せんすぶろぐ
将棋、歴史のオタクです。他の一般の話題についても折をみて触れていくつもりです。

2009年04月26日  3手目▲7五歩対策
 今日のNHK杯戦、やたらに進行が早いなぁと眺めているといきなり千日手になってしまいました。でも、指し直し局よりは考える材料があったので、こちらをエントリーにします。

 私は3手目で▲7五歩と指されると常に△4二玉とすることにしているのですが、この日の矢倉六段は1図まで運びます。解説の畠山七段も気にしていましたが、本譜のように▲4八玉とするのでは△8八角成▲同銀△4五角が端を詰められていることもあり、感触が悪そうです。だから、普通に▲6六歩とするか(この場合は、後手は左美濃に組んでもよさそうですね)、▲5八金左とするかだろうか、と自分なりに読みましたが、阿部八段は丸無視して▲4八玉。

 調べてみると、▲5八金右とした事例はないようです。(なぜだろうか?) 矢倉六段自身はこの2月の順位戦で室岡六段相手に▲4八玉を選択しており、反対側を持って気になる筋があったのではないかと推測されます。

 なお、室岡六段はこの形の経験が多いようで、去年11月の順位戦(対阪口戦)で△6二銀を選択。▲7四歩△7二飛▲2二角成△同銀▲7三歩成△同銀▲6五角△5四角▲8三角成△2七角成▲7七桂△6四歩▲8五桂△8二銀▲7二飛成△同金▲8四馬△6二金▲7三歩△4二玉▲6六馬(2図)というトリッキーな手順を展開していました。(但し、ここまでは去年10月の王将リーグの久保―郷田と同一であり、彼のオリジナルではない) 色々と手はあるものですね。勉強になります。

 本譜の進行ですが、3図で△1七歩成以下1六で香車交換をしてはいけなかったでしょうか。△4六歩があるので、相当の手ごたえだったのではないかと思うのです。(もとより畠山七段指摘の△4三香の筋の方がプロらしいですが)

 このエントリーの動機ですが、4手目△4二玉だと結構、受身一方になるのが好きではない、代わりに主導権を取れるような指し方を習得したい、というところにあります。少なくとも、仕込んでおいてもいいかなぁ、という気はしました。




PM 11:58:45 | Comment(206) | [将棋(三間飛車)]

2009年04月26日  将棋クラブ24
 小さい文字ですが、将棋クラブ24のトップにこういう記事がありました。

(引用開始)
★満員3000人でも入場できる会員:
 満員で入場できない。お金払ってもいいので入場したい。今まで沢山のメールを頂きました。「満員3000人でも入場できる会員」を月額10円〜10万円くらいで募集する予定がありましたが、まだいつになるかわかりません。大変ご不自由をおかけして申し訳ないです。
 4/25より実験的に入場者制限を3000人以上にしてあります。

(引用終わり)

 満員の時は、入場を諦める人がほとんどではないでしょうか。10万円を払う人はいませんよ。満員になるのは平日夜と週末の夕方以降の一部時間帯くらいのものですし、その時間帯でも粘っていれば入場は可能です。

 こういうことをする(=ファンの心理を冷やす)くらいなら、やれることはまだあります。

・大阪道場の活性化
・一定時間、対局をしない入場者のオートログアウト

 将棋に関して10万円で満足できるサービスレベルというと、
・リアルでタイトル棋士が懇切丁寧に解説&指導なら1回
・リアルで女流トップなら2回
・リアルで気鋭の若手棋士なら4回
・データとしてなら、全棋戦解説付き棋譜なら過去分全部を込みで密度は柿木変化手順つきくらいか? でも、あの竜王戦倶楽部が確か年額7千円くらいでしたから、ちょっと高いか?
・ネット対局系なら常時プロが待機で誰とでも指せる。

くらいのものではないでしょうか。

 ゴルフなら自分のホームコースなら20ラウンドできる、京都に家族で行くなら、一級のホテルに宿泊しても十分、高級店で寿司を食べても相当に余裕がある。それくらいの額です、10万円というのは。

 最近、実況がないせいか、対局感想ネタ以外のエントリーが増えているような。。。

AM 08:17:08 | Comment(449) | [将棋]

