Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
[TOP] [RSS] [すくすくBLOG]








お盆・演歌に呪われた私
Mac出張講習というのをしている。

3年前までは、年に10回前後あったが、去年は5回。今年は、先日まで3回。
以前は、何度か講習会の様子をブログに書いたことがある。
講習会は、キャラの宝庫だ。信じられない人がいる。
たとえば、この人は、秀逸だった。

しかし、最近は常識的な人ばかりだったので、ブログの主役に抜擢できる人が出てこなかった。
「主役よ、出よ!」と思っていたときに、最強のキャラに遭遇した。

今年3回目の出張講習。
2時間の講習の間、私は体の奥深くから沸き上がってくる恐ろしい戦慄に、全身の震えを抑えることができなかった。

メールをもらって、日時、場所を決めて伺うと、そこは有名なウィークリーマンションの一室だった。
インターフォンを押して出てきたのは、67歳(自称)のおじさん(実際は、10歳くらい若く見える)。
推定身長159センチ。推定体重90キロのメタボさん。
髪はフサフサだが、85パーセントが白髪だ。

顔を見て、誰かに強烈に似ていると思った。
すぐに名前が浮かんだ。
せんだみつお」だった。

玄関を抜けると、ワンルームの部屋(この日本語おかしいような?)。
まず驚いたのは、部屋中がコックピットのようだったこと。

パソコンが1台。液晶モニター。プリンター。スキャナー。そして、本格的なステレオコンポが、中央に位置していて、50インチクラスの液晶テレビもある。
スピーカーは、タンノイ製の年季の入ったもの。アンプはラックスマンテクニクスのターンテーブルもある。そして、驚くべきことに、ティアック製のオープンリールのテープデッキまであった。

アンプには、ボーズのヘッドフォンが繋がれている。近所迷惑を考えて、普段はそれで音楽を聴いているのだろう。
しかし、それでは、タンノイのスピーカーが可哀想だ。
「これでは、宝の持ち腐れではないか」そんな目で見ていたのがわかったのか、センダミツオが、頭をかきながら言った。

「これ、でかいからさ。家に置けないんだよね。俺んち、このすぐそばの一軒家なんだけど、娘夫婦が先月から同居しはじめたもんだから、俺の行き場が無くなっちゃってさ。機械と一緒に引っ越してきたんだよ。一軒家の時は、でっかい音で音楽聞けたけど、今はヘッドフォン生活だよ。肩身狭いねえ」

こう言った後で、大きな屁をした(本当にしたんですよ。信じられます? 初対面の人間の前で『ブッフォー!』ですよ)。

しかし、このコックピットはすごい。
配線が大変だったでしょう?

「俺、電気屋だからさ。今は、娘夫婦に店譲って楽隠居だけど、機械には、強いんだよ。この程度は、昼メシ前だよ(本気で、こう言ったんです)。いや、ほんと、俺、まだ昼メシ食ってねえんだ。最近、メシ食うの面倒くさくなってね」

午後2時。
いいんですか? 食事しなくても。何か食べてくださいよ。何か食べないと、頭に血が回らなくて、理解力も落ちますよ。

「いいんだよ。もともと、理解力なんかないんだから。俺、機械いじりにしか、頭が回らなくてね。かあちゃんからも、『あんたは、ホントにバカだよね』って、毎日言われてるんだ。一緒に暮らしている人間が言うんだから、間違いはねえ!」

しかし、これだけ複雑な配線をできるんですから、バカとは言えないでしょう。
私がそう言うと、延々と自分のバカ自慢が始まった。
10分以上バカ自慢をするので、「まあ、最近はおバカが流行っていますから、それもいいんじゃないですか」と、適当に話を切り上げようとしたら、本気で怒られた。

「あのねえ! あいつらは、営業用のバカでしょ。俺は、正真正銘のバカなの! 一緒にしないでくれる?」

センダミツオは、バカに誇りを持っているようである。

バカ談義をしていても話が先に進まないので、講義をはじめることにした。

MacはOSテン・レパード。評判のOSである。
私も何度か動かしたことがある。動かしてみて、かなり完成度の高いOSという感じがした。
ただ、初心者には、どうかな? と思った。
そこで、「基本的なことは、おわかりですか」と聞いてみた。

すると、センダミツオは私の問いを無視して、突然「俺、作曲がしたいんだよね」と言いだした。

作曲? 確かに、音楽好きなのは、部屋を見れば想像がつく。
これだけの装置を持っているのだから、毎日音楽にドップリ浸かっているのは、間違いがないだろう。

ただ、この部屋に入ったときから、私はずっと嫌な予感がしていたのだ。
センダミツオが、鼻歌を絶えず歌っているのだが、それが演歌らしいのだ(演歌好きの人には申し訳ないが、私は演歌を聴くと鳥肌が立つ)。
そして、CDラックには、200枚以上のCDが陳列されているが、背表紙を見ると、見慣れない日本の歌手の名前だらけだった。

もしかして、これって、全部演歌?
ラックスマンのアンプとタンノイのスピーカーで演歌を聴く?

私は、怖くて、とても本当のことが聞けなかった。

それでは、まるで帝国ホテル内のフレンチレストランで、卵かけご飯を食べるようなものではないか。
いや、それは、まだ「おしゃれ」と認めていいシチュエーションかもしれない。
帝国ホテルで、卵かけご飯は、まだ許せる。

しかし・・・・・、

タンノイのスピーカーから、演歌。
私は、その現実から、逃げようとした。
それだけは、絶対に認めたくなかった。

だが、センダミツオは、あっけらかんと言うのだ。
「センセイ、すみません。俺、音楽がないと、何もできない人なんで、音楽聞きながら、話を聞いてもいいですか」

駄目です!
そう言うべきだった、と後悔したが、私は「ああ・・・、いいですよ」と言ってしまったのだ。

後悔先に立たず。
先人は、いいことを言った。
確かに、いつだって、後悔は後からやってくる。

約1時間半。
わけのわからない歌を聴かされ、そのすべての歌をセンダミツオが熱唱するのだ。
講習など、できるわけがない。

それは、地獄のカラオケボックス。
そして、その地獄からは、決して逃げることができない。
なぜなら、逃げたら、講習料が貰えないから・・・。

ウィークリーマンションの関係者のかた。
お願いがあります。
誰にでも部屋を貸すという善意は、素晴らしいと認めますが、67歳のセンダミツオ似の機械オタク、演歌オタクには、絶対に部屋を貸さないでください!

あれから、まるで墓場から浮かび上がってきたような演歌が、私の脳細胞から消えてくれません。

脳細胞が・・・・・、お盆を迎えたようになっています。



★お盆には、CG「怒られた」



講習会の帰りに、マクドナルドでマックベーカリーを食べながら、コーヒーを飲んでいたときのこと。

後ろの席から、外人らしき女の人たちの会話が聞こえてきました。

「日本人は、オリンピックになると愛国心丸出しになって『ニッポン、ニッポン』て騒ぐけど、あれって気持ち悪いよね」
「いつもは、無関心なのにね」

そのご意見は、多少は頷けるものがあります。

しかし、日常生活で、愛国心をすべてに優先すると、「世界は俺たちを中心に回っている」「国民の命や生活より、国家利益が優先だ」「どんなに国民が飢えていても、ミサイル1本の方が価値がある」という、どこかの国のようになってしまいます。

私は、4年に1回だけ、自分の中の愛国心を再確認する国民がいてもいいのではないかと、不謹慎ながら、思っています。


2008/08/16 AM 08:11:30 | Comment(4) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



(C)2004 copyright suk2.tok2.com. All rights reserved.