Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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深夜の訪問者、警官。
夜の11時35分。
近所の印刷会社で、一人仕事をしていた。

84頁のイベント報告書を100部出力。
100部だと印刷すると高くつく。だから、レーザープリンタで出力したものを製本するのだが、最近の出力機はきめ細かくなっているので、仕上がりを見たら、一般の方には印刷としか思えないだろう。

組み版自体は、校了になっている。
だから、あとはクォークという組み版ソフトに張り付けて、両面でプリントしていく。
我が家のレーザープリンタには両面ユニットがついていないので、両面印刷の時は、いつも印刷会社のプリンターを貸してもらうことにしている。

とりあえず1部プリントしてみた。
ノンブルの位置があっているかどうかを確認して、それを糊付けする。
表紙もプリントして、中身を表紙でくるむ。それを綺麗に断裁する。
そうすると、立派な一冊の本になる。

これをサンプルにして、印刷会社のオペレーターに仕上げてもらうから、このサンプルが間違っていたら、100冊全部がミスということになる。
だから、この作業はいつも慎重にやっている。
何度も頁を確かめ、画像などの抜けや文字化けなどがないかを虫眼鏡で確認していく。

ミスはなかったようなので、部数を「105」と打ち込んで、プリントボタンを押した(5部は予備だ)。
プリントボタンを押したら、もう何もやることはない。

ビールでも飲もうか、と思って立ち上がったそのときである。
窓ガラスをコンコンと叩く音がした。

深夜の訪問者?

全身が緊張した。
窓の外を見てみると、警官が立っていた。
なおさら緊張した。

何で、警官が?
俺は、仕事をしているだけだぞ。咎められることは何もやっていない。
俺は、無実だ!

無実な顔をしながら、窓際に近づいた。
40歳前後の警官が、ドアを開けろと身振りで告げていた。
しかし、警官の格好をしているからといって、彼が本物の警官とは限らない。
コスプレかもしれない。

そこで、「警察手帳を見せてください」と、ドア越しに言った。
コスプレ警官は、最初ムッとした顔をしたが、素直に見せてくれた。
本物だったようである。

ドアを開けた。
「何をしているんですか?」と聞かれた。

私が、プールで泳いでいるように見えるか?
海パンは、はいてないぞ。
だから、仕事をしているに決まっているだろう!

続けて、本物警官は、「こちらにお勤めなんですか?」と、奇妙なことを聞いてきた。
普通、会社で仕事をしている以上、その会社に勤めているに決まっているではないか。
しかし、世間というものは常識通りではない。
しかも、私はオモローが付くくらい正直者である。

だから、「いえ、私はここの社員ではありません。機械を貸してもらっているだけです」と、正直に答えた。
それを聞いて、本物警官の顔色が、少し変わった。

「どういうことですか? 説明してください」と、拳銃を私に突きつけた(嘘です)。
本物警官が、ドアを大きく開けて、中に入ってきた。
恐ろしく真面目な顔をしている。
眉が少しだけ吊り上がっている。
いい遊び相手ができた、と思った(一人で作業していると、退屈なんですよ)。

この会社の社長からは信頼されていて、合い鍵も渡されている。いつでも機械を使っていいことになっている。
今日は、急ぎの仕事があったので、深夜作業をさせてもらっている。
これは、社長も承知のことである、と私は本物警官の目を真正面から見つめながら、力説した。

「では、その社長と連絡を取らせてください」と、本物警官は、胸を反らしながら、さらに玄関口奥深くに進入してきた。

社長の自宅に電話をしたが、出なかった。
携帯に電話をしたが、出なかった。

犯罪者を見る目で、本物警官が私を見ている。
「まあ、上がってくださいよ」と、作業場に本物警官を招じ入れた。

「私の罪は、不法侵入ですかね。そして、勝手に機械を使っているから、これは窃盗になりますね。私はこれから冷蔵庫に入れてあるビールを飲むつもりですから、これも窃盗になりますね」
そう言って、私は、冷蔵庫からビールを取り出し、それを呷った。

