Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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マクドナルドの変なヤツ
同時進行の仕事が2件。
しかし、どちらも校了は月末なので、今はのんびりしている。

家族に朝飯を食わせて、食後の珈琲を飲み始めた朝9時前、知人から、こちらをイラつかせる電話がかかってきた。
「Mさんよぉ、あんた、自分のホームページ、もう一年以上更新してないだろ。そんなんじゃ、やる気ないって思われるぜ」

朝早くから、大変お節介なご忠告、どうもありがとう、と言っておく。
私のHPの更新ができないのは、あなたのホームページを頻繁に更新させられているからなのです。
いい加減、人に頼らずに、操作を覚えたらいかがですか。
ホームページ・ビルダー」は買ったんですよね。
簡単なマニュアル本がたくさん出ていますから、そろそろご自分でなされたらいかがでしょうか。


朝っぱらから、カツラ野郎の声を聞いてイライラしてきたので、散歩に出ることにした。
バッテリーを新調して生き返った、借り物のWinのノートPCをバッグに詰めて、家を出た。
遊歩道のベンチに座ってPCを動かすには、丁度いい気候である。
天気はいい。
洗濯物も、早く乾くだろう。

団地の遊歩道を普段の半分のスピードで歩いていく。
風がほとんどないので、うららかな春の匂いが実感できる。
鼻歌を歌いたくなるくらい気持ちはいいが、朝の電話を思い出すと、またイライラしてくる。

無神経な人間というのは、その存在を思い出すだけで、心に暴風が吹く。
「アホか! あのカツラ野郎!」

前を歩いていた、コーギーとお散歩中の60年配のご夫婦が、素早く振り向いて私を見た。
自分では、心の中で罵ったつもりだったが、声に出てしまったようである。
横を向いて知らんぷりをした。
横目で見ると、ご夫婦は、こちらをじっと見つめるという無粋なことはせずに、散歩の態勢に戻った。

少し立ち止まって、ご夫婦との間をあけようと思った。
尻尾のないコーギーのお尻を見るともなく見ていると、その可愛く揺れる様子がおかしくて、「ククク」と、つい笑った。
すると、私の横を、怖いものから逃れるように足早に通り過ぎていく黄色いコートの女。
後ろ姿が、怯えているように見える。

今日の私は、完全に「変なヤツ」になっている。
「私としたことが……」と、また呟いて、ハッと気が付き、まわりをキョロキョロと見回した。
誰も聞いていなかったようである。
今日はおかしい。いや、いつもおかしいが、今日は特におかしい。

こんな調子では、散歩をしてもストレスが溜まりそうなので、国道沿いの「マクドナルド」に入ることにした。
祝日なので、それなりに混んでいたが、空いている席はあった。
財布には、175円しかなかったので、100円コーヒーを頼んだ。
ここでノートPCを30分くらいいじっていれば、心も落ち着いてくるだろう。
そうしたら、帰るつもりだった。
100円で長々と居座るつもりはない。

大学時代、「俺はコーヒー一杯で、6時間も粘ったよ」とか「水割りとおつまみひとつで、2時間粘ったぜ」と自慢するやつがいたが、それはただ無神経で図々しいだけだろう。
店にとっては、営業妨害である。だから、私にはそういう彼らの行為がまったく理解できなかった。

私は、コーヒー一杯でその店の一角を借りられる時間は、せいぜい30分だと思っている。
それ以上いると落ち着かなくなるから、30分以上いた場合は、必ずお代わりを頼む。
「客が店に気を遣ってどうすんだよ。店だって、ガラガラよりはいいと思っているはずだぜ」とよく言われたが、店が客に気を遣い、客が店に気を遣わなければ、商売は成り立たないと私は思っている。

だから、客が店に気を遣いっぱなしで、なおかつ有り難がっている「行列のできるラーメン屋」が嫌いなのだ。

マクドナルドのコーヒーは薄味だが結構うまい。昔は、あまり香りがしなかったが、最近はいい香りがするようになった。
PCの電源を入れて、「イラストレータCS」を起動した。
そこに、ホームページのアイディアを書き込んでいく。

確かに、一年以上HPを更新していないのは、カツラ野郎の言うとおり、怠慢だと思われても仕方がない。
ここはじっくりと吟味して、更新と言うより、リニューアルのつもりで作ろうか、と思っている。

