Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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一字違いで
一昨日の午後10時前、前回見逃した「働きマン」のビデオを見る前にメールボックスを開けてみたところ、「緊急連絡」というタイトルのメールが受信されていた。
受信時刻は、午後9時41分。
差出人は、L企画のサイトウさん。

L企画からは、先月初めて仕事をもらった。
それは、L企画の系列の塾の講師たちに配布する伝達書のようなものを作って、カラーレーザープリンタで200部プリントする仕事だった。

仕事の難易度は、かなり低い。
ロゴは先方からの支給だし、テキストもすでに打ってある。
タイトルの書体や色、サイズの指定もされている。
使う写真もデジカメ画像が2点。それを配置する場所も指定されている。
唯一工夫しなければいけないのは、「空いている箇所には、適当なイラストを適当に入れておいて」という点だが、これは工夫と言うほどのものではない。
あまりにも楽な仕事だ。

これは、はたして仕事と言えるのか。
そんな疑問が、一瞬頭をよぎる。
しかし、だからといって、「こんなの俺じゃなくてもいいじゃん!」などと思ってはいけない。
どんな仕事でも、仕事は仕事。
だいいち、私にしかできない仕事など、この世には存在しないのだから、身の程を知らなければいけない。

ありがたい、ありがたい・・・・・(拝)。

この仕事は、1時間もかからずに初稿を上げて、すぐ校了になった。
そして、プリントにかかった時間が、1時間と少し。
前日の午前中に仕事をもらって、翌日の午後には納品。

ストレスの溜まらない仕事は、気持ちはいいが、物足りなさも感じる。
それが、贅沢で勝手な感想だというのは承知している。
しかし、罪深い私は、「もう少し複雑な仕事を」と思ってしまうのです。
それは、いけないことなのでしょうか・・・・・(神様)。

そんなことを思っていた一昨日の朝、またL企画から仕事の依頼が来た。
仕事の内容は、前回とほぼ同じ。違うのは部数だけ。今回は400部だった。

仕事は、前回同様順調に進み、一昨日の午後5時には、プリントも完了した。
そして、それをすぐに梱包してヤマト運輸の集配センターに持っていき、配送手続きを済ませた。
もう送ってしまったから、いまさら「修正しろ」と言われても困るぞ、と思いながらメールを読むと、思った通り「修正あり、仕事を停止せよ」と書いてあった。

しかし、緊急の用なら電話をすればいいではないか。
この場合、まず電話で確認というのが、常識的な手段ではないだろうか。
私は、一昨日は一日中家で仕事をしていた。
電話ならすぐに対応できたが、メールでは対応が送れる。

電話連絡という方法をとらずに、なぜメールで「緊急連絡」をしてきたのか。
しかも、夜の10時前にメールを送ってきて「緊急連絡」と言われても、対応が遅れるのは、目に見えているではないか。

サイトウさんに電話をした。
会社にはいないかもしれないと思ったが、10時過ぎていても、サイトウさんは会社に残っていた。
「ああ、Mさん、メール見ましたか? まいりましたよ、連絡がつかなくて(自宅に電話してくれれば連絡付きましたよ)。修正箇所は、メールで指示した通り、2カ所です。至急なおしてくれませんか。納期は1日延ばしてもかまいませんから」

そう言われても、もうプリントして宅急便の手配をしてしまったし・・・。

「ああ、そうですよねえ。でも、その分はもちろん支払いますよ」(なんと話のわかるクライアント!)

ああ、それなら私に異存はない。
すぐに直して、プリントしよう。

今回なぜ電話連絡でなくて、メールで連絡をしてきたのか、その理由を聞くのも忘れて、私は電話を切った。
切った後に、聞かなかったことを悔やんだが、「損はしてないんだから、いいじゃん!」とお気楽に考えて、すぐに修正にかかった。

修正は、5分もかからなかった。
責任校正なので、プリントした修正箇所を確認して、400部プリントしようとした。
しかし、上質紙のストックがなかったことを思い出した。

この時間に開いている店はない。
コンビニに上質紙は売っていない。
普通だったら、翌日まで待ってプリントするところだろうが、プリントは寝ている間に済ませた方が能率がいい。

だから、今夜中にプリントしてしまいたい。
そこで、近所の印刷会社に忍び込み、上質紙を500枚借りてくることにした。
黒のジャージの上下に黒のダウンを着込んだ怪しい格好で、印刷会社まで自転車で行った。
鍵は、印刷会社のMacのメンテナンスをしている関係上預かっているから、忍び込むのは簡単である。

午後11時20分過ぎ。
だだっ広い印刷所の空気は、冷え切っていた。
柱の温度計は、9度を表示している。

寒い。手袋をしてこなかったのが悔やまれる。手がかじかんで、指先が痛い。
手に息を吹きかけると、白い息が薄暗闇に浮かび上がる。
少し怖い。

そして、続いて壁がミシッと鳴る。
乾燥していた壁が、私が入ったことによる少しの温度変化で膨張して音が鳴ったのだろう。
その仕組みは、何となく分かるのだが、一人の時はそんな小さな音でも怖く感じるものだ。

「オドカスンジャネェ〜ヨ〜!」
ボビー・オロゴン風の口調で呟いてみるが、言葉は、むなしく暗闇に消えていく。
景気づけに、「そんなの関係ねえ!」と流行の振りをしてみたが、余計むなしくなって、寒さが体を包み込む。

早めに退散した方がよさそうだ。
プリントルームに足を踏み入れて、用紙をひと梱包手にした。
それを脇に抱えて、社長のデスクまで行き、「上質紙500枚お借りします スカイデザイン」と書いたポストイットを貼っておいた。

夜の冷気が充満するなか、白い息をまき散らしながら自転車を漕いで家に帰り、早速プリントをし始めた。
20枚プリントをして、汚れやかすれがないことを確かめてから、残りの枚数を設定して寝ることにした。

朝起きてプリントを確認したが、すべて正常にプリントされていた。
ホッとした。

朝9時。家族を送り出したあとで洗濯物を干し、一段落してコーヒーを飲んでいたときに印刷会社の社長から電話がかかってきた。

「Mさん、ヌカイデザインって知ってる?」
「はっ? ヌカイデザイン?」
「だって、朝会社に来たら、机にヌカイデザインって書かれた紙が貼ってあったんだよ。俺ヌカイデザインなんて知らないから、なんか不気味でさぁ。これ、警察に届けようかと思うんだけど、どう思う?」

「スカイデザイン」と書いたつもりが、手がかじかんでいたせいで「ヌカイデザイン」と書いてしまったようである。

「自首しますので、お許しください」
私がそう言うと、勝ち誇ったような社長のバカ笑いが聞こえた。
グヘハホヘ、グヘハホヘ!

私は、心に誓った。
この仕返しは、ゼッタイにしてやる! と・・・・・。


2007/11/29 AM 06:50:35 | Comment(4) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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