Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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携帯電話がない生活
一ヶ月ほど前のことであるが、携帯電話をやめた。

発端は、電話会社からの請求書だった。
高校一年の息子の携帯電話の先月の請求額が、4万円弱だった。
それを見たヨメが、爆発したのである。
それから敏腕刑事も驚くほどの、厳しいヨメの取り調べが始まった。

息子は「パケ・ホーダイ」で契約しているから、メールやネットは契約額以上は取られるはずがない。
そして彼はあまり、電話をかけることはしないから、それは電話料の請求ではない。
そこで、何か怪しいサイトを見て、そこからの法外な請求が来たのではないかと、ヨメは疑った。

厳しく追及した。しかし、そうではなかった。
「着歌フル」が原因らしい。
最近、息子が気に入っている浜崎あゆみの「着歌フル」を何十曲もダウンロードしたために請求額が膨れあがったらしい。
携帯電話の仕組みがわからない彼が、あちこちの音楽サイトに入会した。それが原因のようだ。
そのあたりの詳細はさらによく調べてみなければわからないが、今のところ、それしか考えられない。
要するに、彼が世間知らずだっただけのことだ。

私の友人の娘は4年ほど前、通話料だけで12万円請求されて、携帯電話を親に没収された。
子どもに携帯電話を持たせるときは、ある程度の取り決めが必要だということだろう。
我が息子は、電話をあまり使わないから、こちらが油断していたのだ。
だから、これは親も悪い。

あらゆる事態を想定して、ことに対処するのが親の役目である。
だから、子どもだけを責めるのは公平ではない。
しかし、母親というのは、その道理がわからない。

息子は十分に反省しているのだが、反省だけでは納得しないのだ。
切れ味鋭い銘刀で、スパッと切り捨てなければ気がすまない。
骨をも裁(た)つほどの、鋭さで人を斬る。
息子の携帯電話を没収すると言う。小遣いも与えないと言う。
卓球部なんか辞めちまえ、その時間でアルバイトをしろとまで言う。
結果、息子は落ち込み、逆ギレする。

彼の側からすれば、反省の態度を示しているのに、なお追い打ちをかけられて居場所がない状態である。
戦争に負けて、賠償金を支払わされ、領土も取られたようなものだ。

私は、自分でもわかっているのだが、バカな親である。
この場合は、母親の言うことの方が概して正しいことはわかっている。
息子の携帯電話は没収すべきなのだろう。
世間の親なら、大半の人がそうする。

しかし、私は息子から卓球も携帯電話も取り上げたくないのだ。
世の中には、卓球や携帯よりももっと大事なものがある。しかし、それは親が無理に教えることではなくて、彼が自分で感じ取るものである。
そのきっかけが、たかが携帯電話の請求書というのでは、私の感覚としては、かなり虚しい。

今までも、何度かこのブログに書いてきたが、最近の私は投げ遣りである。
たかが携帯電話じゃないか、と思う。
私からしてみれば、小さな過ちである。
毎月4万円の請求が来るわけではない。今回だけである。
確かに、埼玉で一番の貧乏家族としては痛い出費だが、一家で浜崎あゆみのコンサートに行ったと思えばいいだけのことだ。

「それとこれとでは、話が天と地ほども違うわ!」

ごもっともですが、むかしヨメが訪問販売の営業に言葉巧みに買わされて、結局本棚に仕舞ったままになった30万円以上もする教材セットのことを思えば、小さい小さい。

ヨメのお怒りはわかるが、この話を終わらせるためにも、誰かが犠牲にならなければならない。
面倒臭いので、「じゃあ、オレが携帯をやめるよ」ということを提案した。

「いや、そこまでは……」とヨメ。
「いいよ、オレの携帯を取り上げてよ」と息子。
「どうでもいいんじゃない」と娘。
「いいから、早くエサをくれよ」と水槽の金魚。

ひとしきり騒いだが、面倒臭い。
だから、私の携帯電話を解約した。
冷静に考えれば、解約金は取られるし、我が家で一番携帯電話を必要としているのは、自由業の私なのだが、面倒臭いという感情だけは、抑えられない。

たかが、携帯電話なのだ。

仕事に支障をきたすかとも思ったが、得意先から「携帯つながりませんが…」と聞かれても、「ああ、ちょっと電話会社とトラブルがありましてね」の言い訳で済んでいる。
今のところ、それで仕事をしくじったということもない。

家にいても、電車に乗っていても、打ち合わせの最中も、「モノクロームの虹」がかからない生活。
これは、意外と快適である。

それに、姉からの速射砲のようなCメール攻撃を受けないという幸福感にも浸れる。

文明を捨てた男、
ひとり気取りながら、私は密かに自分のことをそう呼んでいる。



2006/12/08 AM 11:23:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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