カチャカチャとキーボードを叩いていると、後ろからもカチャカチャという音が聞こえた。
そっと振り返ると、若いサラリーマン風の男が、私の(友人の?)より遥かに高そうなノートPCに向かっている。
しかし、同じカチャカチャでも、何となくイライラした感じがする。
私もイライラしていたが、キーボードにイライラをぶつけることはしない。
これは商売道具なのだ(借り物だし)。

彼の方は凶暴にイライラしている感じがした。
PCの調子が悪いのかもしれない。
あるいは、ゲームで遊んでいて、そのゲームがうまく進行しないからか。

まあ、どうでもいいことだ。

「CS」にアイディアを打ち込んでいく。
ページをチャート風に配置して、後でそれをつなげていく。
自分のHPだからといって、強烈な自己主張はしたくない。あっさりしたつくりの方が私の性分に合っているので、今回もその方向性で行こうと思っている。

と、ある程度方向性が決まったところで、25分がたった。
PCの電源を切って、席を立とうとした。これ以上いると、落ち着かなくなって、またイライラしてくるからだ。

そんなとき、
「あの〜、よろしいでしょうか」と声をかけられた。低音である。映画の吹き替えを思わせる艶のある声だった。

見上げると、後ろのイライラ青年だった。
「あの、そちら様のパソコンはマックですか?」
手を体の前で合わせてモジモジしている様子が、好感が持てる。
先ほどのイライラが嘘のようである。

「いや、これはウインドウズなんですが」
「ああ、そうですか〜、そうですよね、普通はウインドウズですよね〜、じゃあ、ダメですね

一体何がダメなんだ!
ウインドウズは確かにダメなOSだが、それをマクドナルドの店内で主張して何になるというのだ!
ビル・ゲイツ氏とリチャード&モーリス・マクドナルド氏に失礼だろう。

「もしかして、マックの調子が悪いんですか?」
私が言うと、彼は頭をかきながら、「WORDとEXCELがすぐ落ちるんですよ。そして、すぐフリーズです」と答えた。

ということは、オーエステンではないな。
オーエステンは滅多にフリーズをしない(はずだ)。
新しいと思ったノートだったが、昔のタイプだったか。
しかし、マックでわざわざWORDとEXCELを使うなど、卓球のラケットでテニスをするようなものである(?)。

「ちょっと見せてもらってもいいですか」
私が言うと、揉み手をするような感じで大きく頷いてくれたので、彼のテーブルに移動して、画面をのぞいてみた。
OSは9.2.2。私のデスクトップマシンと同じOSである。
ホワイトパネルの14インチだから、最後のOS9起動モデルかもしれない。
発売されてから3年以上たっているはずだが、大事に使っているのだろう。かなりきれいである。
あっぱれなマック使いと見た。

メモリを見ると、512MB。WORDとEXCELを同時に使うには、メモリ不足の可能性もある。
とりあえず「Disk First Aid」で検証をしてみたが、問題なし。
仮想メモリがオンになっていたので、オフにして再起動。
デスクトップの再構築をして、WORDとEXCELを立ち上げてみたが、フリーズ。

今度はPRAMをクリアして、立ち上げた。
そして、「機能拡張マネージャー」を開いて機能拡張類とコントロールパネルを調べると、余計なものがてんこ盛り
おそらく、いらないであろうと思われるもののチェックを外して、再起動。

そして、WORDとEXCELの割り当てメモリを増やして起動。
新規ドキュメントでデータを作って保存したら、何ごともなく保存できた。
試しに、何度も開いて閉じることを繰り返したが、フリーズはなかった。
機能拡張類の何かが邪魔をしていたようである。
おそらく、これで問題解決。

無言で私の作業を見ていた彼は、「何と!」と言って、私の顔をマジマジと見ていた。
店内の壁時計を見ると、私がマクドナルドに入ってから、40分以上たっている。
これは、ヤバイ!
不測の事態ではあるが、何となく落ち着かなくなってきた。

「あの〜、ありがとうございます。助かりました。いやあ、お詳しいんですねえ」
と感嘆の声を投げかけられたが「いえいえ」と言い、「40分、40分」と呟きながら、私は慌てて席を立って、出ていった。
まるで尻に火がついたカチカチ山のタヌキのように、滑稽な逃げ方だったと思う。

彼の顔は見なかったが、「なんだ、あいつ!」という顔をしていたのではないだろうか。

今日の私は、我ながら「変なやつ」だった、と思う。




2007/03/22 AM 07:43:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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