Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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パクリとオリジナルの境目
ある会社からマスコット・デザインを頼まれた。
それは、某パチスロのキャラクタを参考にして、独自にマスコットのキャラクタを考えて欲しい、というものだった。

私は、酒、煙草、女とギャンブルはやらない主義だ。(この中に、ひとつ嘘があるが、それはナイショです)
だから、パチスロのキャラクタのことはよく知らなかったが、お得意様なので引き受けた。

威張るわけではないが、私はイラストには、まったく自信がない。
だから、イラストを本業にしている同業者に「丸投げ」することにした。

しかしこれが、今回、大きな失敗を招くことになった。
不得意な仕事を受けた場合は、専門家に任せるのが一番だ、という私の方針は、トラブルの元になる場合もあることを思い知らされたのである。

ただ、不得意な仕事を自分でやるほど、私はうぬぼれ屋ではない。これも私の揺るぎない信念なのである。
私よりも絵のうまい人は、この日本に一千万人はいることだろう。
私は、その人たちと競争をしたいとは思わないのだ。

仕事を受けたその日にイラストの専門家に、クライアントの要望をそのまま伝えた。
そして、それから3日後に、イラストは出来上がった。

描かれたイラストを見て、「面白いキャラクタだが、子どもっぽい。うまいイラストだが、無難すぎる」という印象を持った。
私は自分の感性に自信がない場合は、人の意見を必ず参考にする。
自分の感性が一番正しい、という「うぬぼれ」も持っていないからだ。
そこで、16才の息子を含め、6人の意見を聞いた。男5人女1人である。
年齢層は、16才から40才くらい。

私の息子は、「ちょっとアンバランス。可愛い感じはするけど、何か変!」という意見だった。
3人は、「可愛いくてユニーク。悪くない」という感想。
残り二人のうち一人は、「子供じみている。キャラクタは、もう少し毒がある方がインパクトが強い」と答えてくれた。
もう一人は、「企業のキャラクタとして目立つが、ネーミングがダサい!」という反応だった。

どれも「ごもっとも」という感想である。
しかし、決めるのは、私ではない。クライアントである。
こういった場合、私は意見を言わないことが多い。
「外部のイラストレーターに頼みました」とだけ告げて、後は先方の判断に任せた。
何といっても、このマスコットのコンセプトを一番理解しているのは、クライアントだからだ。

その場では、何も言われなかったが、後日「キャラクタがパチスロのキャラに似ている」というクレームが来た。
言われてパチスロのキャラクタと比べてみたが、「確かに似ているかもしれない」と思った。しかし、「あのキャラを参考にと言ったのだから、似てるのは当たり前だな」とも思った。

前回、感想を聞いた6人のうち、パチスロ狂いの男がいたが、彼はその時はまったく反応を示さなかった。
「ネーミングがダサい」とは言ったが、「似てる」とも「どこかで見たことがある」とも言わなかった。
今回改めて彼に意見を聞いてみたが、「別に気にならなかった。そりゃ、人それぞれですからね。俺はそれほど細かくないんで」と少々憤慨しながら言っていた。

イラストレータにも、クレームが来たことを電話で告げた。
そうすると、彼はこう言った。
「確かにあれをベースに考えたんだから、似てるでしょうよ! でもそれは、『ジャングル大帝』と『ライオンキング』と同程度の問題ですよ。もし、もっとオリジナル性の高いものを書くとしたら、報酬は10倍増しにしてもらわないと! あの程度の報酬と時間では、アレが限度ですね!」
かなり怒っているようである。

要するに、安い報酬で頼んだ私が悪かったということか。
この雰囲気では、彼に修正してくれ、と頼みづらくなったので、クライアントの要望に添って自分で修正した。
修正後のキャラは、携帯のストラップやステッカーにすれば、それなりに受けるのではないか、と思えるくらい味のあるキャラクタになった。
そして、その仕事は校了となった。

ただ、あまり後味の良くない仕事だったので、気になって、その後も友人や同業者にメールで意見を聞いてみた。

その中で一番多い意見を要約すると、「俺も『ライオンキング』が世間でずっと通用しているんだから、この程度なら『パクリ』ではないと思うよ。もっと似ているキャラクタは、世の中に溢れている。その程度のことを気にしていたら、何もできない。オリジナルはすべて模倣から始まるんだから、気にすることはねェよ」というものだった。

それを聞いて安心したが、そうは言っても一番悪いのは、「あのパチスロのキャラを参考にして」と言って、そのまま「丸投げ」した私であることは間違いない。

そこで、今回の反省その一。
「丸投げ」する前に、もう少し仕事をよく確かめよう。
反省その二。
もう少しイラストのスキルを磨こう。そうすれば、他人に迷惑を掛けない。
反省その三。
三流のデザイナーは、人にものを頼むときも三流である。

以上。



2007/02/18 AM 11:34:09 | Comment(1) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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