Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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一瞬のためらいが…
仕事の帰りに、ジャンクショップを除いてみた。
別に何を買うという当てもなく、ただ寄っただけだった。

ジャンクショップはその名の通り、「がらくた」しか扱っていないが、たまに掘り出し物がある。そこが楽しい。
2時間くらい見ていても飽きない。時間がたつのを忘れる。

G4 Macの筐体だけとか、表示はできるが液晶の枠の上の部分だけ割れているモニタとか、プリントはできるがスキャンはできないオールインワンのプリンタなどが、驚くほど安い値段で売られている。

中には、どこから見ても新品と思えるようなパソコンディスクが「515円」の値札がついていたりする。
説明書きをよく見てみると、「裏板に焦げあと有り」とある。
そこで、裏を覗いてみると、確かに激しく焦げたあとがある。何カ所か黒くなっている。
しかし、見た目は「新品」。細かいことを気にしない人は、これで充分ではないだろうか。

他には、誰が改造したのか、スケルトンのノートパソコンがあった。
「完動品」と書いてあるから、使えるようだ。
ただ、ペンティアム2の200MHzだから、恐ろしく遅い。
しかし、インテリアとしては面白いかもしれない。
これが「3150円」。これを高いと感じるか、安いと感じるかは、PCをどう定義づけているかで違ってくるだろう。
私は、安いと思うが、PCを実用本位で使っている人は、高く感じるかもしれない。

そして、このノートパソコンの隣に何気なく置いてあったのが、「G4 Mac CUBE」。
今は生産していないので、中古しか手に入らないが、現在も根強い人気を誇る機種である。

以前から欲しいと思っていたが、中古でも結構値が張るので、「我慢我慢」と諦めていた。
それが「1万5千円」の値札をつけて、目の前にある。

ただし、小さく「メモリなし、ハードディスクなし、動作未確認」と書いてある。
頭の中で素早く計算してみた。
CUBEの中古は完動品なら5〜6万はする。
メモリは今512MBが8千円、ハードディスクは120GBで9千円くらい。
本体と合わせて、「3万2千円」。

これはかなり得かもしれない。

今財布には昼飯代の450円しか入っていないが、キャッシュカードは持っている。

カードには5万円がいつも入っているが、4年間以上使ったことがない。
これは緊急事態に備えて持っている「保険」のようなお金だ。
以前、得意先からの帰りに、バイクが壊れたことがある。
電車で帰ろうとしたが、小銭しかなかったので、このカードを使おうとした。
その時、運良く知り合いが車で通りかかって、家まで送ってくれたため、使わずに済んだ。

とうとう、これを使うときが来たか。

しかし、ジャンク品だから、もし動かなかったらどうしよう。
直す自信はあるが、面倒臭い気もする。
店内を周りながら、ゆっくり考えるとするか。


この一瞬の逡巡がいけなかった。

iPodコーナーを見ているときに、「すみません、これ欲しいんだけどォ」という大声が聞こえた。
振り返ると、スーツ姿の男が、CUBEを指さしていた。

俺のCUBEが!
と思ったが、世は無情である。
呼ばれた店員は、嬉々としてCUBEをレジに運んでいった。
陳列棚のその部分だけが、ぽっかりと空いていて、寒々しい。

スーツ姿の男の「いや、やっぱり止めとこう」
という言葉を期待したが、そんな都合のいい展開になることはなく、彼は財布から一万円札を二枚出してカウンターに置いた。

これ以上見ているとつらくなるので、「さよなら、CUBE」とつぶやいて、その店を後にした。

たった1分間のためらい。
その場で決断していたら、あのCUBEは今頃私のものだった。
しかし、人生とは、こんなもの。

帰りに駅の立ち食いそば屋で、かき揚げそばに竹輪の天ぷらをトッピングして食べた。
浅ましいが、お腹が一杯になると、私は急に楽天的になる。

あのCUBE、メモリやハードディスクを付けても、起動しないかもしれない。
買わなくて良かったな。
きっと、あれは「がらくた」だよ。
あー、買わなくてよかった。


まったく、ノーテンキな男である。



2006/06/22 PM 01:15:34 | Comment(0) | [Macなできごと]



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