Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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千円札の使い道
カバンの整理をしていたら、千円札を見つけた。
これは、ミステリーである。
なぜなら、私にはカバンに財布を入れる習慣はないので、財布の中のお金が飛び出したということは絶対にないからである。
カバンの中には、いつも文庫本を入れているが、私には本の間に札を挟むという習慣もない。

では、なぜ、千円札が紛れ込んだのか。
親切な人が、私のカバンの中に「美味しいランチでも食べなさいよ」と、入れてくれたのか。
それとも、たまたまカバンのファスナーが空いていたときに、お札が舞い降りてきてくれたのか。

この殺伐とした世の中に、なかなか夢のある話ではないか。
こんな夢なら、毎日遭遇しても構わない。
毎日遭遇して、ひと月トータル3万円である。
これは、サラリーマンのひと月のお小遣いくらいだろうか。

小遣いゼロ円の人間としては、うらやましいことである。
ケッ!

今では付き合いがなくなってしまったが、中学時代の同級生は、バブルの最盛期に目黒の土地を売って、木更津に豪邸を築いた。
彼は、外車を2台持ち、ハーレーダビッドソンを乗り回し、北海道に別荘を所有し、千葉市内でマンションとアパートを経営していた。
さらに、ゴルフ会員権を持ち、リゾート会員権を持ち、愛人が二人いた(めまいがしてきた)。

彼の財布は、いつも成金の象徴・一万円札ではち切れんばかりに膨れあがっており、カバンの中では、帯留めされた一万円札の束が激しく自己主張していた。

一度、木更津の自宅に招待されたとき、寿司屋のケータリングで持て成してもらったが、その時はじめて私は、ドンペリニヨンというシャンパンを飲んだ。
それは、普通にシャンパンの味がしたが、私は飲みながら思った。
寿司にシャンパン?
これって、合うのかい?

ケッ!

普通の人間だったら、大喜びして、媚びのひとつも売るのだろうが、私は物心ついてから、媚びを売るのが下手で、今に至るまで売ったことがない。
貧乏だから、売るものがないのだ。媚びを売るのももったいない。モッタイナイ。

だから、この時も、「スーパードライを飲ませろ! 納豆巻きを食わせろ! カッパ巻きはねえのか!」と難癖をつけた。
それ以来、彼からお呼びがかからなくなった。

バブルが弾けて以後、彼に関しての色々な噂が私の耳に飛び込んできたが、私はそれを右から左へ受け流していた(決して左から右へは受け流さなかった)。

ただ、このカバンの中から見つけ出した千円札だけは、右から左へ受け流そうとは思わない。
何か有意義なことに使いたいものである。

本を買うのもいい。
BOOK OFFなら、100円の文庫本が9冊買える(消費税を取られるので、10冊買えないところが悔しい)。

立ち食いそば屋で、かき揚げそばに竹輪の天ぷらをトッピングして、ミニカレーを付けてもいい。
おそらく、これで620円。生ビールを付けても、千円以内に治まるはずである。
贅沢だ。

もう5年近く買っていないが、Mac関連の雑誌を買ってもいい。
きっと、Macは相当な進歩を遂げているはずだ。
最新のMac情報を雑誌で仕入れて、浦島太郎の気分を味わうのもいい。

たまには、同じ色の靴下を履いてみるのもいい。
今ある靴下は、すべてが左右不揃いで、情けない状態になっている(穴の開いていない靴下を揃えるとそういうことになる)。
だから、ロジャースで5足598円の靴下を買うという贅沢をしてもいい。

もう2ヶ月半動かしていない原チャリに、燃料を千円分食わせてやってもいい。
久しぶりに、原チャリで風を切るのも、ストレス解消にはいいかもしれない。

夢はどんどん膨らむ。

しかし、その膨らんだ夢も、小学6年の娘の「パパちゃん!」という声で、一気にしぼんだ。
娘は、普段は私のことを「パパ」とか「おまえ」とか呼んでいるが、「パパちゃん」と呼ぶときは、絶対に何かおねだりをする場合である。
全身が緊張した。

娘は、数ヶ月に一回しか出さない甘い声で、私に話しかけた。
牧場物語の攻略本が欲しいんだけどさ。お小遣いが800円しか残っていないの」
「800円じゃ買えないのか」
私が言うと、娘は明らかに蔑みの目で私を見つめてから、「いまどき、800円で買える攻略本なんて、ねえよ!」と吼えた。
甘い声は、つかの間だった。

そうなのか、じゃあ、千円か? それなら、200円あげれば、買えるわけだな。

しかし、娘は非情にも、こう切り捨てるのである。
「アホッ! そんな安っぽい攻略本なんて、今どき売ってるか! 1600円プラス消費税80円だ!」

1680円!

私の大事な千円札が、攻略本に変わるという悲劇は、できるならば避けたい。
しかし、今の私は、この悲劇を回避する方法を知らない。
この悲劇からは、逃れようがない。

私はこれから、牧場物語の攻略本を見るたびに、攻略本を燃やしたい衝動にかられることだろう。

そうしないためには、千円札は、最初からなかった。
そう思った方がいい。

千円札は、なかった。
攻略本は、道ばたで拾った。

そう思うしかない(泣)。


2007/07/18 AM 07:06:31 | Comment(3) | TrackBack(0) | [日記]



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