Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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車内でシンクロ
只今名古屋に出張中。
5日から8日まで、名古屋の同業者のサポート隊として出動。
毎日、日帰り出張です。

事務所に泊まれと言われたが、「息子の弁当を作らないといけない」と強く主張したら、呆れられながらも許してくれたので、毎日新幹線通勤をしております(帰宅時間は11時半を過ぎますが)。

心の広い同業者を持つと、得をした気分になります。

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さて今回は、世の中には、同じことを考えている人がいるんだなぁ、というお話。

名古屋の同業者から、8か月ぶりにお呼びがかかったので、5日の昼、久しぶりに新幹線に乗った。
車内はすいていた。
昼メシを作ってきたので、車内で食べた。

チャーハンおにぎり2個と魚肉ソーセージを甘辛に炒めて小松菜の葉で巻いたもの、それに自家製シュウマイ5個である。
飲み物は、ホットコーヒーをステンレスボトルに入れて持ってきている。

おにぎりを食いながら、車窓を眺める。
慣れ親しんだ景色が、ゆっくりと流れていき、次第に飛ぶように流れていった。

そんなとき、男の声が私の耳に入ってきた。

「いいかい。自分が一番不幸だなんて思うんじゃないよ。誰だって悩みはあるんだ。みな色々な問題を抱えている。だが、それを自分の力で何とかしようと、誰もが頑張っているんだ。大学を出て20年間、まともに定職についたこともないお前が、『俺は世界一不幸な人間だ』なんてのは、おかしいだろう?」

世界一不幸な人間?

50年以上生きてきて、まともに働きもせず、何も生産せず、毎日パチンコして酒飲んでいる人間が、「私は世界一不幸な人間なの」なんて言うなよ!

それは昨夜、私が姉に言ったことばである。

車内から聞こえてきた男の声と、怖いくらいシンクロ(同期)しているではないか。

「仕事を持っていて、家庭も持っている兄さんに俺の気持ちなんか、わからないよ!」
細い声で抗議する男の声。
顔は見えないが、震えた声に不安定な感情が混じって病的なものが感じられる。

アンタに私の気持ちなんかわからないわよ! 私のことなんか誰もわかってくれない!

それは、昨夜の姉の叫びである。

震えた男の声が、ひときわ甲高くなる。

「誰も俺の苦しみをわかってくれない!」

「わかるわけないだろ。健康な40男が、職にも就かず結婚もせず、親の年金をあてにして毎日ブラブラしてるんだ。そんな気持ち、どうやってわかれって言うんだ!」
相手の男の声も、興奮でうわずってきている。

わからないよ! じゃあ、アンタはひとの気持ちがわかるのか!

これは、過去何度も繰り返してきた私のことばだ。
1ミリグラムほどの努力もしたことがない姉の気持ちなど、私にわかるわけがない。
私は、聖者ではなく、日々をただ忙しく暮らすだけの「生活追い人」でしかない。
自分のことを考える余裕はないが、人のことは常に考えている。
だが、自分勝手な人間のことを考える時間は、私にはない。

「あのなあ、みんな生きていくことに一所懸命なんだよ。自分で社会から外れていこうとしている人間のことなんか、相手にしているヒマはないんだ。自分のことをわかってほしかったら、お前が人のことを理解するのが先だ。そうじゃないと、誰も相手にしてくれないぞ」

そのことばは、また私の昨夜のことばと見事にシンクロしていた。

まずは、他人を理解する努力をすること。その努力もできない人間が、人にわかってもらおうなんて、虫が良すぎるんだよ! 一度自分を捨ててみな。自分のことを考える余裕がなくなるくらい、人のために生きてみろよ! 自分しか見てないから、「世界一不幸な女だ」って話になるんだよ。

「誰も俺を助けてくれないじゃないか!」

「それは、お前が何もやろうとしないからだ。お前はゼロから百を取り出そうとしているんだ。自分では何もしないのに、人には何かをしてもらおうと思っている。そんなやつを助けるやつなんか、どこにもいない」

どうして誰も助けてくれないの!

「じゃあ、今までアンタはいったい誰を助けたんだ?(パチンコ屋と酒屋を儲けさせただけじゃないか…これは、思うだけで言えなかったが)」

「自分だけが不幸だと思っているのなら、確かめてみればいいじゃないか。一度自分だけで生きてみたらいい。誰にも頼らずに、自分だけで立派に生活してみろよ。社会は厳しいが、何かをすれば必ず何か返ってくるものがある。悪いことも沢山あるが、悪いことばかりじゃない。いいこともある。だけど、何もしなかったら、そのいいことに巡り会うチャンスはないんだ。今のままでは、俺にはお前の気持ちなんて、サッパリわからないよ」

自分が世界一不幸だと思うのなら、自分でそれを確かめろよ。社会に出て、自分で感じ取ってみたらいい。家に引きこもっていたら、本当に不幸かどうかもわからないだろ? 外の空気は、寒いし冷たいよ。でも、触れてみなければ、寒いか冷たいかもわからない。閉ざした世界から飛び出さないと、アンタのことは誰にもわからないよ。これから先も、誰も気付いてくれない。

・・・・・・・。

会話が、途絶えた。

車窓の景色が、ただ通り過ぎていく。

私は、大きなため息をつきながら、最後のシュウマイを口にほうり込んだ。


2008/02/07 AM 07:00:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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