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● めでたい話 |
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新年に舞い込んだおめでたい話。 10歳以上年下の友人が、明るい話題を持って我が家に来てくれました。
彼との付き合いは、約15年。 15年前の私は、法律事務所に勤めていました。 その時の彼は、2度目の悪さをして、お咎めを受ける寸前の状態でした。
事務員として、弁護士センセイと一緒に彼に面会したとき、「こんないいヤツが何で?」という印象を強く持ったのが、彼との付き合いのはじまりです。
高校は一年で中退。その後、売れないモデル(彼は身長183センチ、整ったマスクの持ち主)やテレビや映画のエキストラをやりながら、怪しい仲間に誘われて、恥ずかしい事件を起こすこと2度。
外見もそうですが、話をしてみても、好青年そのもの。 どうして? 何で? という好奇心で、彼とよく話をするようになりました。
話してみると、彼は頭の回転が早くて機転がきく、大変優秀な頭脳の持ち主でした。 中退した高校も、ハイレベルの公立高校。
頭が良すぎて、先が読めすぎて、しかもナイーブ。 簡単に分析すると、そんな感じでしょうか。 一時的に、心のバランスが崩れて、つい寄り道をしただけだと、私は判断しました。
2度目の悪さのあとは、心のバランスが安定したのか、本来のいい面が前面に出てきました。
映画やテレビのエキストラをしながら、仲間と小さな劇団を立ち上げて、年に数回の舞台を演出。それが10年以上続いていました。 定職にはつかず、アルバイトをしながら、自分の劇団のためだけに生きる生活。 劇団員の数は、増えもせず減りもせず、注目されることもなかったのですが、本人はそれで満足だったようです。
そんな彼ももう35歳。 「このままでいいのかな、あっという間に40になっちゃうよ」と、まるで親のような気持で、何度か率直なアドバイスをしたことがあります。
「役者として売れようという気持ちは持ち続けているけど、舞台で自分を表現できるだけで満足、という気持の方が強い」 でも、それって自己満足だよね? 「でも、60過ぎて、この状態が続けられたら、ある意味スゴイ、と思う」 悪いけど、それは現実味がないんじゃない?
そんな会話をしたのが、去年の夏。
そんな彼が「オレ、芝居をやめて、養子になる!」 「???」どういうこと?
「2年半くらい前からアルバイトしていたレストランで、オーナーに気に入られて、養子にならないかって言われて、受けることにしました」
要約すると、東京のオシャレな街のレストランでアルバイトしていた彼を、そのレストランの社長が気に入ったということ。 その社長夫妻には、子どもがいないので、夫婦間でいつも「老後はどうしようか」と言うことが話題になっていたそうです。 そこで、「二人の眼鏡に適う子がいたら、その子を養子にして、跡を継がせよう」というのが夫婦で出した答え。
しかし、10年近くそんな人間は現れず、諦めていたところへ彼が来たのです。 頭が良く、物覚えもいい好青年。 「これだ!」 と社長夫妻は思ったのでしょう。
社長夫妻の申し出に、彼は悩みましたが、昨年末に受諾の返事をしたそうです。
「芝居の方は、もういいの?」 と、私が聞くと「はい、未練はないです」とキッパリ。 この潔さが、彼の身上でしょう。晴れやかな顔をしていました。
「レストランのオーナーかぁ、いいなぁ!」 うらやましすぎる!
「あのさあ、もしメニューとかパンフレットとかの仕事があったら……くれない? いいの作るよ」 彼は、こんなバカな申し込みにも、大きくうなずくいいヤツでした。
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2006/01/13 PM 12:11:54 |
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