Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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去り逝く人、そしてフォトショップに熱中する娘
20年来、お付き合いしていただいたニシグチさんが亡くなった。
54歳だった。
アナログの時代から30数年、デザイナーとして活躍されたプロフェッショナルだ。

肺ガン。
今年の4月に癌が見つかり、手術をした。
詳しい経過はわからないが、術後退院して、仕事もこなしていた。
退院してから5回会った。
もともと痩せていた人だったが、術後はさらに痩せて、体重は50キロを切っていたという。
ただ、仕事はずっと続けていた。

その後、7月中旬に再入院して、十日ほどで退院。
おそらくこの時、死期を悟られたのかもしれない。
8月はじめに、家族でグアム島に旅行に行った。
そして、17日に会ったときは、陽に灼けた顔でグアム旅行の土産話をしてくれた。

それから、5日後に亡くなった。
あっけないほどの最期だった。
まったく予想していなかった。
信じられない。

「Mさん、パソコンは難しいよね。操作を覚えるのは簡単だけどさ、パソコンで個性を出すのは、才能以外の要素がいるね。
俺は、結局パソコンを使いこなせなかったのかもしれないな。
俺は15年前、アナログ人間のまま終わった方が良かったのかもしれない。
15年間、何も作れなかった。この15年間で作ったものは、作品じゃない。仕事でもない。ただの作業だ。
偉そうに君にアドバイスなんかして、恥ずかしいよ」


別れ際、ニシグチさんはそう言っていた。
その、はにかむような笑顔は、死に逝く人のものではなかっただけに、受けた衝撃は大きい。

独学、自己流で押し通してきた私にとって、ニシグチさんは唯一「師」と呼べる人だった。

最期の言葉は、私への遺言として心に刻みつけます。
ご冥福をお祈りする。


   ・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

湿っぽい話で締めるのは柄じゃないので、小学5年の娘が最近Photoshopに凝っている、という話を。

8月の初めから夏風邪をこじらせて、インドア生活を余儀なくされた娘は、一日の3分の1をパソコンの前で過ごしている。

最初のうちは、インターネットで興味ある出来事を検索していたが、それだけでは物足りなくなったのか、私にこう聞いてきた。

「イラストレーターとフォトショップはどっちが簡単だ」

小学5年生でイラストレーターかフォトショップ?
以前、フォトショップを少し教えたことがあるが、ペンツールで壁にぶち当たって、途中でやめたことがある。
だから、こう答えた。

「どちらも難しい。ベジェ曲線を理解しなければ、思い通りに動かすことはできないであろう」

この親父、何を偉そうにぬかしやがるというような顔をして、娘はこう返した。
「時間はいくらでもあるからさ、そのベジェ、覚えてやるよ。だから、教えろ」

娘に弱いバカ親父は、すぐに頷く。
そこで、一日中娘は、私の横で私がイラストレータとフォトショップを動かすのを、かぶりつきで見ることになった。時々、自分で動かしてもみる。

私の仕事の経過を見ても何が何だかわからないだろうから、娘のリクエストに応じて、絵を描くことにした。

何を書いて欲しい?

娘は「月刊りぼん」を持ってきて、「こいつを描け」と言った。

KAT-TUNの「亀梨和也」である。
あれ? 今は「山下智久」の方がいいって、言ってなかったっけ?

「この本、亀梨しか載ってないんだよ。つべこべ言うな」

ということで、亀梨のグラビアをスキャンしてトレースすることにした。
スキャンの仕方から教えて、画像を「トーンカーブ」で補正して下絵にするところから始めて、イラストレータのペンツールでベジェ曲線を使ってトレースするという作業。

アンカーポイントで角度が変わるところは、特に念入りに教えた。
最初は、「アレアレ」状態だったが、2時間ぐらいでコツを掴んだ。
たまに捻れたような線になるが、何度も「アンドゥ」で直している。
意外と根気があるようだ。

恐るべし! 小学5年生。

ベジェがある程度できれば「グラデーションメッシュ」など、大したことはない。
1時間もかからずに覚えてしまった。
昼食を作るのは面倒なので、湖池屋のポテトチップス・コンソメ味をつまみながら、講習会を続けた。

顔や洋服はイラストレータでトレースし、髪はフォトショップの方が描きやすいので、フォトショップを使った。
「ブラシツール」と「グラデーションツール」を使って描き上げていく。

髪の毛だけで「レイヤー」を8層使った。
「レイヤー」の透明度で、効果がまったく違うのを知った娘は、1%単位で透明度を調節していた。

夕方5時過ぎに出来上がったのが、冒頭の作品である。
娘との初の「共同作業」。

「70点だな」
私が言うと、「えー、百点だろ! そっくりだよ。これ以上は無理だ」と抗議する。

「そっくりじゃ駄目なんだ。そっくりなら、何も絵に描くことはない。写真でいいんだ。写真でできないことを表現するのが、絵なんだから、写真にないものを伝えないと意味がない」

そうすると、鼻の穴をふくらましながら、娘はこう吼えた。
「おー、えらそうに! よし、じゃあ、すごいやつを描いてやるぞ」

ということで、残り少ない夏休みを使って、娘はフォトショップで「オリジナルキャラ」を作ることに没頭している。

私を超える日は、案外近いかもしれない。


2006/08/25 AM 11:30:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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