Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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エイリアンとの闘い
病院というのは、エイリアンの巣窟だ。
あるいは、病院経営というのが、エイリアンの温床なのか。

私の母は病気のデパートのような人だ。
若い頃、肺結核に罹り胃潰瘍にもなり、60代後半に肺結核が再発。その後肺結核の薬の副作用で「再生不良性貧血」に罹った。

この「再生不良性貧血」というのは、難病(特定疾患)指定をされている病気で、「原因不明、治療方法未確立であり、かつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病(しっぺい)」として、国が指定している病気の一つだ。

つまり、「不治の病」という範疇に入る病気です。

原因が不明だから、治療方法も手探り。輸血だけが頼りの、大変心許ない病気です。
しかし、難病だからといって、私は大切な母親の命が縮まるのを黙ってみているほど、薄情な息子ではない。

元来医者というものを信じない私は、独自の民間療法を研究しました。
色々と試して、最後に到達したのが、「菜食主義(ベジタリアン)」でした。
肉類(動物性タンパク質)を一切排除して、野菜(それも根菜)中心のレシピを考え、それを徹底しました。

それは功を奏して、4年の年月を要しましたが、人並みの血液を再生できるようになりました。
輸血を必要としなくなり、普通の生活を取り戻した母は、その後も菜食主義を貫いて、人並みの生活を取り戻した。

しかし、めでたしめでたし、と思ったあとに待っていたのは、「真菌症」という聞き慣れない病気。
これは「再生不良性貧血」と同じように、薬の副作用で起きる病気らしく、身体の弱い部分にカビが生えるというものです。

母の場合は、鼻に真菌(カビ)が生え、大量の鼻血が出るようになりました。
これを根治させるには手術しかないので、高齢を押して、渋谷の「日赤病院」で手術をしてもらいました。
手術によって、一応鼻血は止まったが、手術の影響で右目の視力が極端に落ちた。

しかし、医者というのは不思議な生き物だ。
明らかに、手術前と比べると視力は落ちているのに、「目に影響が出ることは有り得ない」の一点張りで、視力が落ちたことを認めようとしない。

階段を下りるとき、手術前は何の苦労もなかったのに、手術後は下が見えにくいから何倍もの時間がかかる。
階段が怖くて仕方がない。
そう訴えても、医者は「目は普通ですよ」というばかり。

エイリアンは、現実を認めようとしない。

そして、つい最近、また鼻血が大量に出た。
そこで、川崎の「聖マリアンナ医大」に入院して治療してもらった。
鼻血は一過性のもの(病院側の見解)で、出血箇所にバルーンを詰めてもらい、止血した。
他にも病因があるかもしれないので、CTなどを撮ってもらい、検査入院すること10日。
検査の結果、病院側は「一過性」と判断して、血が止まったこともあり、そのまま退院。

しかし、退院後も鼻血は頻繁に出る。少しの時もあれば、大量の時もある。
鼻血では驚かなくなったが、その後、口から喀血するようになった。

あまりに大量に喀血したので、深夜、救急車を呼んで、近くの「日医大武蔵小杉病院」に運んでもらった。
そこで、止血剤を点滴してもらうと、喀血が止まったので、「帰っていいですよ」という医師の言葉。

「え?!」
こんなに大量に血を吐いたのに、帰っていいの?

疑問に思って「入院させて精密検査をしてください」と談判したが、「血は止まってますから」と頑固に拒否され、入院の許可はもらえませんでした。

その後も、ほとんど毎日喀血し、救急車を呼んで「日医大」通い。
その都度血が止まるので、「入院しなくても大丈夫ですよ」とエイリアンは繰り返す。
毎日救急車で運ばれて、止血剤を点滴し、「止まったから」といって、ろくな検査もしない病院というのは、一体何?

