Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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巨人が負けたせいで…
友だちのウェブデザイナー・タカダ君は子どもの頃からの巨人ファン。
春先は機嫌が良かった。独走態勢。優勝間違いなし。
だから、賭をした。

今調子がいいからと言って、優勝できるとは限らないぜ。

「何を言ってるんですか。ブッチギリですよ。この調子だと、夏ごろ優勝が決まるんじゃないですか」

いや、これから急降下して、最下位ということも有り得るぞ。

すると、タカダ君は、鼻で笑ってこう言う。
「もし、最下位になったら、好きなものをご馳走しますよ。終了までじゃなくて、シーズン途中で、もし最下位になった場合も奢りますよ」

彼の自信は見事に砕け散り、先日、一日だけだが、巨人は最下位に落ちたらしい。

「Mさん、約束通り、奢りますよ」
最下位になった翌日、力のない声で、タカダ君が電話をかけてきた。
律儀な男だ。

「何でも好きなものを言ってください。覚悟してますから」

君の事務所のそばに「大戸屋があったよね。そこで、ランチをご馳走になろうか。

「えっ、あんなに安いところでいいんですか。もっと、いいところにしましょうよ。どうせなら、ホテルのランチとか、ディナーとか」

ホテルのランチなんか食って、腹をこわしたら、誰が責任を取ってくれる? それに、大戸屋の定食は美味しいぞ。

ということで、「大戸屋」で、昼飯を食べることになった。
時間をずらしたので、店はすいていた。
生ビールを飲むか飲まないかで揉めたが、頑固に拒否するのも悪いので、飲むことにした。

彼は「天然えびのカツと豆腐コロッケ定食」を頼み、私は「炭火焼きさば定食」を頼んだ。
生ビールを加えても、トータルで二千円を少し超えるくらい。賭に負けた代償としては、丁度いい。

生ビールを一口飲んで、タカダ君は、演説をはじめた。

「Mさんは、水くさいですよ。長いこと付き合ってるのに、本心を見せてくれない。いつも、距離を置いて話をしている」

巨人に対する愚痴ではなく、私に対して攻撃を仕掛けてきたのである。
青々とした髭のそり跡が、気持ち悪いほど、濃い。ブサイクだ。
背も低い。それなのに、私より20キロ以上体重が多い。ブサイクだ。
そして、一番恥知らずなのが、私がウェブの基礎を教えたのに、今は彼の方が私より三倍以上稼いでいるということだ。

タカダ君。言わせてもらうが、俺ほど正直者はいない。君のウェブの才能を、二ヶ月目に認めたのは俺だ。二ヶ月目で、俺は素直に君に負けを認めた。お前にはかなわない、ってはっきり言ったはずだ。俺は正直なんだよ。何も隠し事はしていない。

タカダ君は、ウェブデザイナーとしての感性が、初めから鋭かった。
独自性を持っていた。
そして、馬力もすごい。あっと言う間に、難しいHPを仕上げてしまう能力は、奇跡さえ感じさせる。
すでに200件以上のHPを手がけているが、ハズレは一つもない。
彼は天才である。
尊敬もしている。
だから、彼の言う「本心を見せてくれない」という意味がわからない。

「Mさん、この間、見るからに辛そうな顔をしていたのに、俺を頼ってくれないじゃないですか。師匠の役に立ちたいのに、俺はいつも置いてきぼりですよ」

以前、彼と会ったとき、私の体調は最悪だった。
全身に血が通っていない感じで、電車の中で悪寒を感じて立ち上がれないこともあった。
右目の調子も悪かった。
かろうじて立っている、という状態だった。
彼は、その時のことを言っているのだろう。

君に頼りたくても、君は売れっ子デザイナーだ。そんな時間はないだろう。迷惑はかけたくない。

「それですよ、それ! それが水くさいって言うんです。時間なんて何とでもなりますよ。俺は自分の仕事を外注に出してでも、師匠の役に立ちたい。そう言う俺の気持ちが、師匠にはわかっていない」

こいつ、明らかに酔っぱらってるな。
真っ昼間に、そんな話をされたら、照れるだろうが。

俺は、君ほど売れっ子じゃないからね。残念ながら回す仕事もないんだよ。師匠に恥をかかせるなよ。

「いつも、これだ! まったく可愛くないんだから! アンタは格好つけすぎだよ。自分が損をしてるのがわからないのか!」

タカダ君、今日は本気モードだ。
いつもの「エヘヘ笑い」がない。
丁度「炭火焼きさば定食」が運ばれてきたところだが、タカダ君の熱気に、思わず店員と顔を見合わせてしまった。

照れ笑い。
店員も笑っている。
タレントの清水ミチコに似た顔だった。

あの…、まあ…、これから気をつけるからさ、昼食は美味しく食べようよ。

「誤魔化さないでくださいよ。俺は我慢強いから『痛い』とか『つらい』とか言わない、何てのは、友だちに対して失礼ですよ。人が奢ると言ったら、素直に受ける。悲しいときは、愚痴る。それが本当の友達です。わかりましたか!」

はい! わかりました

巨人が負けると、とばっちりが私に来る。


2006/08/08 PM 09:14:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | [Macなできごと]



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