2009年04月23日  名人戦第2局:タイ
 3月3日の順位戦対木村戦に勝利してから怒涛の5連敗に入り込んだ郷田九段。先週の王位リーグ戦は、ある方の話によれば、陽動振飛車を採用してB2の先崎八段に敗退したとのこと。ちょっと名人を取るような雰囲気がないなぁ、と先行きが暗そうに思えたのですが、この名人戦第2局はものすごい捻り合いを制してタイに追いつきました。全盤面に戦場が広がる総合力同士の戦いを後手番で制したのは大きな自信になるものと思われます。

 あまりにもハイレベルすぎて分からないのですが、帰宅後、棋譜を実況解説なしに流して並べた時の感じは、以下のようなものです。

・玉が上部に出始めたところでは、羽生名人の指し手に伸びがあり、善悪はともかく羽生ペースとみました。最近、時々見られる間口の狭い着手(例:王将戦七番勝負の敗局や大和証券杯の対山崎戦等)とは趣が異なっていて、好感度よし、でした。
・△4三銀には感心。私の腕では読めません。でも、▲2五歩があるのであれば、天秤は先手に傾いているのだろうか?(この辺、5連敗中の郷田九段への信用がいささか毀損されていたのかもしれません)
・1図で角を切ったため、後手玉が一気に危なくなってきた。△8四銀からの攻め筋は迫力があるが、2段目の飛車が利いているのと、こういう上からの攻めは玉の逃げ足の方が早いことが多いので、どうなんだろうか? よく分からない。
・2図で▲7七金が敗着らしいですが、私も「あれ?」と思った手です。真下に引いておけば、△8六銀に▲8九玉と早逃げして金の陰になっていますが、▲7七金だとこうはできないし、駒に当たりがかかってしまう。普通なら金を引きたいところですが、他ならぬ羽生名人の着手なので、なにか理由があるんだろうか?(=しつこいがこの辺は羽生勝ちと思い込んでいました)

 これなら、最終局までいくのではないでしょうか。
 

AM 12:36:03 | Comment(566) | [将棋(矢倉)]

2009年04月21日  上坂冬子氏の遺稿
 先般逝去した上坂冬子氏の遺稿が4/20の産経新聞1面「老いの一喝:枝葉末節な禁煙の理由」として掲載されていた。

 たとえ遺稿でもなんでも、内容があんまりなので、エントリーに取り上げたくなった。フルテキストはここです。

「要旨」
・禁煙の理由は、ことさら枝葉末節な理由に終始している。因縁をつけられているような気がする。たばこ税金を収税のしやすさ以外の理由を挙げるのが気に入らない。ましてや環境保護の一端を担っているかのごときはこじつけだ。

・個人がたばこを遠慮してもグローバルな環境が保護されるなんてことはない。たばこは2000年も前から人々に愛用され続けてきたもので、それをのむな吸うなというのは無理な話。

・個人の健康は個人が守るべき問題。肺がんにつながるかどうか確たる根拠があるわけではないし、あったとしても本人の自己責任。

・最近の禁煙席の多さは、近ごろ人間のスケールが小ささと関係があるかも。

・物には限度がある。1箱1000円説がまかり通っているのを見ると、まともな議論はできない。

・嗜好品は自由意思である。本人の決意によってのみ愛用をやめるべきだ。これほど単純明快な話につべこべ理屈をつけるべきではない。

→こんな因果関係も何もない文章、一面的な見解に満ち、漏れなくダブりなくを満たさない文章が、上坂冬子の遺稿とはあんまりな気がする。産経新聞の幹部に愛煙家がいて、無理やり書かせたんと違うか?とまで訝ってしまいます。


PM 07:49:55 | Comment(456) | [日記]

2009年04月20日  銀冠は豆腐
 昨日放送のNHK杯高橋―豊島戦。4枚穴熊からの攻撃がまともに決まり、豊島四段の快勝でした。A級復帰の高橋九段、ちょっと前の期にも開幕早々佐藤四段に敗北したことがありますが、昨日の結果をみて、失礼ながらA級棋士=黄金聖闘士ながらも「聖闘士星矢」で早々に負けてしまう牡牛座のアルデバランみたい、と思ってしまいました。(ごめんなさい!)

