Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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今どきの女子高生って・・・
小学6年の娘の浴衣を、ユニクロに買いにいった。

娘は、普段女の子っぽい格好を嫌っている。
Tシャツやタンクトップは黒だし、靴も黒。
カバンも黒、帽子も黒。スカートは絶対にはかない。

髪は長いが、編んだり結わえたりはしない。いつもボサボサである。
だから、浴衣などに興味を示したことがない。
しかし、今回突然「浴衣が欲しい」と言いだしたのである。

もしかして、恋でもしたか。
お父様、実はワタクシ、好きな人が・・・・・(怯)

「馬鹿かお前! 夏祭りがあるんだよ。夏祭りは浴衣を着るに決まってるだろ!」
しかし、夏祭りは毎年あるが、今までは一度もそんなことは言わなかった。
なぜ今年は浴衣を着るのだ。

「みんなが着るからだよ!」
しかし、今まではみんなと同じ格好はしたくないと、言っていたではないか。

「うるせえんだよ! とにかく今年は浴衣! 浴衣を買ってこい!」

ということで、ユニクロに浴衣を買いに来たのである。
娘も一緒に行けばいいのだが、友だちと遊ぶ約束をしたので、行けないと言う。

「だってほら、友だちは大事にしろって、お前いつも言ってるだろ。父親の言うことは聞かないとな。だから、写メで浴衣を撮って来てくれ。アタシが気に入ったら、買う。わかったな」

高校二年の息子の携帯を借りて、ユニクロの店内をうろついた。
浴衣の展示スペースは、真ん中だったので、すぐにわかった。
早速、写メを撮る。
竹久夢二の浴衣」というのを2点撮って、娘にメールを送った。

「そんな地味なやつ誰が着るんだ。もっと他にないのか」

そこで、ピンクや黄色や青い浴衣を5点撮った。
撮っているとき、何となく視線を感じたので、ユニクロ入口付近を見ると、女子高生が4人、こちらを指さしているのが見えた。

私がユニクロに入ったときから、女子高生が入口前に置いてある木のベンチに座って、噂話に花を咲かせていたのだが、彼女たちが、どうやら私に興味を持ったようなのである。

変なオッサンが、女物の浴衣を携帯で撮りまくっている。
浴衣フェチ?
浴衣オタク?
もしかして、変態?

ヤダー! キモイー!

そんな感じで、私を見ているようである。
私がキモイのは、間違いないが、私は人に指をさされるようなことはしていない。
真面目な人生を歩いてきたつもりである。
警察に捕まったことはない。
人を罠にはめたこともない。
脱税をしたこともない。
援助交際をしたこともない。

だから、女子高生に後ろ指をさされる覚えはない。
私は潔白である。

娘からのメールの返事を待つために、私はユニクロを出て、入口前のベンチに座った。
隣に女子高生がいる。
その視線が痛いほど突き刺さる。
女子高生の視線が痛いことを、私はその時はじめて知った。
何ごとも、経験してみないと、わからないものである。

イタッ、イタタタ・・・・・・・。

脳髄に極太の針が突き刺さる感じを味わっていたとき、娘から返信メールが来た。
「青いやつがいいと思うんだけどさ、もっとキレイに撮れないか。もっとはっきり模様が見てみたい」

それは難しい注文である。
私は、携帯で画像を撮ることに慣れていない。
デジカメなら得意だが、携帯は勝手が違う。
そもそも、こんなオモチャで、綺麗な画像が撮れるものなのか。
携帯に縁のないオジさんには、それは不可能なことのように思える。

首をかしげた。
ため息をついた。

その時、隣の女子高生グループのひとりが、好奇心いっぱいの顔で声をかけてきたのである。
「あのー、もしかして、娘さんに浴衣を買って来いって、頼まれたんですか」

鋭い質問である。
私は彼女の顔をサラッと見た(食い入るように見ると殴られると思ったので)。
下ぶくれだが、口元に愛嬌のある、癒し系の顔である。
顎にでっかいバンドエイドが貼ってある。ニキビでもつぶしたのか。
若さいっぱいの、好感の持てる顔だ。

「そうなんですよ。夏祭りに着ていく浴衣が欲しいって言うんだけど、本人は用事があってこられないからって、頼まれましてね」
女子高生が、「うわぁー」と言いながら、頷き合う。
「トモカ、当たりー! スゴーイ」
変態ではないことを、わかってくれたようである。

私が、どうやったら携帯で画像をキレイに撮れるかと聞くと、トモカと言われた彼女は、「ちょっと貸してくれますぅ」と私の携帯を取って、立ち上がった。
そして、「お父さん。ちょっと来てください」と言って、早足で店内に入っていった。

私は、「ハイ!」と大きな声で答えて、彼女のあとに続いた。
浴衣売り場の前まできた彼女は、携帯を鮮やかな手つきで操作しながら、浴衣を私に手渡して、2メートルほどの距離から、パシャパシャとフラッシュを点滅させた。

そして、素早い動作で画像を確かめ、「これでどう?」と私に画像を見せてくれた。
キレイである。
浴衣の模様がくっきりと写っている。
アングルもいい。
その鮮やかな手際に、私は「ほぉー」と言うしかなかった。

トモカさんは、私に携帯を渡すと、グループの方に戻っていった。
私は早速娘にメールを送った。

そして、頭を下げながら、また女子高生グループの横のベンチに座って、娘からの返信を待った。
「娘さん、何歳ですか」
女子高生が、甲高い声で言う。
「12歳です」

すると、4人同時に「若い!」と手を叩きながら、大声でハモった。
そして、キャキャキャッと、体を折るようにして笑った。
「12歳だってェ。遠い昔だよぉー。信じられない。ヤダヤダ! 年は取りたくないよぉー!」
お互いの肩を叩いて、大袈裟な身振りで体をよじっている。
キャッキャッ、グゥワッグゥワッ、ゲゲゲゲ・・・・

アヒルの合唱か! ゲゲゲの鬼太郎か!

そんなことを思っていると、娘から返信メールが来た。
アヒルの合唱が、止んだ。ゲゲゲの鬼太郎が人間に戻った。

「よし、それでいいぞ。ゲットしろ!」
青の浴衣がお気に召したらしい。

女子高生が指でOKサインを出して、私を見ている。
私もOKサインを出した。

女子高生が、ハイタッチをしている。
そのハイタッチが、私にも回ってきた。

若いエネルギーが掌(てのひら)に伝わる感触。
照れる。
顔がニヤケる。

「お父さん、いい仕事しましたねえ」
女子高生に肩を叩かれた。
4人の女子高生が、私の顔を見ながら、同じリズムで頷いている。

「ありがとうございます」
私は立ち上がって、女子高生に深く頭を下げた。

「お父さん、いいから、早く買って来たほうがいいですよ。売り切れちゃいますよ」
私は慌てて浴衣売り場に走った。

キャッキャッ、グゥワッグゥワッ、ゲゲゲゲ・・・・

後ろで、アヒルの合唱が聞こえた。


2007/07/28 AM 08:07:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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