この時、もっとこの病院のことを疑ってかかれば良かった。そうすれば、エイリアンとの無駄な接触は防げたはず。

身内としては大量の喀血は心配です。だから、強引に詰め寄って、やっと入院の許可を得た。
個室に入って、諸々の検査をした。
止血剤を点滴しているときは、喀血はないが、点滴を止めると4日目に喀血。
そろそろ、有効な治療を施して欲しい、というのは患者側としては当たり前のことでしょう。
病院側に見解を聞いてみました。

「検査の結果はどうですか。病名は何ですか?」
これは、患者として当然の問いかけでしょう。2週間検査入院したのだから、病名も把握しているはず。

しかし、エイリアンはこう答えます。
「以前肺結核に罹った患部が、カサブタのようになって、それが咳によってはがれたようになり、喀血するようです」
「そうですか。それは正式な病名は何というのですか。また、どうすれば直りますか」
「病名はわかりません。手術をするか、カテーテルによる局所治療になりますが、根治するかどうかは何とも言えません。何分高齢ということもあり、手術は可哀想なので、薦められません」
「しかし、手術しないと、これからも喀血を繰り返しますよね?」
「そうですね。血が出るのはしょうがないです。女性は血に強いですから。血が出たら、その時はその時ですね」

血を吐くたびに、救急車を呼んで、止血剤を点滴しろ、とエイリアンは言う。

こんな医者を信じる患者が、世の中にいるのだろうか。

喀血するのは当たり前、女は血には強いから、我慢しろ。血が出たら、救急車で来い。点滴すれば止まるのだから。

エイリアンは、これが治療だと思っているらしい。

そこで、普通の地球人は、当然の要求をする。
「他の医者に診てもらいたい」

エイリアンは、意外にも快く承諾し、紹介状を書いてくれた。
資料も貸してくれて、かすかな望みを胸に抱いて、母は川崎の「市立井田病院」の呼吸器科に行った。

「市立井田病院」は、「日医大」と比べると患者は10分の1程度か。待合室は閑散として、寂しさ漂う風情だった。
しかし、検査はそれなりに時間がかかって、ほぼ3時間。

その後、我々は今までとは全く違う種類のエイリアンに出会うことになる。

担当の医者は、母に向かってこう言ったのだ。
「おたくは、何をしてもらいにここに来たのですか?」

「日医大」の紹介状には、一体何て書いてあった!
我々は病院に来たんだ。
遊びに来たんじゃない。
治療をしてもらいに来たに決まっているだろう!


「日医大」の結果に納得できなかったから、「市立井田病院」に来たんだ!
おまえ、本当に医者か!

「俺は無能だ」と言っているようなものじゃないか!

「当病院では、手術もできないし、治療もできない。あなたの病気を判断することもできない」

新たなエイリアンは、そう言って病名を告げることもできなかった。

仕方なく我々はまた、資料を返しに「日医大」に戻った。

しかし、エイリアンはさらに増殖していた。

姿を変えたエイリアンはこう言ったのだ。
「あなたの病気は、手術をしなければ根治しないと思います。そこで、個室に入院してもらって、もう一度検査してみたいのですが、いかがでしょうか」

また、個室か…。
前回は個室に入院して、41万円の入院費がかかった。

どうやら我々は、エイリアンにとって、個室を埋めるための「お客さん(カモ)」に成り下がったようだ。
個室に入院して、今度は手術。
病院側は、さぞ儲かるでしょうね。

正確な病名も告げず、何が手術か!

普通の地球人は、当然憤ります。

そこで、私は他の病院を探しました。
東京の清瀬にある「国立東京病院」です。
先週の金曜日(4月28日)に母親を連れて行きました。

そして、胸のレントゲンを撮ったあと、医者は断言しました。
「肺にカビが生えていますね。これは肺真菌症の可能性が非常に高い。入院して検査しましょう。カビをつぶす治療が必要になると思います」

ここで初めて、医者の口から病名を聞かされた。
「広尾日赤病院」も「聖マリアンナ医大」も「日医大武蔵小杉病院」も「市立井田病院」も、胸のカビのことはひとことも言わなかった。
何度もレントゲンを撮ったのに、何で?
お前ら、レントゲンの見方も知らないのか!

この「国立東京病院」が信じられる病院かどうかはまだわかりません。
エイリアンかもしれません。

しかし、はっきりした病名を言われたことで、少しでも前進したのではないかと、私は希望を持っています。
「肺真菌症」というのは、楽観できる病名ではないようですが、知らないよりはずっといい。

まだまだエイリアンとの闘いは続くかもしれません。
しかし、ここで地球人は負けるわけにはいかない。
80過ぎた母親を、病気のデパートから脱出させるために、地球人はこれからも戦い続けるつもりです。



2006/05/02 PM 03:31:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]



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