ、オイルサーディン、トマト、ピーマン、タマネギ、バジル、そしてモッツァレラチーズ。

ピザソースを作るところから始めると、シバタの息子が「えー、そこまでやるの?」と驚いていた。

ピザは、自家製が基本。
宅配ピザなんてのは、上流階級のぜいたく品だよ、と私が言うと、「うっそー!」とのけぞって、叫んだ。

ピザ(気取った人は、ピッツァと言うらしいが、ピザはピザだよ)を3枚と、ペペロンチーノを10人前。レタスの上にオイルサーディンを載せただけのシンプルなサラダ。

「自家製のピザ、初めて食ったぁー! うますぎるー!」というシバタの息子の絶叫で始まったピザパーティは、ほとんどシバタの息子の独演会だった。
ビジュアル系バンドの歌マネを全身を使って表現するのだが、それを見て、我が息子と娘は、何度も手を叩きながら喜んでいた。

その後、風呂に入った子どもたちは、広くてきれいな風呂に大喜びで、息子などは、翌日の朝も入っていた。
風呂に入りたいという理由で、1泊の予定を2泊に延ばしたほどの気に入りようだ。
そして、「風呂だけでも、持って帰りたい!」と、帰り際に叫んだ。

気分がハイになった子どもたちは、疲れも見せずに、夜2時まで酒を飲んでいた我々2組の夫婦の横で、シバタの息子お気に入りのGacktやJanne Da ArcのDVDを見て盛り上がっていた。

私は、シバタの大学時代の悲しい話の数々をしたくてウズウズしていたが、シバタが私に向かって懸命に目配せをするので、泊めてもらう義理もあって、それは我慢した。
その代わり、昨年シバタがナンバーズ3を当てて、その当選金で頭皮マッサージを数回受けたことだけは、ばらした。

それを聞いて、奥さんのリエさんが、シバタの頭をパタパタと何度も叩くので、シバタのテンションが急降下した。
それをきっかけに、我々は寝ることにした。

翌日は、八景島シーパラダイスに行こう、という我々夫婦の希望は、子どもたちに簡単に却下され、横浜をドライブすることになった。

山下公園大桟橋コスモワールド港が見える丘公園元町中華街
まるで、はとバスツアーが行きそうなところばかりだが、子どもたちは目を輝かせて喜んでいた。
特に息子は、シバタが奢ってくれた中華街のレストランで食った堅焼きそばが気に入って、最初は普通盛り、2回目は大盛りをリクエストしていた。
そのほかに、ジャンボ餃子(1個で普通餃子の10個分以上)を2個食い、フカヒレスープを飲んだから、シバタ夫婦は、軽いめまいを感じたのか、倒れ込みそうになった。

港が見える丘公園で、シバタと並んで、ベンチに座った。
暑い日射しが、シバタの頭皮を照らしている。
帽子かぶればいいのに・・・、と思ったが、それは余計なお世話だろう。

頭皮から大量の汗をしたたらせるシバタ。
その汗が、顔のしわに沿って流れ落ちている。
その様は、少しも美しくない。

それは、エキゾチックな横浜には、全く似合わない光景だったが、今日はそれも言わないことにした。

「悪かったな、気を遣わせて」
私が言うと、シバタは「お互いの家族が、こんなにも近くにいて、みんなが笑い合っている。こんなこと、昔は想像できたか、おまえ」と聞いてきた。

「想像できるわけがないだろう。いつもみんなの後ろをついてきただけの優柔不断のおまえが、今では会社ではそこそこの地位にいる。そして、でっかい家を建てた。年月の重みは、俺の想像を超えているよ」
「重いよな。そして、家族って、何よりも重いもんだよな」
シバタが、無防備な頭皮を手で撫でながら、大きく息を吐いて、私を見た。

シバタの「今」は、年齢相応の歴史を感じさせたが、眼の奥には、30年前に私が見続けていたシバタの素の部分が確実に見えた。

日射しが強い。
風もない。
しかし、景色はいい。
絵葉書のような景色が、眼前に広がって、異次元の空間にいるような気分になった。

そんなとき、
「おまえ、幸せか」と、突然シバタが言った。
そして、顔をゆっくりと私の方に回し、遠くを見るような眼で、私を見た。

「当たり前だろ」
シバタの眼をまっすぐに見て、私は言った。

シバタが、大きくうなずく。

そして、二人同時に、空を見上げた。

暑い横浜の空が、そこにあった。



★空を見上げた人は、CG「手乗りオッサン」



日本女子ソフトボールが金メダル。
逆境に強い大和撫子は、諦めることを知りません。大したものです。快挙です。

しかし、その中で気になることが一つ。
エースの上野選手が1日に一人で318球も投げたということです。
そして、驚いたことに、翌日も先発して7回を完投。

私の偏見では、ソフトボールは、野球と同じで、投手と捕手だけに重い比重がかかっている競技です。
これは、あり得ないシチュエーションだということは承知していますが、ソフトボールや野球では、投手が打者全員を三振に取ってしまえば、味方の最少得点で勝てる競技です。
たとえば、投手か捕手がホームランを打って点を取れば、たった2人だけで勝てるのです。

他の団体競技では、これほど極端に一部の選手に負担がかかることはありません。
だからこそ、私は、投手を大事にすべきだと思うのです。

私は、彼女を「剛腕」というきれい事で讃えたいとは思いません。
たとえ彼女が、自分から志願して投げたとしても、指導者は止めるべきです。
彼女が天性の強い体を持っていたとしても、それは偶然に過ぎません。

アスリートをもっと大事にして欲しい。

アスリートは、消耗品ではないのですよ(盛り上がったところに、水を差して申し訳ありませんが)。


2008/08/22 AM 07:02:20 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]



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