Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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金持ちってやつは・・・
Windowsのノートパソコンを持っている。

これは、友人が「ハードディスクから異音がする。直してくれ」と言うので、預かったものだ。
私は、修理を専門にしているのではないので、いつ直せるかわからないぞ。もし早く直したいなら、メーカーに修理に出した方がいい、という忠告をしたにも関わらず、彼が一方的に私に押し付けてきたのだ。

いいよ、暇なときに直してくれよ。
そう言ったにもかかわらず、彼はすぐに新しいノートパソコンを買った。
だから、このノートパソコンを彼は必要としていないと私は判断した。
2台もノートパソコンを必要としているほど、彼の暮らしはデジタル化していない。

このノートパソコンは、ハードディスクを変えたら、静かになった。
快適になった。
これは私が使うべきである。
そう思ったから、「メンテナンスしておいてやるよ(永久に)」と言って、私の手元に置いてある。そのことで、彼から苦情が来たことはない。

金持ちは、喧嘩をしないのである。

今年の5月に、他の友人が、壊れたMDコンポをくれるというので貰った。
それは、分解してすぐに復活した。
あまりにも簡単に直ったので、私は拍子抜けしたほどだ。

彼は、壊れたと判断した時点で、すぐにSDカードが使えるコンポを買った。
金持ちというのは、鼻持ちならない人種である。
直したMDコンポは、いま現在私の高校2年の息子が大事に使っている。

その友人は、先月もポータブルCDプレーヤーが壊れたといって、それを私にくれた。
早速分解して、エアークリーナーで丁寧に内部を掃除し、接点復活剤を要所にさし、レンズをクリーニングしたら簡単に直った。
それも、いま息子が愛おしそうに使っている。

その友人は先週、一番高価なiPodを買って音楽生活を楽しんでいる、と得意気に言っていた。
彼に対して、私が殺意を持つのは仕方のないことだろう。

今年の4月に、取引先の社長から「Mさん、DVDプレーヤーが壊れたんだけど、直せますかね」と言われたことがある。
それは、液晶の付いているポータブルDVDプレーヤーらしい。

私は、正直である。
出来ないことは出来ないと、はっきり言う。

「それは、無理です!」

私がそう言うと、驚いたことに、普段はポーカーフェースの社長が、ガックリと肩を落としたのである。
「いやぁ、これ、4年前に娘が私の誕生日にプレゼントしてくれたものなんですよ。大事に使っていたんだけど、10日くらい前からまったく反応しなくなったんだ。Mさんなら、もしかして直せるかと思ったんですけど、そうかぁ、無理ですか」

大きな溜息をついて肩を落としている姿を見ると、同情せざるを得ない。
しかし、いくら何でもポータブルDVDプレーヤーを直すのは無理だ。
メーカーに修理に出した方が、確実である。
普通なら、そう考えるのではないか。
私は、メーカーに修理に出したらどうですか、と聞いてみた。

すると、「俺はメーカーは信じていないんですよ」と、社長が珍しく強い口調で言った。
何年か前、デジカメを修理に出したのだが、何度出しても同じところが具合が悪くなって、結局新しい機種に買い換えたのだが、その機種も初期不良で何度も修理を依頼した。
メーカーに文句を言うと、「機械には、初期不良はつきものですから」と開き直られたという。
それ以来、メーカーの修理は信用していない、というのである。

私も同感だ。

しかし、私は素人である。
メーカーよりもっと信用できない存在だ。
丁重に断った。

だが、社長は「まあ、Mさんのお手元に置いて、時間があったときに触ってみてください。直らなくても、文句は言いませんから」と言って、それを私に押し付けたのである。

家に持ち帰ってすぐ分解してみたのだが、DVDプレーヤーがどのような仕組みになっているのか、まったく想像が付かない。
とりあえずエアークリーナーと接点復活剤を使ってみたが、復活しなかった。

「これは手強いですよ」と、社長に報告を入れた。
社長は「まあ、気長に待っていますから、お暇なときにトライしてください」と鷹揚に答えていた。

メーカーに出す気は、本当にないんですか、と聞いたら、キッパリと「ありません!」と言われた。
しかし、そうキッパリと言われても、直らないものは直らない。
少々重荷に感じていたので、それからずっと、手付かずで放っておいた。

それが昨日、まるで神の啓示のごとく、朝起きたばかりの脳に「ケーブルを見ろ」というヒントが浮かんだのだ。
ケーブル?
なんだケーブルって?

DVDプレーヤーを寝ぼけまなこで分解したあと、ケーブルの接続部分を調べてみた。
よく見てみると、ケーブルの接続部分、コネクターのオスの部分がところどころ変色している。
これは何だ!

なんで変色しているんだろう。
素人なんだから、わかるはずがない。
しかし、これをサンドペーパーで削ったらどうなるか、と考えた。
どうせ素人なんだから、直っても直らなくても、「すみません」と言えば済むことである。

だから、色の変わった部分を他の部分と同じ色になるくらいに、ゴシゴシと削ってみた。
そして、むき出しのままの状態でDVDディスクを入れてみた。

そうしたら、画面が映ったのである。
となりのトトロ。
ジブリのマークが鮮やかに液晶画面に映っている。

もしかして、直ったか?

プレーヤーは最後まで止まることなく、感動的なエンディングを映し出している。
泣けた。
映像に感動したのか、直ったことに感動したのか、自分でもわからなかったが、心が震えたのは間違いない。

宇多田ヒカルの「ヒカルの5」も再生してみたが、一度も途切れることなく再生できた。
直ったようである。

早速、社長に電話してみた。
私が「DVDプレーヤー、直りましたよ」と言うと、5ヶ月ぶりに聞く社長の声は、喜びに弾んでいたが、「Mさん、ありがとうございます」のあとに言った社長の言葉に、私は階段から転げ落ちるような脱力感を味わった。

「でも、この間、防水型のDVDプレーヤーを娘が買ってくれましてね。あれ、もういらなくなってしまったんですよ。もしよかったら、Mさん、使ってくださいよ。いやあ、防水型のプレーヤーはいいですね。風呂でも見られますから、長風呂になって、お肌がツルツルですよ」

はぁ?!

握り拳に力が入ったが、よく考えたら、それは悪い提案ではない。
「ありがたく頂戴いたします」と言って、受話器を置いた。

この時私は、つくづく思った。
金持ちは、ものを大切にしねえ!

いま、そのポータブルDVDプレーヤーは、小学6年の娘が使っていて、「トリック1〜3」と「ごくせん・ごくせんリターンズ」を見続けている。


2007/09/18 AM 07:24:19 | Comment(6) | TrackBack(4) | [日記]



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