本物警官は、まだ眉間に皺を寄せている。
真面目な人のようだ。
絡みにくい、と言ってもいいかもしれない。
「遊び相手には、ならなかったな」と後悔した。

「社長さんと、連絡はつきませんか?」と、少々苛ついた声で、本物警官が私を睨んだ。
その、あまりにも真面目な態度に私も苛つきながら、「電話番号を教えますから、会社の電話でかけてくださいよ。俺は仕事がありますんで」と投げやりに言った。
そして、「不法侵入と窃盗罪、電話を勝手に使うのも窃盗罪ですかね」と、棘(とげ)をむき出しにしながら、私も本物警官を睨んだ。

本物警官は、私の険しい顔にたじろぎながら、電話をかけた。
だが、社長の携帯は、反応しなかったようである。

「社長さんは、こんな時間に、何をしているんでしょうかね?」と、本物警官が遠慮がちに呟く。

「フィリピンパブかカラオケスナック」と、私はまた投げやりに言葉を放り投げた。
気まずい雰囲気が、あたりに漂った。

プリントが終わった。
私は、本物警官の存在を無視して、仕上がったプリントを確認していった。
仕上がりが曲がっていないか、ノンブルの位置がずれていないか、色むらはないか、集中して確かめた。

私の真剣な姿を見て、本物警官は、居住まいを正して、会社の風景を見回していた。
暗い空間。たまにゴキブリが運動会を始める空間。なぜか突然壁が「ミシッ!」という大きな音を立てる空間。
初めての人には、居心地が悪いだろう。
しかし、私はそれを無視して、作業を進めた。

ほぼ全部のプリントを確認し終わりそうになったとき、社長の携帯と繋がった気配があった。
本物警官が、送話口を塞ぎながら、私に子機を差し出した。

「もしもし、なんだね? こんな時間に何か用?」
くつろいだ社長の間抜けな声が、聞こえてきた。

「社長、今どこですか?」
「サウナだよ」

ほーっ、サウナですか。
ということは、全裸ですね。
完璧な全裸ですか?

「ああ、完璧だよ。スッポンポン! 見事なもんさ!」

社長、あなたに逮捕状が出ています。
公然わいせつ罪です。
いま、警官がそちらに向かいますので。

「えっ! なに! Mさん、どういうこと? ちょっと、何言ってんの? なに!?」

私は、社長の訴えを無視し、厳かな顔をして、本物警官に子機を手渡した。

本物警官は、眉間に皺を寄せたまま、「ああ、O警察のGです。ちょっと、お伺いしたいことが・・・」と言った。

きっと、社長は慌てたことだろう。
電話だから、残念ながら、その慌てた様子は見ることができない。
しかし、想像はつく。
社長の頭の中は、真っ白になったに違いない。そして、顔は蒼白に・・・。
やましいことのある人間には、警官の存在は、必要以上に重圧を感じるものである。

深夜の作業は、単調だ。
こんな娯楽がなければ、疲れるばかりである。
今夜は、いい「お遊び」ができた。

大変、面白い夜だった。
フフフフ・・・・・、満足、満足・・・・・。



★満足した人は、CG「いらつく女」



毎度おなじみ「内閣改造ゲーム」。

いい年をした老人たちが、順繰りに大臣の椅子を動かし、陣地を占めるゲーム。
ガソリンがまた上がった日に、脳天気に何をしているのかと思います。

老人の駒が、一つずれたくらいでは、この国は何も変わらないでしょう。

「選挙ゲーム」をしたがっている老人が、ライバルチームにいるようです。
どっちのゲームが楽しいか。
いずれにしても、二つのゲームは老人たちだけのもの。

今の日本は、老人がゲームをしている状況ではないと思うのですが・・・。


2008/08/02 AM 07:26:23 | Comment(4) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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