Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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不機嫌なラーメン屋店員
また得意先が倒産した。

ただ今回は、請負代金を3か月前にいただいていたので、実害はなかった。
危ないところだった。

しかし、取引先が次々と消えていくのは、憂鬱である。
そして、最近の私には、もう一つ憂鬱なことがある。

その憂鬱の原因を作った男が、目の前にいる。
友人のスガ君である。
彼に関しては、このブログで何度か書いた(たとえば、コチラコチラ)。

バツイチの彼が結婚して、子どもが生まれた。
出来ちゃった婚(この表現、古い?)だったから、彼らは、まだ式を挙げていなかった。

彼らは、赤ん坊が、それなりに人間に近づいたので、式を挙げたいと言いやがるのである。
そして、私に仲人を頼みたいと言いやがるのである。

たいへん、憂鬱だ。

仲人は初めてではない。
11年前に、一度したことがある。
その時は、大変緊張した(特に式の前が)。

しかし、緊張しまくりの自分が嫌になって、披露宴前には、もうどうでもよくなり、披露宴では投げやりになって、かなりテキトーな仲人になっていた。
新郎新婦を歯の浮くような決めゼリフで褒めるのは止めにして、自分の言葉で紹介した。

それは、ごく一部では評判が良かったが、常識的な列席者からは、白い目で見られた。
だからと言うわけではないだろうが、それ以来仲人の依頼は来なくなった。
しめしめ、と思っていた。

しかし、スガ君は、「どうしてもMさんに」といって聞かないのである。
挙げ句の果ては、奥さんの父親まで連れてきて、頭を下げやがるのである。

そこまでされて断ったら、私は「薄情な男」のレッテルを貼られる。
「喜んでお引き受けいたします」と言いながら、心では大きな溜息をついていた。
気が重い。

スガ君との打ち合わせは、いつもラーメン屋だ。
上野のラーメン屋。
このラーメン屋は、3回目だったと思う。

濃厚な豚骨ラーメン。
味は悪くない。値段も手頃である。カウンター席はない。すべてがテーブル席だ。店構えは、綺麗とは言い難いが、年季を感じさせる雰囲気は悪くない。

ただ、今回気にくわなかったのが、注文を聞きに来た男が仏頂面で、いかにも不機嫌丸出しだったことである。
ふて腐れた態度で「いらっしゃいませ」も言わず、注文をしても、こちらの注文を確認もせず、能面のような顔で我々に背を向けたのだ。

前回来たときの彼は、こんな仏頂面ではなかった。
愛想がいいと言うほどではないが、常識的な接待をしていたと記憶している。

不機嫌な彼は、ラーメンを運んできたときも、不機嫌だった。
彼に、プライベートなことで不機嫌になる出来事があったのは確かだろうが、仕事中にそれを客相手に態度で表すのは、接客のプロとして、あまりに恥ずかしい行為ではないかと、私は思った。

店員に、こんな応対をされたら、誰だって腹が立つはずだ。
ただでさえ、仲人を頼まれて憂鬱な私は、こんな態度を見て、心のビッグウェーブを抑えることが出来なくなった。

ただ、私の場合、面と向かって相手に抗議するということはしない。
イタズラを思いつくだけである。

この店は、日曜祝日は、ライスがタダだった。しかも、お代わり自由。
それをイタズラのネタにしようと思った。
そこで私は、スガ君に、ライスを注文させた。
スガ君の特技は、おかずがなくても、飯だけを食うことができるというところである。

彼は、水だけで、ライスを普通盛りで2杯平らげた。
その後、豚骨ラーメンを食いながら、大盛りライスを4杯食った。
そして、私が残したスープをおかずにして、さらに2杯ライスを注文した。

合計8杯。

それを見て、仏頂面の店員の表情が少しだけ、変化した。

「このデブ、いくら何でも、食い過ぎだろう」
そんな顔で、スガ君のことを見つめていた。

その顔を見て、私もライスを注文した。
生卵も追加注文した。

そして、卵がけご飯をズルズルズルっと、かき込んだ。
これは、うまかった。
もしかしたら、豚骨ラーメンよりも美味かったかもしれない。

「やっぱり、日本人は、卵がけご飯だよね」
スガ君に向かって、そう言ったのだが、もちろんそれは仏頂面の店員に聞かせるための言葉だった。
スガ君は、長い付き合いで、私の性格がよくわかっているから、彼も生卵を注文して(彼の場合は3個)、大盛りライスに大量のしょう油をかけて、卵がけご飯をかき込んだ。

他に数人の客がいたが、仏頂面の店員は、もう私たちしか見ていなかった。

その後、私たちは、もう一度ライスを注文した。

ライスだけを、ゆっくりと食った(仏頂面の店員の視線を意識しながら)。

そして、店を出た。

ライスを2人で12杯食い、生卵を4個注文したが、払った金額は二人で1520円(スガ君の奢り)。
スガ君は、まったく平気な顔をしていたが、私は腹がパンパンだった。

帰るとき、テーブルの上にメモ書きを置いてきた。

ご飯は(ここだけ大文字)、たいへん美味しかったです(覆面調査員より)」

本当は、「ミシュランの覆面調査員」と書きたかったのだが、そこまでするとやり過ぎなので、我慢した。

これは、まったく、幼稚なイタズラだ。
程度が低い。

でも、それでスガ君の仲人をする踏ん切りがついたのだから、仏頂面の店員には、感謝すべきかもしれない。

今回もテキトーな仲人になると思うが、「Mさんは、テキトーが持ち味ですから」と、褒められた(?)ので、おそらく緊張することはないであろう。

幼稚なイタズラのおかげで、テキトーな仲人をする勇気が出たテキトーオヤジでした。



★テキトーな人は、CG「山小屋にひとり」


2008/04/30 AM 07:06:01 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]



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