Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
[TOP] [RSS] [すくすくBLOG]








斉藤さん
私の小学6年の娘は、ドラマ好きだ。

彼女は小学1年の時に、私が見ていた「トリック」を気に入り、トリックマニアになった。
トリック全巻と映画を何度も見直し、セリフもほぼ暗記するほどになった。
ごくせん」シリーズも気に入っていて、これもかなりの完成度で暗記している。

娘は、つまり仲間由紀恵が大好きなのだ。
彼女の出ているドラマは必ず見る。
娘は、仲間由紀恵のことを、「世界一の美女」だと思っている。

だから、「ごくせん」の新しいシリーズが始まることを聞いて、今から叫んでいるのだ。
「ウォー! ヤンクミ〜〜! カ〜ンバ〜ック!」

そんな娘が、気に入っている今回のドラマのベストスリー。
第1位 1ポンドの福音
第2位 薔薇のない花屋
第3位 鹿男あをによし

「1ポンドの福音」は、HeySay! JUMP山田涼介が出ているから、というだけの理由で1位である。
ドラマとしては、ちっとも面白くないから、1時間真剣に見る気はないらしい。
だから、メールをしながらの「ながら見」で、山田涼介の場面だけ、画面に目を移すだけだ。
その割り切り方は、すごいと思う。

つまり、実質的な1位は、「薔薇のない花屋」ということになる。
ただ、これもどこが面白いというわけではなく、何となく展開が気になるから見ているのだと言う。
それに、竹内結子のことを「メッチャきれい! すごいよ! なんでこんなに綺麗な人がいるの! 表情が魅力的! 仲間由紀恵クラスだよ!」と気に入っているから、それもランクが高い理由だ。

「鹿男あをによし」に関しては、面白い、とはっきり言っている。
日本を救うために選ばれた男は、冴えないノイローゼ気味の男。
神の使いの鹿が喋ったり、主人公の顔が鹿になったり、キツネやネズミがキーワードとして出てきたり、大きな地震が続いたりと、展開が読めないところが、興味をそそられるらしい。
ドラマの舞台となっている奈良の町の雰囲気も、娘にとっては「絵になる風景」に映るらしく、「あれは、セット? もし本当の風景なら、行ってみたい」とも言っていた。

娘が今回見ているドラマは、「薔薇のない花屋」「ハチミツとクローバー」「あしたの、喜多善男」「斉藤さん」「鹿男あをによし」「1ポンドの福音」「ロス・タイム・ライフ」だ。
自分ひとりで見るのは嫌なので、いつも私に見ることを強要する。

仕事が忙しいときは、私は見ることができないので、ビデオに録って後で見るのだが、その時も「一人だけで見るなよ」と言って、一緒に見る。
ただ、最近は仕事が減ったので、リアルタイムに見ることの方が多いが(寂しい現状です)。

この中で私が気に入っているのは、「斉藤さん」だ。
これは、話がわかりやすくていい。
漫画が原作ということもあって、登場人物の性格設定が単純なところが、さらにいい。

正義感の強い主人公。お人好しの友だち。主人公と対極のママたちのリーダー。群れたがる幼稚園のママたち。気の弱い園長先生。馬鹿な不良たち。無関心な世間。

「ごくせん」に似たわかりやすさである。
娘は「ごくせん」が大好きだから、この手のドラマにはまるかと思ったが、「面白いけど、子役が下手過ぎ! 展開がベタ過ぎ!」と言って、少し冷めた目で見ている。

私は、この下手な子役がいい、と思っている。
「薔薇のない花屋」にも子役が出てくるが、こちらは上手すぎる。
上手すぎるから、逆に「これは無理がある」と思ってしまうのである。
大人から見た「理想の子ども」を演じさせているだけだから、見るのがつらくなる。

「薔薇のない花屋」は、きっとドラマ通の人から見れば、良くできたドラマ、ということになるのだろう。
ビッグネームの脚本家が、それなりにビッグネームの役者を揃えて、ビッグネームの歌手の歌声をエンディングテーマで流す。

いくつかの謎を物語の核として残しながら視聴者を引っぱる技術は、絶妙と言っていいかもしれない。
ひとことで言えば、職人芸だ。

だが、ドラマや映画にエンターテインメント性を求める私には、深刻ぶった話を作って、無理に深刻ぶった演技をする俳優が出るドラマは、押し付けがましく感じる。
「そんなに深刻ぶって、いったい何を伝えたいの?」と思ってしまうのである。

だから、鹿が喋る、というシチュエーションの「鹿男あをによし」の方が、私好みのエンターテインメントだし、それ以上に、「こんなわかりやすいキャラの人がいるわけない」と思わせる「斉藤さん」の方が好きなのだ。

私は、映画やドラマは、日常生活を反映させなくてもいいと思っている。
どんなに良くできたドラマでも、現実には絶対に勝てない。
現実を忠実になぞっても、ドラマはドラマだ。

現実とドラマとでは、表現世界が違うのだから、私はドラマや映画、演劇にリアリティを求めない。極端なことを言うなら、荒唐無稽でいいと思っている。
当たり前のことだが、現実をなぞったドラマは、現実のふりをしているだけだ。

人の苦悩や悲しみ、喜びの表現は、一律ではない。
一流の俳優は、色々な表現方法でそれを表現するが、人は本当に哀しいとき、哀しい表情が出来ないことがある。
だが、俳優は哀しい表情をしないと、それが見ている側に伝わりにくい。
だから、俳優は様々な表現方法で哀しみを表す。
しかし、その演技は、ただ哀しみを見る側に押し付けているだけではないのか、と思うときがある(かなりひねくれていますね)。

私はそこに、ドラマの限界を見てしまうのである(少し偉そうに言ってみました)。

だが、「斉藤さん」には、限界がない。
喜怒哀楽を型にはまった表現方法で、わかりやすく見せるだけだからだ。
このキャラなら、この場面では確実に怒るだろう、泣くだろう、笑うだろう、というのが、単純に伝わってくる。
子どもたちの演技は下手だが、演出家が自由にさせているのが感じられて、「いいんだよ、これで」と思ってしまうのだ。

そんな話を娘にすると、「そうか、そういう考え方もあるのか。『斉藤さん』は、わかりやすいからいいのか」と大きく頷いていた。

今日は珍しく素直だな、と思っていたら、「いまミーが何を表現しているかわかるか」と娘が聞いてきた。

顔を覗いてみると、娘が口を横に大きく開けて、満面の笑みを作っていた。

その顔を見て「何か嬉しいことがあったのか」と聞くと、「屁をしたんだよ。だから笑って誤魔化してるんだ」と言った。

く、くせえ〜!

これは、どんな演技力だ?!



★演技力のある人は、CG「交差点を走る人たち」


2008/02/28 AM 07:06:41 | Comment(5) | TrackBack(0) | [日記]



(C)2004 copyright suk2.tok2.com. All rights reserved.