Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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ウエイトレスのきれいな脚は、怒りを消してくれる
人間というのは、忙しいときは、この世の中で自分が一番忙しいと思っている生き物である。
私も、そう思っている。

しかし、私はそれを何かができないことの言い訳に使おうとは思っていない。
だから、「忙しいから」と言い逃れる人間を見ると、腹が立つ。

だが、私の場合は、そんな怒りさえも些細なことですぐに消えてしまうお気楽な人間だということが、今回よくわかった。
これは、そんなバカな男のお話である。

毎月5日締めの仕事がある。
毎回スケジュールは、だいたい決まっている。
たいていは、毎月23日頃に原稿が少しずつ入ってきて、月末に原稿が全部そろい、校了までに3回校正があって、5日ギリギリに校了になる。

それが2ヶ月前は、1回の校正で校了になるという奇跡があり、逆に先月は、月の初めまで原稿が入らず、徹夜して何とか校了にこぎつけた。
そんなことがあったから、今回はスケジュール通り行くだろうか、という不安はあった。

悪い不安というのは、概してよく当たるものである。
偉そうなインチキ占い師よりも、よく当たる。

担当のHさんから、先月25日に「俺、ほかの仕事が忙しくて、手が回りませんよ」という、メールをいきなりもらった。
いつもは電話なのに、なぜ今回だけメール?
忙しくて電話をかける暇もない、ということを言いたいのか。

しかし、手間のかかり方は、どちらも同じだろう。
私は、早速「電話が壊れたんですか」と返信した。
しかし、無視された。

翌日26日の朝、先方に電話をした。
すると、「Hは夏休みを取っております」という、信じがたいことを言われた。
メールには、「仕事が忙しくて」と書いてあったが、彼の仕事とは「夏休み」のことだったようである。

と、ここまで書いて、得意先のことを、ここまで悪意を持って書いていいのだろうか、と心の表面に軽い痛みが走った。
しかし、軽い痛みだったので、簡単に振り払った。
言いようのない苛立ちが、心の軽い痛みを場外ホームランではじき飛ばしたのだ。

電話の相手に、Hさんの夏休み明けの日を聞いてみたが、「さあ、明日だったか、明後日だったか、明々後日だったか」と言われた。
この調子では、原稿はそろっていますか、と聞いても無駄だと思ったので、ため息を大きくついて電話を切った。

まだ校了まで10日あるのだから、何とかなるだろう。
俺は俺の仕事をするだけだ。
そう思って、ほかの仕事に没頭した。

Hさんから電話があったのは、7月31日の夜である。
「も〜〜う!、忙しくて忙しくて」というのが第一声だった。
無闇に力んで忙しがっている人に、「夏休みはどうでしたか」とは聞けない。
「大変ですね」と言うしかない。

それで、今回の原稿は?
「それが、全然そろわないんですよ。俺、ここんとこずっと忙しいから、催促する時間もなくて、本当に困ってるんですよ」
どうやら、私が電話をして、同僚が「Hは夏休みです」と言ったことを、Hさんは知らないようである。

しかし、原稿を催促する時間もない状況というのが、私にはよくわからない。
そもそも、それが彼の仕事ではないのか。
彼は一体どんな仕事をしているのだ!
原稿が歩いてやってくるのを待つのが、彼の仕事なのか。

だが、Hさんは見当違いの憤りを私にぶつける。
「今、4件も同時進行の仕事を抱えてましてね、毎日家に帰るのが12時前ですよ。過労死してもおかしくない状況です。原稿揃えている暇がないんですよ」

それは、夏休みを取ったからではないか。
だから、そのしわ寄せが、休み明けにドドッと来たのではないのか。

それは、大変ですね・・・・・、とは私は言わない。
それは俺の問題じゃないし、俺の仕事でもない。
俺は俺で忙しいから、同情はしない。

「あと2日待ちます。それ以上遅れると、納期には絶対間に合わないと思います。もし、どうしても5日に校了にしたいのなら、その仕事、他の人にやってもらってください。私の能力では無理ですから」
私がそう言うと、「あ」と言ったきり、Hさんは、言葉を返さなかった。

次の日、午前11時半頃のことだった。
「いま、すかいらーくにいます。原稿全部そろいましたよ」という電話が、Hさんからあった。
自分の仕事がなんであるかを思い出したようである。

しかし、私がすかいらーくで彼の前に座ると、Hさんはソファの背もたれにふんぞり返るようにして座り、私の顔を窺うのである。
そして、水を一気に飲んだ後で、こう言うのだ。

「忙しい忙しい! もう、仕事が遅い人が多くて困りますよ。自分のことしか考えていない人が、世の中多すぎる。なんで、自分のことしか考えないのかなあ」
まるで閑古鳥が鳴く舞台で、大根役者が怒っている芝居を見ているようで、そのセリフは心にまったく響いてこない。

何か嫌みの一つでも言ってやろうか、と思っていたとき、ウエイトレスが注文を聞きに来た。
大学生のアルバイトだろうか。
若い。
キリッとした目が、女優の菅野美穂を連想させる。
要するに、美人の範疇に入る顔である。

気に入った!

その顔を見て、Hさんに対する怒りは、もうどうでもよくなった。

はいはい、忙しかったんですね。
それは、よかったよかった。

その後、Hさんが何か言ったが、私は彼の言葉を右から左へ受け流して、厨房の方に帰っていくウエイトレスのきれいな脚に見とれていた。
あんなきれいなナマ脚を見るのは、何年ぶりだろう。
心の中で、ウエイトレスの脚に向かって、拝んでいた(エロ親父)。

よし! すかいらーくに毎日コーヒーを飲みに行こう。
忙しくても、絶対に行こう!


だが、あれ以来、ナマ脚ウエイトレスには一度も遭遇していない。
オバちゃんウエイトレスばかりである。

なんだか、今年も、淋しい夏になりそうだ。


2007/08/07 AM 08:16:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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