Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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運命のオナラ
金がない、金がない、と他人に言うのは、下品な行為である。

私が金を持っていようがいまいが、人には関係がない。
金がないことを強調するのは、物欲しげに見えて、人間としての品位を落とす。
親切にも、そう忠告してくれた男がいた。

東京の京橋に事務所を構えるイケメン社長のウチダ氏である。
ウチダ氏は、坂口憲二の彫りをもっと深くしたようなルックスと仏のような心を持った百点満点マイナス一点の男だ。

仕事はできる(と思う)。
人にやさしい(と思う)。
家族思いの男である(と思う)。

彼の事務所に行くと、必ず昼メシを奢ってくれる。
大抵は、ホカ弁だが、それは私が望んだことである。
昼メシは、ノリ弁で十分だ。それ以上の食い物を奢ってもらっても、俺は絶対に有り難がらないぞ! と威張って以来、彼は忠実にそれを守ってくれている。

ウチダ氏は、そんないいヤツなのである。
ただ自分だけ1200円の特注弁当を食い、百グラム4千円の烏龍茶を飲むという成金趣味だけは、何とかして欲しいと思うが。

しかし、スーパードライをいつも必ず飲ませてくれるので、彼の成金趣味には目をつぶってやっている。
彼は、私のために冷蔵庫にスーパードライを常備してくれているのである。
本物の坂口憲二だったら、絶対にそんなことはしない(と思う)。
医龍2」は見ていないので、断言はできないが・・・。

「Mさん、俺が金を貸すよって言っても、絶対にウンと言わないだろ?」
「言ってみろ」
「金、少しばかり都合しようか?」
「ヤダ!!(本当は欲しい)

ヤダ!! と私が言うと同時に、ウチダ氏が大きなオナラをした。

彼は、私が知る限りルックスも含めて完璧に近い人間だが、人前でオナラをこくときだけ、急に偏差値が低くなる。
一点マイナスしたくなる。

以前、彼が会社勤めをしていたとき、彼からよく仕事を貰ったが、その打合せの最中も平気でオナラをしていた。
そして、それを女子事務員が喜ぶものだから、彼は大きな勘違いをして、「俺のオナラは美しい」と思ってしまったようである。

実際は、その会社の女子事務員がオナラフェチだっただけのことだが、ウチダ氏を調子づかせた罪は重い。
目の前で「ブボッ!」という音を毎回聞かされるこちらの身にもなって欲しい。
オナラ好きの女子社員は雇わない、という法案を国会に提出して欲しいものである。

「奥さんの前でも、オナラをするのか?」と以前聞いてみたら、「俺はまだ死にたくない!」と青い顔をして怯えていた。
ヘコキ王子は、奥さんが苦手なようだ。

「どうだ、儲かっているか?」
訪問した側の礼儀なので、一応聞いてみた。
すると、ウチダ氏は、もう一度「ブボッ!」という音をさせながら、「もちろん」と大きく頷いた。

「俺は、Mさんと違って、危ない会社とはすぐに縁を切るんだよ。危ない会社には、必ず前兆があるもんだ。それを見逃すか、見逃さないかで、その人のすべてが判断できる」
「つまり、俺はバカだと・・・」
「そうだ」

耳の痛いことを平気で言う男だが、不思議と腹が立たない。
変に気を遣われるより、断言してくれた方が、気持ちにわだかまりを残さないからだろう。

「でも、Mさんは、それでいいのかもな。偉そうなことを言っても、俺もバカだからさ。Mさんと一緒だと、ホッとするんだよ」
「だが、君は儲かってるんだろ? だったら、バカじゃないんじゃないか」

私がそう言うと、まるで「わかってねえな」というように首を振って、ウチダ氏は、私を指さした。
「運だよ、運! 危ない会社を見逃す見逃さないってのも、運なんだ。そして、人間は運がないときだけバカになるんだ。俺が今ノっているのは、ただ単にMさんより運があるからだよ。本当だったら、Mさんも見逃さなかったはずだが、今回は見逃した。つまり、Mさんに運がなかった。それだけのことだ」

ウチダ氏は、運命論者だったのか。
しかし、彼に運命論はまるで似合わない。
私には、彼は成功するべくして成功した人種に見える。

私が首をかしげていると、ウチダ氏はこう言った。
「俺たちは、前に俺が勤めていた会社がMさんに仕事を出して、親しく話をするようになった。実はあの時は、俺が担当になるはずじゃなかったんだ。最初は、大学を出たばかりの新人が担当だったんだよ。でも、そいつが他の仕事でヘマをして、俺に担当が回ってきたんだ。なあ、これって運だよな? 新人がヘマをしていなければ、いま頃Mさんは、俺の前にはいなかったんだからな」

「そうか、その新人がヘマをしなければ、君のオナラの音を聞くこともなかったわけだな」
「そうだよ。そう思えば、俺のオナラも感動的に聞こえるんじゃないか?」

私の右側の腸が、動き始めていた。
ガスが溜まってきた気配がある。
もしかしたら、今なら出せるかもしれない、と思った。
でかい音が出せそうな気がする。

しかし、ウチダ氏に先を越されてしまった。

あと一秒早ければ・・・・・。
今すぐにでも出そうだったが、この場合、遅れて出しても意味はない。
だから、我慢した。

これも、運命なのか。


2007/11/25 AM 08:17:25 | Comment(3) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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