 感想戦を聞いていると▲5三角成周辺の手順を悔いる様子でしたが、1図のような駒組からの開戦自体がどうなのか、という気もします。ここは角の働きをつけつつ、自玉を強化する意味でも▲9八香〜▲9九玉〜▲7九銀として、「ゆっくりしていると固めてしまいますよ〜」と後手にプレッシャーをかけてはいけないのでしょうか。

 典型的な穴熊依存症候群の発想という批判は甘んじて受けます。しかし、このままでは角が動きにくいので、先手から仕掛ける、というのは筋にないことではないかと思うのです。

 せっかく銀冠にしても、穴熊最大の急所である▲8四歩は△8五香があるので突けず、2図のように6筋からあやを作られてはもはやどうにもなりません。

 もっとも、穴熊依存の強い私でも対ゴキゲンであれば、5筋で分断されると穴熊は勝ちにくいと思っており、自分なら左美濃から▲4七銀を選択したと思います。結果論といわれればそれまでですが。。。。


 

PM 10:37:03 | Comment(448) | [将棋(中飛車)]

2009年04月20日  マグロ名人戦
 次のお題はマグロ名人戦の件です。これも先週の金曜日だったか、将棋連盟のトップに黄色で囲まれた「三崎支部について」という文字列があるのに気づき、「珍しいな」とみにいくと、こういう記述があったのです。

 この文章はひとかどの組織の声明文書であるわけですが、日本語としてかなり低品質であり、かつ因果関係の展開を見出しがたいものになっています。

 三崎支部についてご説明させていただきます。
→唐突感が強烈です。こういう書き出しをする場合、漢検に関する不適正処理のように読み手が事象について熟知していることが前提です。今となっては読み手の事情理解が追いついてきましたが、この文書をアップした時点ではそうではなかったはずです。

 マグロ名人戦は三崎マグロ大会実行委員会(元連盟三崎支部)が主催し、神奈川県支部連合会と将棋連盟が協力している32回の歴史ある大会でした。
→自分なりに調べたところでは、事務局は商工会議所内にあるようで、支部主催ではないようです。ソースはこちらです。

 しかし、女流棋士会が分裂後、この大会はLPSAが協賛となり永く協力してきた日本将棋連盟に対しては「後援」、LPSAは協賛という扱いでした。
 そこで今回の件に関して、将棋連盟の姿勢と経過をご説明いたします。

→だから、「今回の件」が何なのかさっぱり分からないんです。

 三崎支部はLPSAに協力している方と、意見の違う支部会員の方が新しく立ち上げた横須賀支部に分かれました。
 これは三崎支部の会員が決定したことです。

→この文章だと、三崎支部は分裂したようですね。(実際は解散したようですが)

 普及部は神奈川県支部連合会と横須賀支部に対して全面協力と信頼関係を密にして普及に努めております。

→結構なことです。で、マグロ名人戦とはどういう関係があるのでしょうか。

 今回、正会員(棋士)のHP上で事実に反したことが記載されているために、普及部では正しい事実をご説明させていただきました。

→正会員とは誰のことなんでしょうか。正しい事実が何を指すのかも分かりません。

 頭が痛くなったので、検索してみると、こういうエントリーがありました。

  マグロ名人戦で起こった出来事

 この内容が真実なのかどうかは分かりません。私が、
・分かるのは、上の「声明」を書いた方が、読み手親切ではないということ、
・感じるのは、この文体は米長会長の言葉遣いと似ているということ、
・推測できるのは、LPSAの立ち位置とマグロ名人戦の後援、協賛という「表現」について、揉め事があり、それが三崎支部に波及したらしい、ということでしょうか。

 アマチュアの大会なんですから、気持ちよくサポートしてあげればいいとするのが穏当な姿勢だと思うし、NHKの囲碁将棋ジャーナルも両組織の名前が併記されているので、なぜ取り立ててマグロ名人戦だけが問題視されるのか、理解を超えます。


*さっき、将棋連盟のHPにいったところ、三崎支部が三浦支部になっていました。。。

PM 10:19:54 | Comment(439) | [将棋]

2009年04月20日  升田賞▲7五飛
 すくすくブログの本体サイトが落ちてしまったようで、書き込みができませんでした。その間に書き溜めたエントリーをあげていきます。

