Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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「東横イン」異聞(メディアの遠吠え)
「東横イン」と「東急イン」は全く別物だった。

それが最初の驚き。

中目黒に住んでいた子どもの頃、「東急東横線」は単に「東横線」と言っていたし、「東急百貨店」のことを「東横」と言っていたから、「東横イン」も同じ系列だと思っていました。

しかし、もっと大きな驚きは、「東横イン」社長の最初の記者会見と2回目の「涙の記者会見(?)」の報道。
メディアは、「開き直りは許せない!」「あの態度は言語道断」「『申し訳ありません』を50数回言った」などと言って大きく扱いました。

偽装工事は確かに言語道断ですし、最初の会見の態度にも唖然とさせられました。

しかし、もう一つ私は釈然としないものをニュース画面から感じ取ったのです。

最初の「開き直り」の記者会見で、記者たちは何故その場で彼の態度を非難しなかったのだろう。
(ニュースでは映らなかっただけかもしれないので)もし非難した人がいたのなら、これから先の私の意見は、まったく的はずれの妄想になります。

優秀なジャーナリストとしては、相手に言いたいことを全部言わせて彼の人間としての本質を浮かび上がらせるのが、最も有効な手段である。
その方が世論を味方につけやすく、バッシングしやすい。

確かにそれはとても有効だった。彼は一躍、悪役として時の人に。

そしてその手法は、次の謝罪会見でも彼の不誠実さを浮き彫りにすることに効果を発揮した。
「メディアの誘導」は、完璧な形で一人の悪役をクローズアップした。

2度目の謝罪会見では、刺すような言葉がいくつも彼に投げかけられていた。
それは前回の「傲岸不遜の会見」では、ついぞ聞かれなかった言葉だった。

私が知らないだけかもしれませんが、メディアが強面(コワモテ)の実力者に、強気な言葉で直接噛み付いたのを見たことがない。
いつも彼らに言いたいだけ言わせている、物わかりのいい姿しか記憶にない。

某総理大臣や、某都知事、某新聞社会長、某元政治家、某財界人などが失言、妄言を繰り返しても、その場で彼らをたしなめたという場面を見たことがない。

「東横イン」社長が、うなだれて(フリをして)車に乗り込もうとする姿に向かって、メディアの間から幾つかの罵声が飛んだ。
まるで気の弱い犬が、及び腰で人に吠えかかるように。

メディアは実力者(表面上ふんぞり返った声の大きい人種)に弱い。
そして、実力者が坂道を転がり落ち始めると、途端に強気になる。

その場の言葉より、あとでペンとマイクを行使した方が数段威力がある、彼らは骨の髄までそう考えているのだろう。

あの、人をなめたような記者会見の現場で、「あんた! 社会的に影響力のある人間なんだから、もっと自覚を持てよ!」と指弾する人間がひとりもいないというメディアの現実に、私は一番驚かされた。


2006/02/15 AM 10:33:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | [メディア論]



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