ワーグナーのオペラックひとこと日記
CDショップ「オペラック」の運営日記。ワーグナー好きの方、お待ちしております!!

2007年07月13日  エルダーのワーグナー
ここ一週間は最近発売されたワーグナー新譜を聴いた。エルミングの歌唱集、エルダーの管弦楽曲集、ブッシュのローエングリン全曲。その中ではエルダーの管弦楽曲集が最もすばらしかった。冒頭のパルジファル第一幕への前奏曲が特に名演で近年あまり聴くことのないような深く重心の低い響きと細やかさがこちらにも手に取るように伝わってくる管楽器のみずみずしさは、長い伝統を誇るハレ管弦楽団とエルダーの実力の賜物だろう。テンポも緊張感を維持したまま、ゆっくりとしたテンポで通しているが、こういったことも並みの指揮者にできるものではない。エルダーは81年にマイスタージンガーでバイロイトに出演しているが、第三幕への前奏曲の深さとは対照的に第一幕への前奏曲はレガートを使って流れを重視していた。こういう演奏は新国立劇場のアントン・レックのマイスタージンガーのようにしまりのないものになりがちだが、エルダーは重厚さも失うことなくその辺の手綱さばきも驚いた。海外各誌が絶賛していたというが、それも納得の演奏だった。

AM 12:24:25 | Comment(615) | TrackBack(162) | [日記]

2007年07月07日  ワーグナー以前の作品
今回のワーグナー協会のテーマをきっかけにこの数週間はワーグナーが出てきた当初もしくはそれ以前に活躍していたグランドオペラの作曲家のCDを何枚か聞いたが、どれも予想以上に素晴らしい出来栄えで驚いた。なかでもスポンティーニのヴェスタの巫女は序曲からすでにワーグナーへの影響が伺え、音楽だけでなく台本までワーグナーに影響を与えていると思われる箇所があることがとても面白かった。今回の例会はそういうことがよりはっきり分かることができたし、マイアベーアの場面転換などはタンホイザーの一幕でのヴェーヌスベルクからの場面転換のように美しかった。またオーベールのポルティチの口きけぬ娘の台本も最後に溶岩にタイトルロールが身を投げる場面はブリュンヒルデの自己犠牲に似通っていた。今後も18世紀前半のオペラ作曲家の作品は積極的に聞いていきたいと思った。

AM 03:10:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

2007年06月12日  妖精
先週から聴いている妖精だが、合唱が本当に素晴らしい。各幕でのフィナーレはいずれも合唱で閉めているのが、そのどれもがワーグナーのうねりを感じさせ、それでいて女声合唱の清新さはオランダ人以降の作品にはみられないものがある。三幕の幕切れの女声合唱の清清しさは格別だ。二幕のめまぐるしく進むフィナーレも圧倒される。やはりワーグナーはオランダ人以前の作品からでも劇作品に対する才能が十分に感じられる。

AM 12:47:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | [日記]

2007年06月08日  妖精
ワーグナーが最初に完成させたオペラ「妖精」を聴く。序曲からリエンツィ序曲を思わせるようなワーグナー独特のうねりが十分に感じられる。もともとの話の内容は妖精と人間の男性が結婚するには試練を克服しなければならないのだが、その試練を克服できなかったため妖精は蛇に変えられてしまう。しかし男性がその蛇に接吻を与えたので、妖精はもとの姿に戻り二人は結婚するという話。しかしワーグナーは結末を変えて妖精は石に変えられてしまい、さらに接吻したことによって二人は人間界で結婚するのではなく、不死の妖精国に迎えられて行くようにした。人間界ではない世界で二人が結ばれるように改変したところがタンホイザーやトリスタンを連想させ、いかにもワーグナーらしい。
音楽的にはまだ番号オペラの形をとっており、合唱やアリアなど随所にモーツァルトのオペラセリアを彷彿とさせるが、要所でのたたみかけるような音楽つくりはワーグナーそのものだ。後期作品を連想させるような箇所はないが、オランダ人やタンホイザー、ローエングリンなどとはとてもよく似通っている部分がある。まだ冗長な部分が多いのは確かだが、合唱の箇所は素晴らしい。ワーグナーはオランダ人以前の作品について言及されるのを嫌がり、妖精の初演はワーグナーの死後5年経った1888年、つまり作曲されてから55年後のことになるのだが、そういったことが不思議に思えるほどなかなかの俊作だと思う。

AM 02:05:45 | Comment(0) | TrackBack(1) | [日記]

2007年06月04日  ベートーヴェンのピアノソナタ
ベートーヴェンのピアノソナタを何週間かかけて全曲聴きとおした。この一週間は後期作品を聴いていったが、中期に見られた華麗さよりもフーガを多用したものが多くなっている。旋律よりも響きを重視しているかのようで、派手さはないがとても内省的である。一方で幾つかの楽章でハッとするような美しいメロディーが出てきて、重厚さとの対比が鮮烈だ。特に最後の第32番ではアメリカンポップスを思わせるような洒落た旋律が出てくるが、第一楽章の重厚さとは全く正反対だ。ハンマークラヴィーア・ソナタの終楽章のような、普通の人には書けない難聴のベートーヴェンだからこそ書けたような激しい内面表現と、全てを達観したかのような力の抜けた自然な旋律の共存が、後期のソナタで印象に残った。

PM 05:05:34 | Comment(1) | TrackBack(0) | [日記]

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