Macでお仕事?
Mac歴22年。独立して15年。日に日に減っていく仕事……。そんな売れないデザイナーのひとりごとです。
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怖い話 第一話
3歳年上の姉がいる。
この姉とは、子どもの頃から、あまり話をしたことがない。
姉に何かを教えてもらったことはないし、世話を焼いてもらったことも記憶にない。
世間の姉弟が、どのような関わり方をしているかわからないが、私には話をしないことが不自然だとは思えない歴然たる理由がある。

その話をしようと思う。

ただ、話をしないからといって嫌っているかと言えば、そうではない。少なくとも私は姉を嫌ってはいない。
一番適切な表現を敢えて探せば、「姉には関心がない」というのが一番当たっているかもしれない。

冷淡、といえば冷淡かもしれない。
それは、あまりに存在が生々しすぎて、そういう風に見ないと、こちらの神経がすり切れてしまうからだ。
冷淡に見ておけば、神経が波立つことはない。関心を持つと、私の心が壊れる。

唐突だが、私には世界で一番尊敬する、祖母がいた。
もう30年以上前に亡くなったが、いまだにその尊敬の念は消えない。
グランドマザーコンプレックスの一種か、と自己診断している。

そんな祖母が、私が小学校に入学する前の日に、私にこう言った。
「お前は頭が悪いから、よくひとの話を聞く訓練をしなさい。ひとの話を真面目に聞いていれば、必ずわかるようになるから」

自分のことを、「頭が悪い」と思ったことはなかったが、子供心に「俺はすごく不器用だ」とは思っていた。
そして、祖母が言うんだから、私は「頭も悪いんだ」ということも、改めて頭に刻み込んだ。

「じゃあ、ネェちゃんは?」
と祖母に聞くと、祖母はこう言った。
「H(姉)は、お前よりはるかに頭がいい。でも、あの子は、ダメ。Hは、誰の言うことも聞かない。たとえ神様でも、仏様でも、あの子をセットクすることはできない」

「セットク」という言葉がどういう意味か、その時はわからなかったが、あとで「説得」と書くのを知って、意味も知った。
私の中で、姉に対する一つの確固たる「定義」ができたのが、この時だった。

祖母は、若いとき師範学校の教師をしていて、彼女の教え子は、そのほとんどが学校の先生になっていた。
祖母は、「ほめて育てる」を実践していた人で、教え子が我が家に遊びに来ると、皆必ずそのことを言って、祖母に感謝していた。

私もほめて育てられた。
だから、小学校に上がる前に、祖母から「お前は頭が悪い」と言われて、強烈に頭に刻まれたのだ。
いつもはほめるだけの祖母が、はじめて私に対して厳しいことを言った。その効果は抜群だった。
小学校に上がると、私は先生の話をよく聞こうと努めた。
小学1年・2年では、その効果は現れず、私は本当に「頭が悪かった」が、3年になると、集中力が付いてきたのか、成績は顕著に上がってきた。
1や2ばかりだったのが、4や5ばかりという、まわりも驚くほどの変わりよう。
これは、まったく持って祖母の神通力のすごさだと言っていい。



2006/01/18 PM 12:38:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | [怖い話]



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