 まずは升田賞。棋王戦第2局の▲7五飛が受賞だそうですね。(1図) そういわれても、直ぐには思い出せませんでした。並べていて、「あぁ、5段目に浮くのね。確か、前々期のA級順位戦対佐藤戦でも似たような手があったな。今時では大して珍しくもない手だよな」くらいの感想でスルーしてしまいました。実況も特にディープな解説をしていなかったこともありますが、なんかコクのある手なんでしょうか。

 数年前に谷川九段の△7七銀成が受賞したことがあり、「いかにも無理やりだなぁ。谷川さんを顕彰したいなら、この手よりももっと強烈な手があるはずだろう」と思ったものですが、今回の▲7五飛もストレートに受け止めがたいです。きっと、「なるほど!」と膝を打つような理由が次の将棋世界に掲載されていることを期待していますが、将棋メディアに因果関係の貫徹を必ずしも求めがたいこともあり、懸念もあります。

 と、ここまで金曜日に書いていたところ、先週の土曜日のBS解説で井上八段がその後の変化を紹介してくれました。

 1図で△7四歩なら▲4五飛△3二金▲2二角成△同銀▲5五角△7三銀▲4三飛成(2図)までで先手よし。「こんな軽い手順で成立しているの?」と訝しい思いですが、升田賞を取るくらいだから成立しているのでしょう。

 ・・・といいつつ、数年前の升田賞選考で候補に上った佐藤さんの対中座飛車の▲7九飛(対谷川戦)が実は成立していなかったことを知っているだけに、本当に大丈夫なの?という懸念は消えません。

 

PM 10:14:08 | Comment(684) | [将棋(三間飛車)]

2009年04月15日  観戦記(順位戦:森内―三浦)
 以前、毎日の観戦記がよくない、と書いたが、具体的にどこがよくないのか、書きたくなった。

 14日の森内−三浦戦をネタにさせていただきます。辛い感想を書くと、パーソナルに捉える人もいるかもしれませんが、読者として意見表明は書き手にとっては良薬は口に苦し、ということで、ご寛恕下さい。

・改行が多い。文章の構造上、やむ得ないようにも思えるし、平明さを意図してのこととも思うが、字数は確実に減る→情報量も減る、ということになる。観戦記は手所の解説の役目も負っているわけで、そこが満たされていないという感触が残るのである。例えば、図からの着手は△9三馬だったが、「△2四馬でも先手が有望そう」と14日の観戦記にはある。読み手は「それはなぜ?」と気になる。気になるが、文中に答えはない。

・「〜ないか」「〜だろうか」「〜そうだ」と曖昧な表現が多い。裏取りをすれば、断言できるわけで、そこの労を惜しんでいるのだろうか、という歯痒さを覚える。きっと、観戦記者氏は裏取りはしているだろうと思うので、婉曲に表現しているのではないか、とも想像するが、こと観戦記の場合は読者は「一体はっきりしたところはどうなんだろう」とこれまた欲求不満になるのである。

 変化手順のオンパレードの観戦記はそれはそれで読みにくいので、中庸を維持するのは大変でしょう。読み手は対局者がどういう風に悩んでいたかも知りたいし、欲張りなものです。書き手には、いよいよ頑張って欲しいものです。

 正直なところを言えば、将棋の観戦記は紙面ではなく前期竜王戦第三局のように柿木で展開するのが最もよいのですよ。

PM 11:13:16 | Comment(458) | [将棋]

2009年04月13日  奨励会三段リーグ開幕など
 イケメンの菅井君、14歳の佐々木君、阿部君の3人が2連勝スタート。星野君は新人王戦は強いのに、奨励会はパッとしないのが意外です。

* さて、年間4人(フリークラス参加がいるとこれに最大+2)のプロ棋士が誕生するわけですが、昨年度の引退棋士はというと、中原16世名人他何人になるんでしょうか。収支が均衡しているのか気になります。

* 引退棋士の名前を確認しようと連盟のHPをみていると、伊藤女流が引退しており、伊奈川女流も休場になっていました。全然知りませんでしたよ。これでは女流棋士は職業選択ではなく、なにかの習い事の資格みたいです。彼女達を普及の尖兵として、各地に派遣することで、彼女らの収入にも資するようなスキームは作れるのではないかと思うのですが。。。




