Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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WEBデザイナーは、大嘘つき
喫茶店を利用しなくなって、どれくらいたつだろうか。
独立してからは、一人で入ったことはないかもしれない。

スターバックス」や「ドトールコーヒー」には、たまに入るが、あれは喫茶店に分類されるのだろうか。
たまに入ると言っても、年に一回あるかどうかだから、頻度は極めて少ない。

だから、喫茶店業界には、まったく貢献していない。
街中から喫茶店が消えたのは、もしかしたら私のせいかもしれない。

「師匠、ここのコーヒー、美味しくありません?」
とWEBデザイナーのタカダに聞かれた。
場所は、荻窪の彼の事務所に近い喫茶店である。

私は、「美味しくありません」と答えた。
価格表を見ると、コーヒー1杯が500円と書いてある。
価格というのは、提供するものの質と正比例していなければならない。

ここのコーヒーはマクドナルドのコーヒーより、5倍うまいわけではない。
だから、美味しくありません。

「師匠、場所代や雰囲気というものも考慮してあげないと、可哀想じゃないですか」
「マクドナルドは、どれも立地条件はいいぞ。しかも、価格はどこも変わらない。味も変わらない。雰囲気は好きずきだが、頼むときのあの作り笑いさえ我慢すれば、あとは結構快適だぞ」

「でも、雑誌や新聞も置いてあって、ここはサービスがいいじゃないですか」
「新聞買ってマクドナルドに入っても、込みで250円くらいですむ」
そして、「ワン・クエスチョン」と言って、私は人差し指を立てた。

「喫茶店には、もう一つどうでもいいサービスがあります。それは何でしょうか?」
タカダは、キョロキョロと店内を見回して、首を傾げた。
ダルマが腕組みをすると、こんな感じになるのか、と考えていたら、「グハハハ」と声を出して笑ってしまった。

隣のテーブルで、「週刊文春」を手にした暇そうなサラリーマンがこちらを見ていたが、私が睨んだら、わざとらしく咳をして下を向いた。

「タカダ君、教えてあげよう。聴きたくもない音楽を聴かせられることだよ。こちらの好みを無視して、無理矢理音楽を聞かせるというのは、サービスを勘違いしているとしか思えない。マクドナルドは、音楽がないというのが、最高のサービスなんだ」
「でも、師匠、いま流れてるのはジャズですよ。師匠、ジャズ好きじゃないですか」

「ジャズなら何でもいいわけじゃない。君はアイドルが好きだが、アイドルならみんな好きなのか?」
「いえ、やはり好みはありますよ。上戸彩がダントツの一番で、二番が石原さとみで、三番が堀北真希で、四番が、え〜と…」

「四番は、レフト松井秀喜、あるいは、サード、アレックス・ロドリゲス、彼はA・ロッドとも言われている」

「・・・・・?」

店内に寒い空気が充満したようである。
二人同時に、コーヒーを飲んだ。
タカダは、以前は私の目が点になるくらい、砂糖を大量に入れていたが、カロリーを意識して、今はブラックで飲んでいる。
ダイエットは順調にいっているらしく、顔がかなりシャープになってきた。

「82キロ」
私が言うと、タカダは、コーヒーにむせた。
顔を真っ赤にしてむせると、ダルマそのものである。

「師匠、何で!」
当たったようである。
ということは、前回会ったときより、3キロ痩せたことになる。
1ヶ月半で3キロの減量だから、理想的なダイエットだと言えるだろう。
今回のダルマは本気である。
よほど結婚したいのだろう。

「そこでだが、タカダ君。ささやかだが、プレゼント」
私は、タカダに二つ折りにした小さな紙を渡した。
メールアドレスが書かれた紙である。
タカダは、震える手で紙を掴んで、緊張した面もちで、食い入るようにそれを見つめた。

「師匠、これは!?」

タカダと私の共通の得意先が一社ある。
そこの事務員の一人が、笑顔が素敵な子なのである。
名前は知っているが、年はわからない。女性の年はわかりづらいので、20から30歳の間だと思っている。

私は年に3、4回しか行かないが、タカダは月に1回は必ず行っているようである。
彼は、腹が立つくらい、売れっ子のWEBデザイナーなのだ。
ただ、彼は年頃の女の子と話すのが苦手らしく、彼女とは挨拶をする程度だという。
好意を持っているところまではいかないが、「笑顔がいい」とは、私に何度も言っていた。

私も若い女の子は苦手だが、なぜか彼女の方から、私に気軽に話しかけてくるのである。
いつもニコニコと話しかけてくるので、私は彼女の笑い顔しか知らない。
そこで、前々回その会社に行ったときに、遠回しにダルマのことをどう思っているか、聞いてみたのである。

私がタカダのことを「ダルマ」と表現したら、「イーヒヒヒッ!」とすごい笑い方をされたが、「ああ、癒し系ですよね、あの方」という答えが返ってきた。
「あの方」と言うからには、悪い感情は持っていないのではないかと、勝手に判断した。

その時は、その程度の会話で終わらせたが、次に行ったときに、もう一度タカダの話題を振ってみた。
「この間、見えましたけど、随分痩せましたね。もうダルマじゃないんじゃないですか」
いつも通りの笑顔で、彼女はそう言っていた。
私は、駄目で元々という勢いで、単刀直入に聞いてみた。

33歳のダルマ君は、只今お嫁さんを募集中です。
あるいは、彼女を募集しています。
もしくは、メル友を募集しています。
あなたなら、どれをお望みですか?


「すみません。どれもお望みではないのですが……」
予測はしていたが、そう言われた。

そこで、私は作戦を変えた。
「Tさん、浜崎あゆみが大好きなんですよね」
「はい、ものすご〜く憧れています」
目が輝いている。全身から憧れの粒子が湧き上がっているように見える。

「うちの高一の息子も、あゆが好きなんですよ。コンサートに連れて行ってやりたいんだけど、なかなかチケットが取れなくて、いつも息子には悲しい思いをさせてるんですよ。そこで、もしチケットがうまく手に入る方法があったら、教えてくれませんか」
「ああ、いいですよ。でも、Mさんって、思ってた通り、いいパパなんですね」

いやあ〜、照れますねえ。

「じゃあ、私のメールアドレス教えますので、もしいい情報がありましたら、こちらの方へ」
と言って、私のアドレスを教えた。
そして、こうも付け加えた。
「ああ、ダルマのやつも浜崎あゆみ、大好きなんですよ(嘘だが)。部屋中、あゆのポスターだらけなんですよ(大嘘だが)

私の作戦に引っかかって、今週の月曜日にTさんから、メールが送られてきた。

Tさん、有力な「あゆ情報」ありがとうございます。
息子は大変喜んでいました。
しかし、同時にお詫びもしなければいけません。
ダルマにあなたのメールアドレスを教えるという、取り返しのつかない背信行為を犯してしまいました。
お赦しください。


「いいか、タカダ君、キミは浜崎あゆみの大フアンということになっているからな。話を合わせるんだぞ」
はい、オレは浜崎あゆみが大好きです! CDも全部持っています!(この大嘘つきが!)

ダルマ、健闘を祈る。



2007/03/29 AM 07:15:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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