Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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パラレルワールド
以前、このブログで「不思議体験」のことを書いたことがある。(6月1日と2日のブログ)
今考えても説明できない4つの出来事、と書いたのだが、その後4人の方から、ほとんど同じ内容のメールを頂いた。

それは、
あなたは、パラレルワールドを経験した
というものだった。

SFの世界で言う「平行社会」である。
私が、別の歴史を持った世界へ、一時的にトリップしたのではないか、というのだ。

確かに、私たちが暮らす世界とは異なる世界が、存在することはあるかもしれない。
「神隠し」などを、そのように説明している人もいるようだ。
だが、一旦別世界を経験したものが、そう簡単に元の世界に戻ってこられるものだろうか。

私自身は何もしていないのだ。
普通に生活しているだけなのに、何の意識もなく、行ったり戻ったりできるというのは、全然ドラマティックじゃない。

違う世界にいくのだから、稲妻が世界を切り裂いたり、信じられないほどの突風が吹いたりする、というような演出が欲しい。バック・トゥ・ザ・フューチャーか?)

私自身に実感がないのだから、「パラレルワールドを経験した」と言われても信じられない。

話は変わって。

大学3年の時、友だちにトリックを仕掛けたことがある。
彼は小松左京星新一筒井康隆などのSFものが好きで、いつもSFに関して熱っぽく語っていた。

私にパラレルワールドを教えてくれたのも、彼である。
こういう偏った分野に深い知識を持っている男というのは、騙(だま)しやすい。
こういう男を見ると、私はイタズラ心が湧いてくるのを抑えられない。

この時の小道具は、双子(ふたご)。
アルバイト先で、顔はもちろん、背丈も声もそっくりな双子と知り合った関係で浮かんだトリックだった。
この双子、違うのは、坊主頭のてっぺん、やや左寄りにある傷跡くらいなものだろう。
漫画のように、よく似た双子だった。

仕掛け場所は、大学の学食だ。
SFマニアの友人と昼食を摂るというシチュエーション。
私も彼も「かき揚げ丼」を食べた。
その他友人4人も「かき揚げ丼」を我々の周りで食べている。(かき揚げ丼に意味はない。ただ単に安かったから選んだだけだ)
この4人は、彼の注意を逸らす役目を持っていた。

彼の左隣の席と私の右隣の席は、わざと空けておいた。
そこへ双子の片割れ(双子A)が座り、「カレーライス」を食べ始める。
椅子はやや後方に引き、浅く座ってもらった。(双子は、我々とは違う大学だったが、わざわざこの仕掛けのために来てもらった。『うちの大学は可愛い子が沢山いるよ』と言ったら、快諾してくれた)

双子Aがカレーライスを一口食べて、むせる。咳き込む。それによって、彼に双子Aの存在を印象づける狙いだ。
案の定、友人は双子Aの顔をマジマジと見ていた。

次に双子Aは、凄い勢いでカレーライスを平らげた。
あまりに凄い勢いなので、友人は驚いてずっとその様を見ていた。
友人は気付かないが、後ろで双子Bがカレーライスを持って、スタンバイしていた。

そこで、友人4人が彼の気を惹こうと違う方向へ注意を逸らす。
その間に、双子が入れ替わる。
双子Bは、カレーライスを一口食べて、大きく咳き込んだ。

それを彼がまた見る。
今、平らげたはずのカレーライスがまだ山盛り残っているのを見て驚き、私の反応を見るように、こちらに視線を向けた。

私は何ごともなかったように「どうした?」と言って、かき揚げ丼を食べている。
「いや」
彼は、一度首を傾げただけで、自分の丼を掻き込み始めた。

そして、双子Bが、凄い勢いで、カレーライスを平らげる。
友人はその光景を、固まった状態で見ていた。
その時、双子Aがカレーライスを持って、後ろでスタンバイ。

双子Bは私の友人の方を向いて、「すみません。飲み物を買ってくるので、この席とっておいてもらえますか」と言った。
友人は、間抜けな固まった顔で、「はい」と頷く。

そこでまた他の連中が、彼の注意を5秒間くらい逸らし、その間に双子Aが隣に座って、カレーライスを食べ始めた。

彼は気配を感じて横を向き、「あっ、そこは先客が…」と言ったが、双子Aの顔を見て、思わず「ぐぇっ!」
双子Aは、また同じように、カレーライスをガツガツと食べ始める。

すがるように、私の顔を見るが、私は「どうした?」と言って、かき揚げ丼を食い終わり、味噌汁をすすった。(笑いをこらえるのに大変苦労した)

そこへ、飲み物を持った双子Bが来て、私の右隣の席に座る。

双子Bを見て、また彼の口から、「ぐぇっ!」
彼は、まばたきもせず、30秒くらい固まっていた。
そして、双子AとBを交互に見て、顔を机に伏せる。

「やられた〜! クッソー!」
机を叩いて悔しがっていた。

私と他の4人は、拍手とバンザイを繰り返した。
まわりの学生たちは、「?」顔の人や、眉をひそめる人もいたが、若い頃はそんなことは全然お構いなし。(今考えると、馬鹿丸出しですが…)

空気が落ち着いたあとで、「パラレルワールドを経験した感想はどうだね?」
私が得意気にそう言うと、彼は悔しそうに、ひとこと。

「このヒマ人が!」

これは全く単純なトリックなので、パラレルワールドでも何でもないが、ジョークということで、笑って済ませられる(と思う)。

ただ、「パラレルワールドですよ」と言いながら、ほとんど検証のない意見を言われた場合は、「それは、ちょっと」と思わざるを得ない。

だから、メールをくれた人には申し訳ないが、「私の不思議体験が、パラレルワールドだった」というご意見は、まったく信じられない。



2006/06/29 AM 07:10:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | [怖い話]



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