Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
[TOP] [RSS] [すくすくBLOG]








アンビリバボーじゃない偶然
前回、アンビリバボーな不思議体験を書いたら、それを読んだ友人から電話があり、「ひとつ忘れてないか?」と言われた。

いや、あれで全部のはずだが…。

「そんなことないだろ? あれだよ、俺とおまえとの出会いとか、その他諸々のやつだよ、忘れたのかよ」

ああ、そうだな、確かに色々と面白いことはあったが、あれはただの偶然だ。
アンビリバボーじゃない。

「いや、一応書いてくれよ。滅多にないことだからさ。ウケルと思うよ」

別にウケようと思って書いているわけじゃない。
ボケ防止に書いているだけだ。

「だから、ボケ防止のついでに書いてくれよ」

と泣きながら頭を下げるので、書くことにした。

彼、ノナカとは、大学1年の時、同じクラスになって、親友になった。
彼との最初の出会いは、まったくおバカを絵に描いたようなものだった。

私は大学で、第2外国語として「フランス語」を選択していた。
初めてのフランス語の授業を受けるため、講義室に入って待っていると、ヒョロッとしたヘチマ顔の男が隣の席に座った。

横目で見てみると、彼は隣で「フランス語」の教科書を広げて、左脇に辞書を置いていた。
その時、私も同じように教科書の左脇に辞書を置いていたから、「ああ、同じか」と単純な感想を持った。

そして、このヘチマ顔が同じクラスなら、俺が一番先にあだ名を付けてやろう、と思った。
ヘチマ。これで決まりだ、と思って心の中でニヤついているとき、講師が入ってきた。

講師は、黒板にいきなり字を書き始めた。
漢詩らしい、というのはわかった。
そして、講師は、それを本格的な中国語で読み始めた。

この人、中国人か。中国人が「フランス語」を教えるのか。
そう思っていると、講師が思いがけないことを言った。

「中国語は、日本人にとって大変なじみ深いものです。そして、漢字のルーツですから、習得することは決して難しくありません。この一年間、楽しみながら一緒に学びましょう」

中国語!
隣のヘチマと同じタイミングで顔を見合わせた。
真正面で見ると、さらにヘチマに似ている(?)。

「ここ、何号室?」
「842号室だよね」
「そうだよな、間違いないよな」

その会話を聞いていた後ろの女の子が、小さい声で「852」。

階を間違えたのだ。
私とヘチマは、慌てて教室を飛び出した。
教室の表示板を見ると、確かに「852」となっていた。

二人揃って、教室を間違えるなんて、なんておバカなふたり。
これが二人の出会いだった。

ヘチマ、いや、ノナカと私は、性格はあまり似ていない。
彼は、薄っぺらい顔から受ける印象と違って、皮肉屋で、言葉に鋭いトゲを持っていた。
バカな人間が我慢できないタイプだ。おそらく、頭が良すぎるせいだろう。(これって、褒めたことになるのかな、ノナカくん?)

評論家になったら、さぞ舌鋒鋭く攻撃するタイプになったに違いない。
彼は今は、故郷で塾を経営し、街の名士になっている。(褒めといたよ)

しかし、性格は違っても、どこかで繋がっているのではないかと思うほど、彼と私は波長が合う。

大学2年の春、友人3人と京都に旅行したときのことだ。
西本願寺の境内を歩いていると、庭園の池のそばに見覚えのある顔を見つけた。
間抜けなヘチマ顔で、口笛を吹いている男。
ノナカである。

お互い、春に京都を旅するなど、言っていなかったが、偶然にも出くわしてしまったのだ。

さらに、その夏、陸上部の合宿が終わって、友人3人と合宿の疲れを落とそうと「妻籠・馬込宿」に寄った。
そこの「梅の家」という民宿に泊まったのだが、食堂で夕食をとろうとしたとき、入口寄りのテーブルにヘチマがいたのだ。

このときも、お互い「妻籠・馬込宿」に行くとは、ひとことも言っていなかった。

まだまだ偶然がある。
これも大学時代だが、銀座の「ニュートーキョー」で皿洗いのバイトを募集していたとき、面接会場にヘチマ顔があった。
社会人になってから、お互い勤めている会社は全く違う場所なのに、昼間、銀座の旭屋書店の同じコーナーで出くわしたこともある。

そして、極めつけは、これだろう。
25、6歳の頃、私とノナカは、たまに駒沢公園でジョギングをしていた。
駒沢公園のジョギングコースを5周走ったあとで、いつもクーリングダウン(心拍数を緩やかに落とす)のため、サイクリングをした。

駒沢公園のサイクリングロードを、自由自在にペースを変えながら漕いでいたときのことだ。
6周目だったと思う。
坂道のちょっとした勾配。全く同時に、二人の漕ぐ自転車のチェーンが切れたのだ。

「うわぉっと!」
掛け声まで一緒だった。

これは、偶然としてはかなり高度な偶然だろう。
自転車を買った時期が違って、メーカーも違うのに、全く同じ時間にチェーンが切れるなんて、かなりレアな偶然に違いない。

この冬は、お互いの息子が全く同じ時期にインフルエンザに罹ったりもした。

この分でいくと、もしかして、死ぬときも同じ時間かもしれない。

だから、ノナカくんにお願いする。
私を道連れにしないでください。

君の地獄行きに付き合ってはいられない。


2006/06/03 PM 06:23:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | [怖い話]



(C)2004 copyright suk2.tok2.com. All rights reserved.