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● マクドナルドの珈琲で口直し |
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PCの調子が悪いから見てくれないか、と電話がかかってきたので、大宮の得意先に行って来た。 得意先のPCは、ウィンドウズ。 私はWINに関してはど素人、と何度も言っているのだが、ひとの話を聞かない人間は世間にたくさんいる。
本来なら断るところだが、思いがけなく丁重な言葉で懇願されたので、つい「はい」と言ってしまった。 言葉というのは、使い方次第で、簡単に人の心を変えることができる。
勉強になった。
ウィンドウズのOSは「WINDOWS 2000pro」ということを聞いて、インストーラディスクを持っていった。 PCの症状だが、WORDのドキュメントを保存すると、一応保存はされるのだが、次に同じものを開こうとすると開けないケースが、かなりの確率であるらしい。
私がWORDのドキュメントを作って保存してみると、確かに開けなかった。 何度かやってみたが、開けないことの方が多かった。 この場合、一番疑われるのは、WORDが壊れている可能性だ。 だから、WORDを再インストールしてみた。
その結果、あっけなく直った。 新規ドキュメントを作って、保存してみたが、今度は普通に開ける。
「なんだい、そんなことかい」 電話とはうって変わった軽い口調で、担当者は大笑い。 こちらは苦笑い。
丁度、昼飯時だったので「Mさん、おごりますよ」と言われて、近所の定食屋に連れて行かれた。 彼は、私が貧乏だということをよく知っている。 貧乏人は、こういうとき得である。 年下の人に奢ってもらうことに、何の抵抗も感じない。 これを図々しいと取るか、恥知らずと取るか、あるいは羨ましいヤツと取るかは、自由だ。
彼は、生姜焼き定食、私はアジフライ定食を頼んだ。 味噌汁つき、ご飯おかわり自由で、650円(税込)。 お茶は、セルフサービスで飲み放題。 贅沢な昼食である。
しかし、感動したのはここまで。
味噌汁をすすって、驚いた。具がない。味がない。 いや、ないわけではない。なめこの残骸(?)が一つだけ浮かんでいた。私はなめこだと言ったが、担当者は違うと言う。 しかし、それは些細なことだ。
私は、プロのテクニックに驚いた。 この汁、色は味噌汁の色をしているが、全部飲んでも、味噌汁を飲んだという実感がないのだ。 となりのテーブルを見て、さらに驚いた。 この味噌汁に塩を振りかけたり、しょう油を垂らす人がいる。 無料の揚げ玉を鷲掴みにして、汁碗にぶち込んでいる人もいる。 私も真似をしようと思ったが、もうすでに飲み干したあとだった。損した気分。
アジフライはどうか。 これもすごい。 油の味しかしないのだ。噛めば噛むほど、油の味しかしない。 脂ののったアジという意味ではない、油にまみれたアジである。 油のあじのするアジ。 シャレにもならない。(苦笑い)
こうなると、ご飯も期待できない。 そして、その予感は見事に適中。 三日間、炊飯ジャーで保温しっぱなしのご飯のような味。 アジフライよりはいいが、おかわりなど、とんでもない、というシロモノだ。
そして、極めつけは、アジフライのそばに小さく盛られたキャベツの千切り。 私は、これほど力なく萎(しお)れたキャベツの千切りを見たことがない。 キャベツが可哀想になった。 キャベツも、まさか自分がこんなに情けない状態で人前に出されることを、予想していなかったに違いない。 色は限りなく白に近い。そして、口に入れた時の、無惨なまでの存在感の無さ。 哀れである。気持ちが萎(しぼ)む。キャベツを食べて、気持ちが萎んだのは初めてだ。
担当者と顔を見合わせて、笑うしかない。 そして、彼は、納得するように大きく頷きながら、こう言った。
「いやー、この店、会社の近くにあるのに、うちの社員は誰も行こうとしないんですよ。話題にするのも避けてるみたいで…。その理由が今わかりました。はっきり、わかりました。すごいわ、これ!」
ははは………。
奢っていただいたこともあり、私はすべて平らげたが、彼の生姜焼きは半分以上残り、ご飯も半分以上残っていた。
「コンビニで、おにぎりでも買っていきますよ」 彼はレジのおばちゃんの前で、これ見よがしに大声で言いながら支払いをしていたが、おばちゃんは一枚上をいく。
「そうそう、若い子はこれだけじゃ足りないもんね」
ハハハ………。
礼を言って、彼とは定食屋の前で別れた。
電車に乗ってさっさと帰ろう、と思いながら歩いていると、マクドナルドの看板が見えた。 財布には、5百円近い小銭がある。 100円珈琲を飲むという贅沢をしても、許されるはずだ。
小雨が降ってきた関係で、店内は混んでいたが、独り座るスペースはある。 マクドナルドの珈琲は、年に数回しか飲まない。 特別、美味いと思ったことはない。 不味くはないが、無難な味という印象が強い。
しかし、今日は違った。 マクドナルドの珈琲って、こんなに美味しかったっけ? 琥珀色の液体が、体中に染み込みわたるのが実感できるような、濃厚さを感じた。
私の中で、マクドナルドの珈琲のランクが、3ランク上がった日だった。
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2006/09/27 AM 11:56:05 |
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