Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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チャーシューデブと干物男
先週の土曜日。
浦和のラーメン屋。
130キロの巨漢スガ君と3ヶ月ぶりに会った。

スガ君の近況に関しては、4月22日のブログに書いた。
バツイチのスガ君は、シマコさんという女性とつき合っているが、シマコさんのお腹はすでに妊娠5ヶ月。
しかし、相手のご両親に、ご挨拶もしていないというのである。
私はそれを、「まるで自分勝手な子どもだ」と叱った。

それ以来のラーメン会談である。
スガ君は、豚骨ラーメンの大盛りと、チャーシューの盛り合わせ、ライスの大盛りを頼んだ。
私は、豚骨ラーメンと生ビール。

10分ほど並んで待った甲斐があって、豚骨ラーメンは、濃厚だが口触りが絶妙で、プロのラーメンという味がした。

「うまいね」
「うまいですね」

スガ君は、替え玉を2回頼んだ。
ライスも追加した。
私も、生ビールと餃子を追加注文した。

2杯目の生ビールを飲みながら、「彼女の家には挨拶に行ったの?」と聞いた。
スガ君は、赤いタオルで、顔を流れる汗を拭きながら、「そ、そ、そ」と大きく頷きながら言った。
「そうなんです」と言いたいらしい。

彼女の父親に投げ飛ばされる覚悟で行ったスガ君は、あまりにも友好的な待遇に、面食らったと言う(ことわるまでもないが、麺を食ったわけではない)。

額を畳にすりつけるスガ君に向かって、彼女の父親は、スガ君の両手を取って、「よくやった!」と言ったというのである。

娘はもう、39歳になる。
だから、結婚は半分諦めていた。
しかし、もし好きな男が現れたら、自分は、バツ2までは、いいと思っていた。
だから、バツイチなどは、何でもない。
しかも、すでに子どもを宿している。
初孫まで作ってくれて、ありがとう。
これほどの幸せはない。
俺は、世界一の幸せ者だ、
と頭を下げたと言うのである。

そして、その日のうちに、二人は籍を入れた。
とりあえず、今はスガ君のアパートに住んでいるが、子どもが産まれたら、引っ越す予定らしい。
将来は、カラオケスナックとトランクルームを経営している、彼女の父親の事業を引き継ぐ段取りになっていると言うのである。

めでたいことである。
「おめでとう」、私はそう言って、スガ君にデコピンをした。

「ギャッ! 痛いッス!」とスガ君は叫んだが、顔はこぼれんばかりの笑顔である。
幸せなやつの笑顔というのは、いいものだ。

「今日は、奢ってくれよ」と私が言うと、「もちろんですよ。そうしないと、シマコに怒られますから」とスガ君は、赤いタオルで顔を拭きながら、口を小さくとがらせた。

そして、大盛りラーメンと2杯目の大盛りライスを平らげたスガ君は、背筋を伸ばして、私に頭を下げた。
「Mさん、俺たち、子どもが産まれたら、式を挙げようと思うのですが、仲人をしていただけませんか」

「ヤダ!!」(即答)

「えー!!」
スガ君がのけ反る。

考えてみて欲しい。
新郎は130キロの巨漢。新婦は80キロ(?)の肉のかたまり(失礼)。
その隣に、58キロの貧相な男が立っていたら、マンガではないか。

「それに俺は、『新郎は優秀な成績で学校を卒業されましてェ〜』なんて、空っぽな紹介なんかしたくネェぞ。あんなセリフを吐くくらいなら、今すぐ舌をかみきって死んでやる!」

赤いタオルが私の目の前を舞っている。
スガ君が、顔と一緒にタオルを大きく左右に振っているからである。

「いえ、そういった紹介は省いて結構です。ただ座っているだけでいいですから」
「俺は、置物か!」
「いや、そうではなくて・・・」
また、赤いタオルが目の前を舞った。

「いいかい、俺が君に勝っているのは、身長だけだよ。それ以外は、完敗だ。想像してごらん。ドラム缶が二つあったとする。その両サイドに鉄パイプが置いてあるんだ。ドラム缶に比べれば、鉄パイプなんてみじめなもんだぜ」

スガ君の額から大量の汗が流れ出ている。
赤いタオルが上下する。

「あ、あのぉ、オレ、式までに痩せますから。シマコにもダイエットさせますから。どうか、ぜひ・・・・・」

そこまでしてもらう必要はない。
スガ君の痩せた姿など、見たくない。
彼は、太っているから、笑えるのである。
笑えないスガ君は、スガ君ではない。

そこで、突然「笑い」ということを考えた。
130キロのチャーシューデブの隣に、58キロの干物(ひもの)男。
これって、笑いを取るには最高ではないか。
ただ立っているだけで、笑いが取れるのである。

チャーシューデブと干物男。
こんなコンビ、吉本にも、いないのではないだろうか。

「よし、引き受けた!」
私は、快く胸を叩いた。


2007/07/16 AM 08:10:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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