PM 08:17:29 | Comment(415) | [日記]

2009年04月12日  第96回職団戦
 綾瀬まではるばるいってきました。

・行きの電車で坂東さんがイケメンさんと連れ立っていましたね。そのまま私の前を歩いて会場入り。彼女、将棋を今後はどうするのでしょうか。女流棋士として対局以外の仕事もこなして、700万程度の年収になるなら、もう少し意欲も湧くのだろうか?というのが仲間の見立てです。
・このイケメンさん、鈴木真里アマ(小柄な方でした)ともお話しをしていました。
・中村桃子さんもNHKのカメラクルーと場内を歩いていました。もう囲碁将棋ジャーナルの司会者ではないので、業務ではないのでしょうが、顔見知りなんですかね。
・女流棋士では場内で斎田さん他、帰り道に中村まりかさん(漢字省略します)、高群さんを見かけました。
・主催の朝日の部長さんのお話によると、会場内の男性比率は95%くらいらしいです。
・どういう毒を吐くか注目された会長挨拶。普通の流れでしたが、最後に「対局中にサインを求めたりはしません」と一発。彼の挨拶を何回か聞いていますが、その時点で最も腹の立っている事象に対し、毒舌になるという印象を得ています。さすがに、東公平のことは腹に据えかねたのか?
・それはさておき、会長は「会場を変えて参加費も減った」といつもの自画自賛。確かに千代田の武道館よりは40%は減っているが、同じことを毎回毎回自慢するのも鬱陶しいです。そして同じく鬱陶しいのがこれでもかと入っている扇子。参加者の立場に立って、何が喜ばれるか想像力を少しは働かせてはいかがでしょうか。想像力がないなら、アンケートを各社幹事にしてみてはどうでしょうか。

 やっぱり千駄ヶ谷の東京体育館の方がいいなぁ。

AM 12:06:38 | Comment(444) | [将棋]

2009年04月10日  羽生先勝:縮まらない微差
 矢倉らしい熱戦。しかし、先手の郷田九段の攻めがいまひとつ届いていない歯がゆさを感じつつ手数は進み、そのまま羽生名人がゴールインしたような印象でした。

 このレベルだと先手に攻め方が多い、ということですが(そして私レベルだと攻めあぐねる。。。)、昨日のエントリーでも言及した先崎―松尾戦は1図のような攻撃陣を作っていて、非常にスマートな印象ですが、郷田九段は盤面をもっと広く活用する構想だったようです。すなわち、▲6五歩〜▲6六金〜▲7五歩と左翼に位を張り、後手の右桂の活用を抑えにかかります。

 「なるほど。この後、▲7六銀→▲5七角→▲6七金→▲6六角と運べれば、かなりよさそうだなぁ」と暢気なことを考えていると、羽生名人は△2四角! プロなら当然かもしれませんが、▲同角△同歩▲5一角がみえるだけに、私には全く思いつきません。「馬を作っても窮屈である」ということで、教えてもらえると納得!ですが・・・

 これで角交換に持ち込まれて、郷田九段は9筋に活路を見出すのですが、こういう将棋は右翼の飛車や銀、桂馬といった主力攻撃部隊が動いてなんぼ、としたもので、どうなんでしょう。せめて銀は左の方に移動させるんだろうなぁ、と自分の中では思っていましたが、郷田九段にはそういう意識は希薄だったようです。3図では▲9四角成(渡辺竜王説)が妥当と思うのですが(真面目に馬と遣り合おうとしても無駄だろうとの考えから。△3六歩には▲4八銀で支障ないのでは?)、郷田九段は▲3六歩。対して△3五歩▲同歩とこじ開けてから△2三銀が感触のよい手順。この後、郷田九段の右銀は1六に逼塞することになります。9四の馬と駒が離れているなぁ、という陣形で先手が苦しそうです。

 以後も先手も頑張りますが、4図からの△7二歩がまたもや味わい深い。。。日曜日の大和証券杯(対山崎戦)の内容が「あんまり」だったのとは対照的です。最終盤で「▲4二角成の前に▲9六歩△同歩と香を取っていればどうだったんでしょうか」という声もあったようですが、本譜と同じ受け方を後手がするなら155手目の類似局面で香車が先手に残り、▲5三銀△3二玉▲4一龍△2二玉▲2三香以下詰みます。しかし、他の受け方だと届いていないようですね。

