Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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うまい棒、4万3千本
昨日の夜9時半から明け方の4時過ぎまで、レーザープリンタでプリントをしていたので、眠い。
終わってすぐに寝たのだが、6時に起きて、息子の弁当と家族の朝メシを作っていたときは、睡眠不足で頭が重かった。

そのあとすぐに寝てしまえば、なんの問題もなかった。
余計なことをせずに眠っていれば、平和だったのだ。

本当に、眠っちまえばよかった。
悔やんでも遅いことはわかっている。
しかし、そうは思いながらも、大きな溜息をつかずにはいられない。

重い頭を持てあましながら、とりあえず洗濯をした。
ついでに、素っ裸になって風呂を洗い、シャワーも浴びた。
それで爽快になるはずだったが、シャワーのあと、冷蔵庫を開けてみて愕然とした。

発泡酒がない!

なぜ、ない!
腰にバスタオルを巻いた状態で考えた。

飲んだからだ。
いつ?
プリントをしながら、2本飲んだ。
その2本目を手に取ったとき、残りの本数を確かめなかった。
どうやら、それが最後の発泡酒だったようである。

何というヘマを!
浴槽を丁寧に洗い、シャワーを浴びたせいで、体が発泡酒を欲している。
枯れかかった植物が水を欲するように、身体全体が発泡酒に飢えている。
洗濯物を干して、これから寝るにしても、発泡酒がなければ収まりがつかない。
指先が震える(アル中か!)。

そこで、着替えて、近所のコンビニまで発泡酒を買いに行くことにした。
コンビニは、我が家の半径1キロ以内に3店ある。
どれもほとんど距離は同じなので、その時の気分で、16号沿いのコンビニに行くことにした。

それが、まず最初の判断の誤りだった。
焦っていたので、自転車で行くことにした。
この判断も甘かった。

歩いていけば、あいつに会うことはなかった。
わずか1、2分の違いで、その結果は大きく変わっていたことだろう。
人生とは、そんなもの。
いったい、誰がこんなできすぎたシナリオを考えたのだろう。

16号の信号を渡るとすかいらーくがある。
そして、その延長線上にコンビニがある。
すかいらーくとコンビニの中間。
あいつが、高級そうなスーツを着て歩いてくるのが見えた。

なんで、あいつがここにいるんだ。
下を向いているが、顔は随分と平和そうだ。
あいつは、去年の1月に転職して、それと同時に住まいも東京の江戸川区に移ったはずである。
まさか、また舞い戻ってきたなんてことは、ないよな。
それだけは、勘弁してくれ。

コンビニまでの歩道は一直線に伸びているので、身を隠すところがない。
あいつが顔を上げたら、もう逃げられない。
顔を上げないことを祈る。
とにかく、通り過ぎてしまえばいい。
そう思いながら、私は俯いて、ペダルを漕ぐ足に力をこめた。

しかし、現実はそう甘くない。
「あれぇー、Mさんじゃないですかぁ!」
一番呼ばれたくない相手に、でっかい声で、名前を呼ばれた。

知らんぷりをすることもできたが、これ以上低い品位をさらに落としたくない。
だから、精一杯の作り笑いで、「やあ」と答えた。

その男アサクラは、去年の1月までは、同じ団地の住人だった。
そして、7年前小さな広告代理店に勤めていたアサクラは、近所のよしみで私に仕事をくれたのである。
これが、けちの付けはじめだった。

その会社は、2年後に倒産し、売掛金17万円が見事に消えた。
その後、アサクラは出版社に勤めた。
そして、また仕事を出してくれた。

「今度は、大丈夫ですよ」
そう言ったにもかかわらず、その会社は3年足らずでつぶれた。
売掛金26万円が、消えた。

アサクラは、疫病神である。
アサクラの顔を見ると、消えた売掛金43万円を思い出す。

43万円と言えば、うまい棒が4万3千本買える。
これは、小学6年の娘の計算の仕方だ。
娘は何でも、うまい棒で換算する。

たとえば、このような使い方をする。
「えー、このラーメン千円かよ! うまい棒が百本買えるじゃん! どんだけ〜!」

うまい棒が4万3千本! どんだけ〜!
と顔に出たと思うのだが、アサクラは、無神経にもこう言うのである。

「Mさん、俺いま不動産屋に勤めてるんですよ。今度仕事出してもいいですか」

何だとォ!

普通だったら、まず「その節は大変ご迷惑をおかけしました」と言うんじゃないのか!
スーツの襟を掴んで、引きずり回したくなった。
アサクラは、そんな私の殺気を肌で感じたのだろう。
「いや、冗談冗談」と腰を引きながら笑って、「俺、すかいらーくで人と会う約束してますので、これで失礼しますよ。また、ご縁がありましたら」と言い、早足で逃げていった。

ご縁があったら、だとォ!

もし私が、塩を持っていたら、アサクラの体に盛大に振りまいていたことだろう。
発泡酒を2本買って家に帰り、「43万返せ、うまい棒4万3千本分返せ!」と呪いながら、一気に飲んだ。

そして、すぐに眠った。
夢にうまい棒が出てくるかと思ったが、さすがにそんなうまい展開にはならなかった。


2007/09/14 AM 07:21:17 | Comment(0) | TrackBack(1) | [Macなできごと]



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