Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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非常識なのは、ドッチ!
一ヶ月ほど前のことだが、十数年ぶりに大学時代の同級生タカハシと遭遇した。
大宮駅内の「エキュート」を歩いていたら、すれ違いざまに声をかけられた。

「M?」
と聞かれたので、「おお」と答えた。
「変わんねえな、すぐわかったぞ」
と言われたので、「誰ですか? あなたは」と聞いた。

「タカハシだよ! 大学で四年間一緒だった」
タカハシなら知っているが、私の記憶では、タカハシは山形県の天童市に逃げ帰ったはずだ。
それが、なぜ大宮にいるのか。
しかも、激しく太っているし、禿げてるし。

「ちょっと、お茶でもどうだ」と言われたが、川越線に乗って、川越に行く用事があった。
川越線は一つ電車を逃すと、20分来ない。
だから、「悪いけど、時間がない」と断った。その当時は、めまいがひどくて、偶然の出会いを喜ぶ余裕もなかった。
とりあえず、名刺交換をした。

「俺、明日山形に帰るんだ。また、出て来た時会おう」とタカハシが言ったので、手だけ振って別れた。

それっきり、タカハシのことは忘れていた。
そして、昨晩の8時半過ぎ、タカハシから電話がかかってきた。

「俺、いま大宮駅にいるんだ。ちょっと出てこないか」

私は、自分のことを常識を知らない人間だと思っている。
だが、いきなり夜の8時半に電話をかけて、「ちょっと出てこないか」などと人に言ったことはない。
まず、相手の都合を考える。あるいは、もっと前に電話をして、相手の予定を聞く。
私のシステムとしては、必ずその手順を踏む。

昨日は、午後熊谷のハウスメーカーに行き、帰りに大宮の印刷会社と近所の印刷会社に寄った。
帰ってすぐ、子どもたちの夕飯を作っているところだったので、疲れてもいる。
メニューは、ざるきしめんとかき揚げ、レンコンと里芋の煮っころがしだ。
かき揚げを作っている最中だから、なおさら電話に神経がいかない。

だから、「今、子どもたちのメシを作っているところだ。あとでかけ直すよ」
と言ったが、タカハシは「へぇ〜、お前が料理なんかするのか。大学時代からは考えられないな」と話を続ける。

「それにさ、お前がデザインをやってるなんて、想像できないよ。法律バカ、陸上バカのお前に、デザインなんてピンと来ないな。弁護士目指して、必死だったお前が、ホントにフリーでやってんの?」

細かいことだが、弁護士を目指していたわけではない。検事だ。

確かに、大学時代の私は、不思議人間に見られていた。
陸上部以外の人間とは、あまり真剣に付き合わなかった。
クラスに4、5人、一緒に酒を飲む仲間はいたが、飲み会に行っても端の方で黙って飲んでいることが多かった。

タカハシもその仲間の一人だったが、それほど打ち解けて話したという記憶がない。
タカハシがいつも女の子にフラレていたことだけは、鮮明に覚えている。
彼は、大学を卒業して大手の呉服メーカーに勤めたが、6年くらい勤めて、故郷の山形に帰った。
その後も年賀状のやり取りなどはしていたが、私が独立して大宮の方に引っ越してからは、まったく交渉はなくなった。

おそらく、お互い全くその存在を忘れていたと思う。
もちろん、懐かしさはあるが、私の子どもは、私の思い出よりも私が作るメシの方が大事なはずだ。

「悪いな、子どもたちが腹を減らしてるんだ。またかけるよ。携帯でいいんだな」
電話を切ろうとしたが、「じゃあ、俺がそちらに行こうか」というので、「そうしてくれ」と言って、詳しい場所を教えた。

しかし、「なんだ、よくわからないな。ここからそんなに遠いのか。無理だな、夜遅いし」とアッサリと言われた。
つまり、夜遅いということは、タカハシも認識しているようだ。

ダイニングの方から、「腹へったぁ〜、限界だぁ!」という声が聞こえた。
とりあえず、子どもたちの夕飯が優先だ。

「悪い、本当にあとで電話するから」
しかし、タカハシは、まだ話を続ける。
「あのさあ、オオバって知ってる? 今日会ったんだけど、お前の噂をしてたよ。俺が、外見は変わらないけど、デザインやってるんだぞって言ったら、びっくりしてたよ」

腹が立ってきた。
そして、静かにこう言った。私は怒ると声が低くなる。

「タカハシ、確かに俺は変わったよ。しかし、俺が昔と一番変わったところを教えてやろうか。昔の俺は怒らなかったが、今の俺は短気なんだよ。昔話はまたの機会にしてくれ! 今は、昔話より子どものメシの方が大事だ。切るぞ!

切ってから後悔したが、子どもたちが満足げに食べている顔を見たら、それもすぐに忘れた。
薄情な男である。

しかし、私は問いたい。
夜の8時半に、突然「出てこい」と電話してくる方が非常識なのか。
それとも、遠くから出てきた友だちを邪険にする私が非常識なのか。

ドッチだ!

おそらく、古い友だちを大事にしない私の方が悪いんだろうな。
とりあえず、今日、謝っておこう。気が重いが……。




2006/11/22 AM 10:25:09 | Comment(2) | TrackBack(0) | [日記]



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