Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
[TOP] [RSS] [すくすくBLOG]








ウェットなオリンピック
今ひとつ盛り上がらないトリノオリンピック。

我がヨメは、普段スポーツにはまったく見向きもしないのに、オリンピックとサッカーのワールドカップだけは欠かさずご視聴。
要するにお祭り好きということですね。

それに対して生来のひねくれ者の私は、冬のオリンピックはごく一部の競技しか見ない。

中・高・大学と陸上競技をやっていた関係で、夏のオリンピックの陸上競技は真剣に見ます。
しかし、団体競技に馴染まないひねくれ者にとって、その他の競技は興味の対象になりません。

私は短距離と走り幅跳びが専門でしたが、この競技のいいところは全てが自分の責任というところ。
成績が悪くても、その責任の全ては自分にある。

それに比べて団体競技は、ひとの調子が大きく作用する。
ひとの調子にまで責任を持つのは嫌だ!
そう言うわがままなやつにとって、陸上競技の短距離などは最適です。
自分の調子と向き合うだけでいいのですから、責任の所在がわかりやすい。

また、陸上競技のいいところは、白黒がはっきりしているところ。

採点競技のような曖昧さがない。

体操やシンクロ、フィギュアスケートなどの採点競技は、先入観や各国の政治的な力関係など曖昧さが入り込む余地があって、私にはスポーツとは呼べないグレーな部分が感じられる。
スキーのジャンプやスノーボードHP、モーグルなどもそう。

これらは採点結果に説得力がない。
パフォーマンスをする前から、ある程度採点が決まっているような気がする。
だから、どんなにまことしやかな理屈をつけても、万人を納得させるほどの明快さが感じられない。

ということなので、採点競技が多い冬季オリンピックは、スピードスケートやアルペンなど限られたものしか見ない。

また、マスコミの報道の仕方にも納得がいかないものがある。
冬季オリンピックなどに限らずあらゆるスポーツに言えるのですが、「涙」を強調しすぎる。画面に「涙」が多すぎる。

肉親や親類、同僚、地元の人間を担ぎ出しての、くどいまでの「涙」の演出。

そんなに泣きたいのだろうか?!
巷では、映画やドラマ、小説など、「泣ける」を強調するキャッチコピーの氾濫。
「泣ける」ことがそんなにいいことなのか。

「涙の○○入賞」「亡き父に捧げる○○」「この小説は100パーセント泣けます」
日本中を無理矢理泣かせているような気がする。

私は「泣く」よりも、笑いたい。
「笑い」(お笑いブームのことではありません)こそ、人類にとって最も高度な表現方法だと思っている私には、これほど違和感のある情景はない。

「負けたのにヘラヘラと笑っているやつは怪しからん」という人がいますが、私は勝っても負けても、笑う方が潔(いさぎよ)く感じます。
(たとえは変ですが、外国の刑事ドラマなどで、クライマックスで捕まった犯人が相手の刑事を讃えるように笑いかける場面があります。この潔さがいい。これが日本の刑事物だと、犯人は泣き喚くか、ジタバタと無駄な抵抗をする。これが実にみっともない。しかし『古畑任三郎』は別。犯人が潔(いさぎよ)い)

本当にこんなベタベタな「涙の押し売り」をみんなが喜んでいるのだろうか?
過剰な「涙の演出」は、スポーツに限らず、全ての事象を貶(おとし)めているような気がしてなりません。
「とにかく泣かせれば、感動したことになる」
そんな風に、独りよがりの制作者が勘違いをしているだけではないのか?

そんなウェットすぎるメディアですから、メダル予想なども「大甘」です。
今回、利害関係のない外国のメディアは冷静(冷淡?)で、日本のメダル獲得の予想は「0〜2個」というのがほとんどでした。
それに対して日本のメディアは期待値がかなり高かったように見うけられます。

今頃、「メダルゼロの可能性も…」などと騒いでいますが、冷静な分析力を駆使すれば、誰もが納得のいく答えは必ず出るはず。
寸前までナショナリズムを煽りに煽って、メダル獲得に赤信号がともると途端に犯人探しをするメディアこそ、真犯人と言っていいのではないでしょうか。

健全なメディアというのは、冷静で公平な「分析」ができることが前提条件。
その分野の元アスリートの都合のいい希望的観測だけを取り入れて強引に結論づけるいつもの手法は、分析ではなく願望で、素人同然。

もう少し勉強してください。あまりに安直すぎる。

メディアなどがウェットさやナショナリズムを限りなくゼロにしてくれれば、もともと素材のいいオリンピックは、良質な「エンターテインメント」になります。そうすれば、ひねくれ者の私のような人間の興味を大きく引くのではないでしょうか。

そんな日は絶対に来ないでしょうけど……。


【追記】 − 2006.02.24 −
朝インターネットを見て、「フィギュアで荒川金メダル」というのが目に入ってきました。慌ててテレビをつけてみると、ちょうど演技しているところが映っていました。
どこがどんな風に良かったのかは、さっぱりわかりませんでしたが、「金」は立派!

しかし、何よりも良かったのは荒川選手の「笑顔」。
涙を見せず、誇らしげに笑った顔がとても良かった。

願わくば、この後親や恩師などを担ぎ出して、無理矢理泣かせることがありませんように。



2006/02/22 AM 10:31:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | [メディア論]



(C)2004 copyright suk2.tok2.com. All rights reserved.