Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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181センチのビヨンセ
徹夜明けの日。
徹夜明けというのは、何故か気分がハイになって、仕事が終わっても眠りたくないときがある。

徹夜をしながら、もらい物の「鬼ころし」を3合も飲んでしまったものだから、口は臭いし、体も酒臭いし、何となく居心地が悪い。
酒臭いまま、息子の弁当と家族の朝メシを作った。
家族を送り出したあと、シャワーを浴びようかと思ったが、ボディソープを切らしていたことを思い出した。

そこで、朝メシを食ったあとで、軽く走りながら、ボディソープをドラッグストアに買いに行くことにした。
一番近いドラッグストアは我が家から300メートルほどのところにあるが、その程度の距離を走ったとしても爽快感は得られない。

だから、駅のそばのドラッグストアまで走ることにした。
距離は約3キロ。往復で6キロだ。汗をかくには、丁度いい距離である。
ついでに買い物もするつもりで、小さめのデイパックを担いでいくことにした。

天気はいい。
まぶたは重いが、それは走っているうちにキリッとしてくるはずである。
遊歩道を半分ほど走り、それから細い道に入り、何度も角を曲がりながら駅から400メートル手前のドラッグストアに着いた。

時間は15分もかかっていない。
汗もそれほどかいていない。
ただ、水分補給は大事なので、ドラッグストアに入って、まず115円のアクエリアス500ミリリットルを買った。

これは自動販売機だと150円するが、このドラッグストアでは2割以上安い値段で買える。
115円で売っているものを150円払って買うのは、金持ちのすることである。
だから、私は自動販売機で飲み物を買うことは、ほとんどない。
喉が渇いて死にそうな時は仕方なく買うが、その時は後悔の炎が体中を駆けめぐって、からだ全体が熱くなる。

一旦店の外に出て、アクエリアスをゆっくりと飲んだ。
まれに、店内で買ったものをそのまま飲んだり食ったりしている人がいるが、私にはあれができない。
金を払ったんだから、飲み食いしてもおそらく誰も文句は言わないだろうが、それは何となく見栄えが悪い。

見栄えが悪いとは思うが、かといって、それを他人がやるのは別にかまわない。
自分が金を払って買ったものをどうしようが勝手である。
飲み食いしたものを適切にゴミ箱に捨てれば、文句は言わない。

ただ、私にはそれができないというだけのことである。
飲みかけのアクエリアスをデイパックに入れて、また店内に戻った。
ボディソープを探し「198円」という値段に惹かれ、手に取った。
あとは洗剤と弁当用小分けカップを買うだけである。

店内をゆっくりと歩いていると、先ほどアクエリアスを買った棚の前で声をかけられた。

What taste?(どんな味?)

黒い肌をした女の人が二人。
一人は母親だろう。年はわかりづらいが40歳前後か。
もう一人はその娘さんらしく、おそらく十代。
母親は160センチくらいだが、娘は私と同じくらいの身長がある。
つまり、180センチ。皮膚が黒くて艶がある。睫毛が異常に長い。
ビヨンセに似ている。つまり、美形である。
圧倒される。

その娘の方が、棚の缶コーヒーを指さして、「What taste?」と聞いてきたのである。
それは、カフェオレだった。
「cafe au lait」と書いてあるのだから、コーヒーということはわかるだろう、と思ったが、カフェオレは、彼女たちの生活に密着していない飲み物なのかもしれない。

だから、「milk in coffee」と答えた。
二人は大きく頷いた。
そして、また「What taste is this?(これは?)」と聞かれた。

それはカゴメの野菜ジュースだった。
「Vegetable」と答えた。
すると、二人は大袈裟な身振りで「ベジタボー!」と張りのある声を上げて、肩をすくめた。
野菜ジュースを知らないのだろうか?
ラベルに野菜の絵が描かれているので、わかると思うのだが・・・。

余計なお世話だと思ったが、缶を指さして「good for health(健康にいい)」と教えた。
そうすると、肩を大袈裟にすくめながら、二人して何語かわからない言葉で話し始めた。

「ほんまかいな?」
「野菜をジュースにして飲む? ありえへんやろ? こいつ、嘘言ってるのとちゃうか!」

という感じだったかもしれない。

そして、大柄な娘が私の目を真っ直ぐに見つめてきた。
黒目が綺麗だ。それがキラキラ光っていて、上の睫毛も下睫毛も長いから、少女漫画の世界に足を踏み入れた錯覚さえした。

「There is no tea(紅茶がないんだけど)」
そう聞かれたので、ペットボトルが陳列されている棚を指さすと、彼女は小さく首を振って、「In this type(このタイプで)」と缶飲料の棚を指さした。

そう言えば・・・、と思った。
缶紅茶というのを私は、ほとんど見たことがない。
コンビニでたまに見かけるが、ドラッグストアで見かけたことはない。
缶紅茶は缶コーヒーほど売れないから、小売店から冷たい扱いを受けているのかもしれない。

あるいは、「カンコウチャ」という語感が「カトウチャ」に間違われやすいからか。

カンコウチャ − カコウチャ − カトウチャ。

そんなことを思ったのだが、これを英語で説明する能力が私にはない。
それに、彼女たちが加藤茶を知ってるとは思えないので、「Tea has only bottle(紅茶はペットボトルだけ)」とだけ答えた。

すると、「Only this ?」とまた大袈裟な身振りで言われた。
そうなると、こちらも大袈裟に返すしかない。

「イエース! オンリィー!」

私のその姿を見て、ふたりとも完全にひいたようである。
無言でペットボトルの「午後の紅茶」を手に持って、レジの方に歩いていった。
虚しい心を抱えながら、私もその後ろに続いた。

娘の後ろに並んだのだが、改めて確認すると、でかい!
私より1センチくらい、でかいようだ。

圧倒される。

ビヨンセが私の方を振り向いて、手にしたペットボトルを指さして「ハウマッチ?」と聞いてきた。
レジの店員に聞いたら、「ヒャックナナエンです」と言うので、「ワン・オー・セヴン」と教えたら、「ヒャックナナエン? チョーウケル〜!」と、足踏みしながら笑っていた。

なんで?!


2007/11/17 AM 07:56:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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