Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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ナマケモノの喧嘩
毎月5日締めの仕事が先日終わったが、今回は半分近くを人に任せた。
これは、私にとって初めてのことである。

前回は、納期ギリギリまで仕事が入らず、イライラした。
定期的に入ってくる仕事は、原稿が同じ時期に入ってこないと、リズムが崩れる。
この5日締めの仕事は、このところ、このリズムが崩れていた。

振り回されている、と感じる状況はあまり気持ちのいいものではない。
その仕事だけをしているのなら我慢もできるが、いくら売れないデザイナーとはいえ、他にも仕事は回ってくるのだ。

その仕事のために他の仕事のペースを乱されると、少なからず色々なところに悪影響を及ぼす。
ストレスも溜まる。
しかし、そのあたりのことが、クライアントにはわかっていない。
「クライアントがわからないのは当然だ、クライアントとはそういうものだ」、と言われてしまえばそれまでだが、約束を守らず義務だけを押し付けられるのは、どう考えてもフェアではない。

仕事を出す側も、マナーを弁(わきま)えてもらいたい。
ほんの一言だけでいいのだ。

「すみません。原稿が遅れて迷惑をかけます」

この一言で、すべてが円滑に進む。
しかし、そんな言葉をHさんの口から聞いたことがない。

だから、嫌になってしまったのである。
今回は先月より2日早く原稿が入ってきた(通常より1週間遅いが)。
頭を撫でてやりたいところだが、Hさんのこの一言で、私のヘソは螺旋階段のように曲がりくねり、ひねくれた。

「いつも納期ギリギリですからねえ。今回はスッキリいきましょうよ」

それは、原稿を揃えるのを1週間も遅らせている男の言うセリフではない。
せめてあと3日早ければ、納期がギリギリになることはない。

しかも、彼はこんなことも言うのだ。

「Mさんって、マイペースですよね」

久しく使っていなかったが、かかと落としをお見舞いしてやろうか!

納期ぎりぎりまで原稿を出さず、人に平気で徹夜を強いながら、その言い草はないだろう。
私は売られた喧嘩は、必ず買うのを信条としている。

「私がマイペースなら、Hさんは俺様ペースですよね」
俺様だけが特別で、他人が少しでも仕事が遅れたら、悪意をこめて「マイペース」と決めつける。
たいへん羨ましい性格である。

私は、片頬だけで笑って、彼の説明を受け流した。
そして、初稿を知り合いのデザイナーに委ねた。

毎回基本的なデザインは決まっているので、フォーマットとテキストデータ、画像データを渡せば、初めてだとしても、それほど戸惑うことはない。
ただ、冊子の読者層が比較的高年齢なので、見出しも本文も普通のものより3ポイント以上でかい。
違和感を感じるとしたら、そこだけである。

外注先のNアートのフジイくんは、大変な機械オンチだが、仕事は几帳面で、しかも速い。
初稿を1日で仕上げてくれた。
ただ、テキストデータは持てあましたようで、「Mさん、テキストが全部入らないんですけど」という泣きの電話が何回か入ってきた。

そうなのである。
本文の文字がでかいから、毎回何人かの作家の文字が、溢れてしまうことになる。
これは、「作家のみなさんに制限文字数でまとめるようにお願いしてください」と、何度となくHさんに提案しているのだが、彼はこちらの言うことなど聞く耳持たないのである。

だから、「こんなくだらねえ文章、削ってやれ!」と思って、毎回大幅に削っている。
文字制限を守らない方が悪いのだし、営業が作家先生と真正面から向き合おうとしないから、こちらも強硬手段に出るしかない。

そうは言っても、一方的に削るのは乱暴なので、削る箇所を書いてファックスで送る。
しかし、その件に関して、一度もHさんから返事が来たことがない。
私はそれを暗黙の了解と勝手に判断して、仕事を進める。
だが、Hさんは毎回、校了間近に文句を言ってくるのである。
何度かHさんとバトルを繰り広げたが、これだけは一向に改善されない。

フジイくんからは、「Mさんの仕事って、意外とギスギスしてるんですね」と呆れられた。

フジイくん。
私は、羊のようにおとなしく、犬のように従順なのだよ。
普段の私は、クライアントを必要以上に崇め奉っている。
しかし、それは相手にもよる。

ナマケモノ相手に自分がナマケモノになってしまっては、すぐに22世紀が来てしまう。
残念ながら、いくら私でも、22世紀まで生きられる保証はない。
だから、ギスギスせざるを得ないのだ。

今回も文字を大幅に削った。
なにしろ、1800字という文字制限があるのに、2340字の文章を書きやがるのである。
通常は、オーバーすると言っても、100〜200字だ。
今回は、常軌を逸している。

5日に、最終の打合せをすかいらーくで行った。
Hさんは、ソファの背にふんぞり返るようにしてもたれ、こう言う。
「今回は、削りすぎでしょう。これは、やり過ぎだ」

この冊子に関しては、タイトル文字と本文文字の大きさと行間を変えてはいけない、と言われている。
つまり、レイアウト内に収めるためには、文字を削るか画像を減らすしかない。
今回は、文字を350字削り、画像を1枚減らした。
それで、何とか収まったのである。

それにしても、なぜ文字制限を守らない方が悪い、という発想にならないのか、理解に苦しむ。
Hさんは、作家と真剣に向き合うのを避けているから、私にしかクレームをつけられない。
それがわかるから、なおさら腹が立つのだ。

「文字ばかりでなく、画像も一つ削ってますよね」
くどいほど、同じことを何度も繰り返す。

勝手に削ったわけではない。今回も了解を取ろうと思ってファックスを送ったのである。
しかし、なんのリアクションもないから、勝手に進めている。
そうしないと、納期に間に合わないからだ。
作家とも私とも、まともにコミュニケーションを取ろうとしないで、最後に文句だけ言うのは、いかがなものか。

「しっかし、今回はひどいですよ。こんだけ削ったら、相手は怒りますよ。俺、責任持てませんから」
大袈裟な身振りで困惑の表情を作っている。

その芝居がかった仕草にカチンと来た。
何度も言うが、私は売られた喧嘩は買うのである。

「じゃあ、俺も責任持てないな」

Hさんの全身が、固まった。
口が半開きである。

このあとの言葉の応酬に関しては、あまりにも生々しいので、書き記すことができません。
ご想像におまかせします。

しかし、ヒントを二つだけ。
私は、最後まで謝りませんでした。
そして、文字を削った状態で、校了になりました。

だって、俺は悪くないもん!
約束を守らない相手が悪いんだもん!


子どもか!


2007/09/08 AM 08:22:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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