Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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炎天下野球大会
毎年ではないが、大学陸上部OBと不定期にハーフマラソン大会を開いている。
それも、暑さ真っ直中の7月か8月に。

ハーフマラソンは、言うまでもなく距離は、42.195キロの半分、21.0975キロである。
しかし、素人にこんな正確な距離が測れるわけがないので、地図を計測して、大体こんなもんだろうという距離を設定して走っていた。

クソ熱い中、こんな馬鹿馬鹿しいことをいつまで続けるつもりだ、と誰かが言い出すのを待っていたが、誰も言い出さないから、この行事は15回も続いていた。

しかし、今年は言い出したやつがいたのである。
女医と再婚したコガだ。
その女医が、「馬鹿ねえ、いつか死者が出るわよ。陸上部ってバカ揃いなの!」と、当たり前のことを言ってくれたので、今年は野球大会に変わったのである。

19日の日曜日、場所は、三鷹市にある企業のグラウンド。
女医が、そこの会社の提携医をしている関係で、2時間だけ貸してくれることになったのである。
コガはいい人と再婚をした。
だから、頭を撫でながら、ケツを蹴飛ばしてやった。

野球大会に参加した陸上部OBは16人。16人では2チーム組めないので、お互いの友人を誘った結果、総勢22人になった。
1チーム11人である。

22人全員が、普段野球に馴染みがない。
むしろ大学時代などは、野球部の練習を見て、「なんだ、あの無駄に長い練習は! あれじゃ疲れるだけだろ!」と冷ややかに見ていたから、野球を必要以上に軽く見る傾向があった。

だから、ハーフマラソンから野球大会に変わって、今回は楽ができるとみんな思っていたはずである。
しかし、それはおのれの衰えた肉体を省みない錯覚だったと、始まってすぐに思い知らされることになった。

まずはピッチャーを決める。
子どもの頃は、みんながピッチャーをやりたがったが、年を取ると誰も重労働に従事しようという気にはならないらしく、ひとりも手を上げるやつがいない。
だから、私がやった。

OB16人の中で、私だけが大学時代と比べて、体型が変わっていない。
ほかはみんな軽く見積もっても10キロ以上メタボリック化していた。
50キロくらい太ったと思われる人物もいた。
デブがマウンドに立っているのを見るのは、暑苦しくて、耐え難い。
デブの舞いは見たくない。

私は、大学時代と体型は変わらないと言ったが、実は当時より5キロ痩せている。
苦労が忍ばれる。
貧乏はつらいよ。

相手のピッチャーは、唯一高校時代野球部に籍を置いていたというワタナベ。
しかし、こいつも楽に80キロは超えているだろう。

デブの舞い vs ツルの舞い。
先に結果を書くと、この勝負、ツルの方が圧勝したのである。
24対8。スリースコアの大差である。

なぜか。
ワタナベは、コントロールがいい。ストライクゾーン近辺に投げる能力がある。
だが、当然のことながら昔のような球威はないので、ストレートが打ち頃のスピードになって、いいコースに入ってくる。
その結果、みんな面白いようにバットに当たるのである。

そして、ワタナベはデブだから、1球投げるごとにゼイゼイ言ってインターバルを取るのだ。
それが、こちらのデブ軍団のリズムに合うのである。
こちらも打席でゼイゼイ言い、塁に出てからもゼイゼイ言っているのだが、ピッチャーがゼイゼイ言って間をおくから、その間に体力が多少なりとも回復するという好循環。

それに対して、私もスピードはないが、私はキャッチャーミットをめがけて投げるのではなく、バッターの出っ張った腹めがけて投げているから、デッドボールが全部で8個。
私は公平な性格なので、1人に2回当てることはしない。1人1回ずつである。
その結果、みんな腰が引けてしまって、前にボールが飛ばないのである。

三振か死球か四球。
失点は、すべて押し出しのフォアボールだった。

敵は「ピッチャーを代えろ!」とブーイングの嵐を浴びせかけるが、誰も投げたがるやつがいないので、ひとりマウンドを死守して、心おきなくぶつけた。

みんな前日にバッティングセンターに行って練習したと言うが、バッティングセンターでは球のよけ方は教えてくれない。
練習はすべて無駄になった。

しかし、マウンドというのは、暑い。
当たり前のことだが、日差しを遮るものが何もない。
私の場合、上半身裸で、下はジョギングパンツという、とても野球をやるとは思えない格好でいるから、なおさら暑く感じる。

マウンドだけにでも、ビーチパラソルが欲しい! と切に願う。
(甲子園のマウンドにもビーチパラソルがあった方がいいんじゃないか。どうせ、高校野球では、ピッチャーしか働いてないんだし)。

クソ暑い!
ケツにボールがあたって、のたうち回っている姿を見るだけで、汗がしたたり落ちる。
腹立たしい。だから、余計ぶつけたくなるのである。
もはや、勝敗はどうでもいい。
ぶつけることだけが、目的になっている。

相手のワタナベは2回を投げ終わったあと、半分失神して、木陰で大きな腹を上下させている。
代わりにマウンドに上がったスワもデブである。
そして、すぐ失神した。
次のナガイも失神した。

ハーフマラソンのときは、失神はしない。
いくらデブでも、自分のペースをわきまえているから、ハーフマラソンは自分で体力を計算する余裕がある。
だから、リタイアするやつは、ひとりもいなかった。

それに対して、マウンドでは計算ができない。
地面から舞い上がってくる鉄板を焼くような暑さを、体で制御することができないのである。
その結果、失神したデブが5人。
気が付いたら、相手チームは、まともに動けるのが6人になっていた(熱中症にはお気を付けください)。

しかし、そのデブたちも、試合が終わって、昭和記念公園のバーベキュー会場に行く頃には復活して、すぐさま肉に食らいついていた。
デブは、肉を食わせておけば元気になる単純な生き物のようだ。

バーベキュー大会の途中で、「本日のMVPを発表します」と幹事の叫ぶ声が聞こえた。

え? MVP? 聞いてないぞ、そんな賞があったのか。
それなら、もっと頑張ればよかった。
しかし、勝利投手は俺なんだから、俺がMVPだよな、普通は。

と思っていたら、「MVPは、ホソヌマ!」と聞いて、激しく落ち込んだ。
ホソヌマ?
活躍したか? ヒット3本打った? それだけ?
それだけで、MVPかよ!
灼熱地獄のマウンドをひとり守ったのは俺だぞ!
たとえヒットを3本打ったとしても、レフトで暇をつぶしていたやつが、なんでMVPなんだよ!

そんなことを思いながら、やけビールを呷っていると、ホソヌマが「いや、MVPは、Mだよ。Mが一番大変だった。だから、賞品はMにやる」と言ってくれたのである。
「えー!」とブーイングの嵐が、またまた吹き荒れたが、賞品がJCBのギフトカード1万円分だと言うことを聞いて、嵐はまたたくまに去っていった。

「あー、それじゃぁ、いらないな。ギフトカードなんて、面倒臭くて」
「もっといいものかと思ったよ。おい、幹事、賞品ショボくねえか!」
「次回は、大画面液晶テレビにしてくれよ」

口々にデブどもが騒いだが、私は賞品を握りしめて、ひとり満足感に浸っていた。

1万円分、食材が買えるぜ!

私は、左手で持ったJCBのギフトカードをスカイブルーの夏空にかざしながら、爽やかな気分でビールを呷った。


2007/08/23 AM 08:12:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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