Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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五十女と機関銃
毎月5日締めの仕事が、昨日の夜データを印刷会社のサーバにFTP経由で送って終了した。
この仕事は、例年正月を挟むときは新年は10日前後が締め日となるが、今回は先方が8日まで正月休暇だということで、次号は12月26日が締め日になった。
つまり、もう次の仕事の締切まで3週間しかないということになる。
慌ただしいことである。

年末を実感させられる。

と思っていたら、電話がかかってきた。
ナンバーディスプレイを見ると「新丸子」とあるから、私の実家からである。

嫌な予感。

取るのをためらったが、緊急の用事だと困るので、取った。
そして、突然の泣き声。
普通の泣き声ではない。
号泣? 慟哭? 咆吼? 雄叫び?

どの形容も生ぬるいほどの泣き声である。
ライオンと象が喧嘩して、仲裁にトラが入って、結局三つどもえで喧嘩をしたような。
あるいは、ヤクザの出入りで弾丸が乱れ飛ぶ中、女子高生が入ってきて機関銃を乱射した感じか(?)。

肝が冷えた。
老父母に何か悪いことが起きたのではないか、と思ったのだが、この電話の主はもし私が「泣くのをやめて冷静に」などと言おうものなら、さらに事態は悪くなる。
ライオンと象、トラの喧嘩に恐竜が入ってくるようなもの、あるいは、ヤクザの出入りに参加した女子高生が機関銃を捨ててバズーカ砲をぶっ放したような悲惨な状況になる。

だから、彼女が泣きやむのを待つしかない。
電話を切るという手もあるが、もし父母の身に何かあった場合は、取り返しがつかない。

想像して欲しい。
この世のものとも思えない「騒音」を5分以上も聞かされるという不幸を。
私は何も悪いことはしていないのだ。
もし私が何かしたのなら謝ればいいのだが、それさえもさせてくれない理不尽さ。

そもそも私は、この電話の主「戸籍上、血縁上の繋がりは姉」となっている人に、なるべく関わらないようにしている。
自分から電話をしたことは数えるほどしかない。
話しかけることもしない。
要するに、接点がないのだ。
だから、私が彼女の怒りをかうことは、地球にエイリアンが侵入する確率より遥かに低い。

私も同じように叫んでやろうか、と思ったが、私の中に残されたごく僅かの理性がそれを押しとどめた。
しかし、これほどの騒音となると、必ず受話器から音は漏れる。
私の仕事部屋で期末試験の勉強をしていた高校一年の息子が、その声を聞きつけて「警察呼んだら」という提案をした。
考えようによっては、これは「電話の暴力」ということで立件できるかもしれない。

しかし、いくら何でも実の姉を警察に売るわけにはいかない。
私は息子に向かって、口に人差し指を当てて、「シー」という仕草をした。
息子は、「いつも大変だねえ」という慰めの言葉を残して、仕事部屋を出ていった。

泣き声は止まない。
時折、大声を出し過ぎて「苦しい」という声を漏らすが、またすぐに泣き出す。
午後9時。
夜の動物園なら、夜行性の動物以外はそろそろ眠りにつく頃ではないだろうか。
しかし、この24時間態勢の動物は、決して眠りにつかない。

今度は、娘が仕事部屋に顔を出した。
白い紙に手書きで「ファイト!」と書いてある。
同情しているようである(茶化しているのか)。

その時である。
「ぐぁああああああ!」という声のあと、「いつも上からものを言ってよぉ!」と叫んで電話が切れた。

うーん?
わけがわからない。
私は彼女に何も言っていないのだから、「上からものを言う」ことはありえない。
すると、これは間違い電話か。
他の誰かの家にかけたつもりが、間違って私にかかってしまったのか?
しかし、友だちのいない彼女に、他に電話をかける相手がいるとも思えない。

では、これは一体なんだったんだ!
といっても、誰もこの説明ができるわけがない。
異常現象は、学者の数だけ様々な考え方がある。

だから、災難、のひとことで片づけるのが一番いいかもしれない。

災いはいつも、突然やってくるものだから。

       □・*・■・*・□・*・■・*・□・*・■・*・□・*・■

しかし、腹が立つ。
こういうときは、私の嫌いな「讀賣新聞」の悪口を言ってみよう。

仕事で調べなければいけないことがあったので、昨日図書館に行って新聞を読んだ。
我が家では新聞を取っていないので、新聞を読みたいときは図書館に行く。
今回は、讀賣と朝日、日経新聞の記事をメモった。

メモを終わって、讀賣新聞の一面を見ると、FAで入団した小笠原と監督の写真がデカデカと載っていた。
静かな図書館ではあるが、思わず「ケッ!」と声に出して言ってしまった。
隣に40才前後の女性がいて、私の顔を盗み見ているが、知った顔ではないので気にしない。

他の新聞の一面は、自民党に復党した「11人のこびと」か、宮崎の談合事件が大きな扱いである。
讀賣も一応トップ記事は、宮崎の談合事件だが、小笠原の写真がデーンと真ん中にあるのだから、誰もがこちらをトップ記事だと思うだろう。
この讀賣新聞の体質の意地汚さは救いようがない。

いつだったか、ヤンキースタジアムのフェンスに大きな文字で「讀賣新聞」と描いてあったのを見たことがある。
私はそれを見て、あまりの醜悪さにもう二度とヤンキースタジアムでのBS中継は見ないと心に誓った。
アメリカの球団の本拠地に、日本語で宣伝をデカデカと載せるこの無神経さと想像力の無さは呆れたのを通り越して、情けなくなる。
今、その広告がヤンキースタジアムにあるかどうかはわからない。
まったく見る気が失せたので、確かめようがない。

この新聞社の品のない体質は、もはや如何ともし難い。
小笠原がどれほどの一流選手だったとしても、すべての記事を差し置いてトップ記事扱いする価値はない。
讀賣はスポーツ新聞ではないのだ。曲がりなりにも全国紙である。それなりの節度が必要だろう。
彼らは、あまりにも長いこと傘下の球団に肩入れしすぎて、「私物化」という言葉の意味を忘れてしまったのかもしれない。
勘ぐれば、自民党の応援団である讀賣が、「11人のこびとの復党問題」を誤魔化すために、わざと小笠原を一面に持ってきたと言えなくもない。

腹が立つが、あまりに露骨なので笑いのネタとしては、使える。
もう一度「ケッ!」と言って、新聞を所定の場所に置いた。

隣の女の人が、今度は盗み見るのではなく、露骨に私の顔を凝視している。
彼女に小さく頭を下げて図書館を出てきたが、もう一度「ケッ!」と言うと、警備の人が椅子から立ち上がるのが見えたので、慌てて自転車に飛び乗って逃げた。




2006/12/06 AM 09:47:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | [怖い話]



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