Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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靖国神社でトラウマ
「甘いんだよ、おまえは!」と怒られた。

すかいらーくで、2日続けて打ち合わせ。
前日は、リアルイラストの達人イナバだったが、今日はコピーライターのススキダである。
隣には、小柄なススキダ夫人がいる。

ススキダ夫人と私は、昼間から生ビールを飲んでいる。
ススキダは紅茶だ。
彼らは横須賀から車でやって来たから、ドライバーであるススキダはアルコール厳禁だ。
しかし、ススキダは顔に似合わず酒が飲めないから、どちらにしてもソフトドリンクを飲むことになる。

何が似合わないといって、ススキダと紅茶の組み合わせほど、似合わないものはない。
紅茶は、貴族の香りがする。
気品漂う人が飲んでこそ、紅茶が生きる。

だが、ススキダには、極道の香りがする。
背中の刺青(いれずみ)を見せながら、一升瓶を抱えている姿こそふさわしい(ススキダの背に刺青はないが)。

そして、ススキダが怒ると怖い。
何といっても、顔が怖い。
前科2犯程度のチンピラなら、ビビって腰を抜かすかもしれない。
気の弱い人なら、トラウマになって、PTSDを患うかもしれない。

私も気が弱いので、ススキダと別れた後は、いつも布団をかぶって泣いている。

「俺たちは自由業だから、社員はいないが、家族はいる。家族のためにも、もっと厳しくなれよ!」

そう言われたので、一応厳しい顔をしてみた。

すると、「顔じゃねえよ!」と怒られた。

なぜ私がススキダに怒られているのか。
それは、新しい仕事の打ち合わせが終わって、お互いが昨年の収支のことを報告し合っていた時のことだった。
私の昨年の未回収金が、総額の23パーセントあるというのを聞いて、「なんじゃ、そりゃあ!」とススキダが眉をつり上げたのだ。
そして、「俺には、未回収金も欠損もないぞ!」と威張るのである。

さらに、鬼も怖がるような形相で私を睨む。
「自由業ごっこをやってるわけじゃないんだから、危ない会社くらい肌で感じろよ! 昨日今日、仕事始めたわけじゃないだろ。なんでギリギリまでわからなかったんだ?」

いやあ、まいったまいった、靖国神社。

「あー、靖国神社は行ったことないですねえ。どこにあるんでしたっけ?」

ススキダ夫人が、ジョッキを口に運ぶのを止めて、優しい笑顔を向けた。
優しい顔と怖い顔。
美女と野獣。
元ナースと極道顔。
なんというミスマッチ!

九段下ですよ。
知ってますか? 東京地方の桜の開花は、あそこのソメイヨシノをみて判断するんですよ。

「知ってますよ。でも日中問題も大変なときですから、私は行かない方がいいかしら?」
ススキダ夫人は、香港生まれの中国人なのである。

そうですねえ。微妙な時期ですからね。冷凍餃子問題もありましたし、北京オリンピックに影響してもいけませんから、自粛した方がいいんじゃないでしょうか(何を言ってんだか)。

「おまえらなあ・・・」
ススキダが、肩を落とし、呆れたような顔をして首を振った。
「なんで、靖国神社が出てくるんだよ。未回収金の話をしていたんじゃなかったのか!」

ススキダは、顔に似合わず真面目な男である。
冗談を言っても、反応するのが人より遅い。20秒後に笑い始めることもあるし、怒ることもある。
私が言う冗談の10分の1も、わかってくれない堅物だ。
ただ、時に鋭いツッコミがジャストミートするときがあって、そのときは漫才の相方として強力にマッチする。

すまん、すまん、す曼珠沙華(まんじゅしゃげ)。

「ああ、曼珠沙華って、彼岸花のことをいうんですよね。あれ、強い毒を持っているの知ってました?」

さすが、元ナース。よくご存知で。
死人花(しびとばな)という別名もあるんですよ。こわいですよねえ。
まあ、ススキダは何食っても死なないでしょうけどね。

(二人同時に)ハハハハハ・・・・・。

「俺は、漫才を聞きに来たわけじゃない! おい、帰るぞ!」
ススキダが立ち上がろうとした。
しかし、ススキダ夫人が、「ダメ! まだビールが残ってるでしょ」と、自分のジョッキを指さしながらススキダの上着の裾を掴んだ。

ススキダは、叱られた小学2年生のような顔をして、また腰を下ろした。
そして、つぶやく。
「まいったなあ」

違う! まいったまいった、靖国神社だ!

また、睨まれた。
トラウマに・・・・・。


2008/02/10 AM 08:29:08 | Comment(2) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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