Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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「バカ殿」のススメ
2月13日、火曜日。
同時進行の仕事が3つある。
すべて違うタイプのものなので、頭を使う。

その中で特に、和菓子店のチラシで苦労している。
これは私にとって初めてのタイプの仕事だが、「優雅な雰囲気で」とクライアントに言われても、自分が「優雅」ではないので、イメージが湧きづらい。

チャイコフスキーの「ピアノコンチェルト第1番」をBGMにして、イメージを膨らませようとしたが、聴き入ってしまって、何のイメージも湧いてこない。
そんなことをしているうちに6時を過ぎてしまい、息子の弁当を作る時間になった。
窓の外は、やっと少し明るくなってきたところである。

豚肉の生姜焼きをフライパンでジュージューしているときに、脈が飛んだ。
私には、不整脈の持病がある。
これは、学生時代、陸上の短距離をしていた頃からの持病である。
おそらく、それまでも脈が飛ぶことはあったのだろうが、強く意識するようになったのは、大学一年の時だ。

30メートルダッシュを繰り返している最中に、「ドクッ!」と1拍飛んだ。
何となく違和感があったが、ダッシュはやめなかった。
気にはなったが、別段苦しくもなかったので、その日は普段通りにメニューをこなした。

だが、それ以後、練習中によく脈が飛ぶことに気づくようになった。
脈が飛んだからといって、具合が悪くなることはないのだが、少し気にするようになった。

医者嫌いなので、診てもらうことはしなかったが、自分で書物などを読んで調べた。
そこで、勝手に「スポーツ心臓」なのだろう、と結論づけた。
中学一年の頃から、自分の体を極限まで追い込んで練習を積んできたのだ。
ひとと違う心臓になったとしても、おかしくはない。

そう結論づけると、安心した。
医学的な根拠はまったくないが、自分でそう思っていれば、気持ちは落ちつく。
今でも、ジョギングなどをしているときに脈が飛ぶが、死んではいない。
だから、たいした症状ではないと思っている。

しかし、今回脈が飛んだとき、一瞬だが、体が沈み込むような感じがした。
苦しくはないのだが、意識に若干の空白ができた。
視野も狭くなった。

おかしい、と思ったが、弁当を作ることに意識を集中したら、それもすぐに治まった。
気付けに、と思って、台所に置いてあった「麦盛り」という焼酎をラッパ飲みした。
胃が熱くなって、体全体に血液が充満する感覚がして、力が戻ってきた。

息子の弁当をつくり、ヨメ、息子、娘の朝飯を作った。
しかし、家族に朝飯を食わせて送り出した途端、心臓が全力疾走をし始めた。
立っていられないので、リビングの座椅子に腰掛けて脈を測った。
一分間に170。
ジョギングでもここまで脈が上がることはない。

ただ、心臓の鼓動は、強い。弱かったら危険だが、強いのだから、心配はないと思った。
一過性の、いつもと種類の違う不整脈だと思って、安静にした。
おそらく10分もすれば治まるだろう。

しかし、15分経っても治まらなかった。
医者に行くか。しかし、まだ8時にもなっていない。
それに、私は医者が嫌いである。

「ああ、寝不足か過労ですね。働き過ぎじゃないですか、ワッハッハッ」
医者と政治家とダジャレ好きなオヤジは、意味もなく笑う。
そんなバカ笑いは聞きたくない。

体の毛穴から、ジワーッと力が抜けていく感覚。
気分は悪くないが、不安感はある。

しかし、このまま安静にしていていいものか。
手足を動かしてみるが、両方とも感覚が、和紙のように薄い。
景気付けに発泡酒でも飲んでみるか、と思ったが、台所までの距離が遠い。

じっと、不整脈が治まるのを待つのは、時間の経過が遅く感じられて、嫌だ。
そんなとき、テレビラックの下に陳列してあるビデオテープの中で、「バカ殿」というラベルが目に入った。
そう言えば、一番新しい「バカ殿」を観ていなかった。

そこで、スローモーションのように這ってラックに近づいて行き、ビデオをデッキに入れて、亀のように鈍い動きで座椅子に戻った。

リモコンの再生ボタンを押す。
CMは飛ばして、毎度お馴染み「バカ殿」の下品な笑いに没頭した。
そうすると10分も観ていたら、脈が正常に戻ったのである。
おそるべし、バカ殿の威力。

発泡酒を飲みながら、ベビーチーズをつまんで、一時間ほど観ていたら、体がリラックスして、爽快になった。
全部を観ると本当の「バカ」になるので(もう充分にバカだが)、残りは次回のお楽しみ、ということにした。

「バカ殿」は、いい。

あの下品な馬鹿馬鹿しさは、クスリになる。
全国の病院で処方すべきだと思う。

いま、本気でそう思っている。


2007/02/14 AM 09:40:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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