Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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寝だめした一日
ヨウスイが腐る、というのを聞いて、井上陽水はどう思っただろうか。
俺って腐るのか・・・・・。

35才の頃の井上陽水氏は、「いっそセレナーデ」がヒットしていたから、腐っていなかったようだが(完璧なオヤジトーク)。

それはさておき・・・、
出張したり、熱を出したり、徹夜をしたり、疲れることばかり。
だから、眠い。

寝だめがしたい。
丸一日寝ていたい。

今日は、大宮の印刷会社から呼ばれているので、行かなければならないが、億劫だ。
気が乗らない。面倒臭い。

そう思っていたら、願いが通じた。
「原稿が揃わないので、打ち合わせの日にちを延ばしてください」
はい、延ばしましょう、延ばしましょう!

これで、今日一日、身体が空いた。
眠ってやる。むさぼるように眠ってやる。

しかし、自宅で寝ていたら、電話がかかってきたり、娘からは「なんだ、ヒマだな」と言われたり、ヨメからは「働け光線」を浴びせられるのは、目に見えている。

そこで、「隠れ家」である。
このブログでも何度か書いているが、取引先の倉庫が、我が家から約1.5キロのところにある。
そこは、倉庫ではあるが、衝立で仕切られた事務所もあるし、エアコンとトイレも付いているので、隠れ家としては最適な環境だ。

その取引先の社長から、パソコンのメンテナンスを無料でするなら、いつでも倉庫を使わせてやるというお墨付きをもらっていた。
だから、この隠れ家で、丸一日寝てやろうかと考えた。

社長に電話で確かめると、今日は倉庫を使う予定はまったくない、と言われた。
しめしめ、である。

朝メシを食って、机の上に「オヤジは夜7時22分まで旅に出る。腹が減ったら、冷蔵庫のパウンドケーキを食え。・・・決して私を探さないでください」と書き置きをして、家を出た。

午前9時過ぎ。
自転車をすっ飛ばせば、隠れ家までは10分ほど。
倉庫脇の扉を開けて中にはいると、表と変わらない冷気が身体を包む。
無人の倉庫は、寒いものである。

ドアに鍵をかけて、一目散に事務所に滑り込む。
エアコンのスイッチを入れ「急速暖房」にする。
体感温度5度くらいか。
今の時期は、エアコンを1時間かけても、20度まで上がることはない。
せいぜい18度くらいまでしか上がらない。

自宅から持ってきて置きっぱなしの毛布を2枚身にまとって、事務所の隅に置いた特大段ボールを開ける。
中には、文庫本やカップラーメン、「いいちこ」などが入っている。

ハードオフで買った電熱器でお湯を沸かし、いいちこをホットで飲む。
立て続けに2杯飲むと、指先の冷たさがとれて、温かい血液が身体を流れていくのを実感する。

事務所に長いソファがある。
これは、年代物で、しかも雑に扱っていたらしく、無惨な姿をしていたが、我が家から持ってきたシーツをかぶせたら、男前になった。
その男前のソファに腰を下ろし、3杯目のホット焼酎をゆっくり飲み始めた。

たまにトラックの通る音が聞こえるが、ほとんど気にならないレベルである。
置きっぱなしのCDラジカセにCDを入れた。
気に入った曲をCD-Rに焼いたものだ。

ロック編、ジャズ編、クラシック編、浜田省吾編、倖田來未編(世間からどんなに叩かれても、私は彼女の味方です)、椎名林檎・東京事変編(トウキョウジヘンヘンって変?)、柴咲コウ編など色々あるが、今回はロックをかけた。

ランダムスイッチを押して、演奏順を機械任せにした。
最初に聞こえてきたのは、Jimi Hendrixの「All along the watchtower」だった。
ジミヘンが、ボブディランの曲をカバーしたものである。

天才ギタリストが、天才ソングライターの歌を歌う。
荒削りのジミヘンのギターが、自由自在にうねる。
そして、孤独を凝縮したようなジミヘンのしゃがれ声が、冷気を切り裂くように鋭く斬りつける。
24歳で死んだ天才ギタリストは、どんな曲でも、孤独をまき散らしたまま、我々を置き去りにする。
まるで、「俺に近寄るな! 俺はギターだけが友だちなんだ」と言っているように。

Led Zeppelin、Neil Young、Freeを聞いたところまでは覚えていた。

目が覚めたのは、3時50分頃だった。
5時間以上眠っていたようだ。
ソファから落ちることもなく、毛布を2枚身体に巻き付けて、熟睡していたようである。

リピートさせておいたCDラジカセからは、Creamの「White Room」が流れているところだった。
次は、Guess Whoの「American Woman」、そこまでは覚えていた。

次に目が覚めたのは、6時35分。
2時間以上眠っていたことになる。

身体を起こした。
少々からだ全体が強張った感じがするが、脳細胞は、余分なデータを消し去って、空き容量が増えたハードディスクのように回転が軽やかだ。

「気持ちいー!」
と叫んでみる。
声が天井に跳ね返って、余韻が残る。

今度は、いいちこをラッパ飲みして、「エイドリア〜〜ン!」と叫んでみる。
もう一度ラッパ飲みして、「@#$%のバカヤロー!」と叫んでみる(@#$%のところは、ご想像におまかせします)。

景気づけにもう一度ラッパ飲みをして、「隠れ家道具」を特大段ボールに格納した。
隠れ家を出たのが、7時5分。
外は、かなり寒かったが、睡眠不足の朝と睡眠タップリの今とでは、気分がまったく違う。
このまま、ETの自転車のように、月までも行けそうな気がするほどである。

家に帰ったのが、7時20分ジャスト。

ドアを開けると、玄関に、小学6年の娘が立っていた。
「おお、旅から帰ってきたか。おや? 酒臭いな。おまえの旅ってのは、酒を飲むことなのか。一日中酒を飲んでいたのか? おい! 白状しろ!」
仁王立ちである。

娘の手に500円玉を握らせて、許してもらった。

結局、脳細胞の無駄なデータだけでなく、財布の残高も減った一日だった。


2008/02/16 AM 08:44:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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