 羽生名人、雰囲気のある指し手が多く、気持ちのよい勝利だったのではないでしょうか。

PM 11:34:52 | Comment(609) | [将棋(矢倉)]

2009年04月09日  名人戦第1局 大長考
 4月の名人戦は実況中継日照りの中、開始されます。カードも羽生―郷田と久しぶりの組み合わせで、一定の期待感があります。

*郷田九段がこのところ負けが込んでいるのがやや気にはなります。
**以前は竜王戦の中継があったのですが、武者野氏がさぼりまくって終わらせてしまったの残念です。顧客本位の対極を行く出来事でした。
***将棋連盟がネット中継事業を企画しているようですが、売上を期待するのであれば、山場がそれなりに観戦に適した時間に来るように配慮してほしいものですね。10時対局開始に合理性などないと思います。

 将棋の内容の方ですが、1図で郷田九段が固まってしまいました。3時間26分の大長考。名人戦のためにそれなりに仕込んできたはずなのに不思議ですが、対局中だからこそ思考が深まるらしい、という話しをプロ棋士はよくしているので、この長考もその現象なのでしょう。とはいえ、持ち時間の40%近くを投入するのかなぁ、という気はやはりします。

 この局面自体の先手の勝率はあまりよくないのですが、主だった過去の対局をみてみると、色々と変化はあるのですね。

 2007年の王将戦の深浦―森内戦は▲6八角△4五歩▲4六歩△同歩▲同角△4五歩▲3七角△4四銀右▲4七銀(2図)と進み、なるほど。▲3五歩を突っかけると、今日の将棋のように後手の銀が盛り上がってきて、しかも6四角の睨みが鬱陶しく、私の腕ではなかなか先手を持って勝てません。しかし、郷田九段は上の▲4六歩ではなく▲3七銀を選択しました。

 2002年の銀河戦(羽生―森下)は羽生さんが▲3七銀△4五歩▲2六角△3四銀▲3六銀△2四歩▲3七桂△4三金右と窮屈な陣立てを選んだ挙句(3図)、▲4五桂を強行。いくらなんでもこれはないんじゃないか?と思いますし、実際桂馬を丸損しますが、結果は逆転勝ち。

 なるほど、変化は多く、頭の痛いところではあったようです。私自身はこういう変化形をあまり知らず、NHK杯戦の先崎―松尾(このブログでも取り上げた記憶がある)をフォローすることが多かったです。名人戦第1局も恐らくはNHK杯戦に合流し、3五が争点になるのでしょうね。その将棋は上手く先崎八段が攻め勝ったのですが、アマが指すとああはいかないよね、という印象が今でも残っています。

PM 08:22:28 | Comment(421) | [将棋(矢倉)]

2009年04月06日  書評:「やばい社会学」
 「やばい経済学」で取り上げられていたシカゴのアフリカ系下層社会に関する観察記である。

 留保事項をいくつか。
・表題は「社会学」とあるが、学問的著作では全くない。
・著作中に登場するアフリカ系アメリカ人は自らをそう呼ばず、日本人が彼らをそう呼んだら即座に殺されかねない表現を採用している。(にがー)
・その他、ありとあらゆるスラング頻出だが、気にせず読んで下さい。

 社会学を専攻する大学院生の著者スディール・ヴェンカテッシュ(インド系)はある日、シカゴのスラム街であるロバートテイラー団地に住民アンケート調査のために出かける。そこで、クラック・ギャングの頭であるJTや地域の住民と「つるむ」ようになる。社会学が得意とする定量的、統計的分析がロバートテイラーの住民の生活水準改善には無意味でしかないことを思い知らされる。。。。

 やがて、ありとあらゆる犯罪と貧困がちりばめられた下層社会ですら、一定のルールが機能していることを知る。ギャングといえば暴力への抑制が乏しいと思われがちだが、真剣に彼ら(少なくともある程度の立場のギャングは)は地域の平穏を希望している。殺人、発砲事件が起こると、クラックを買いに来る顧客が激減して売上に響き、上納金を自腹切って払わなければならないし、若い連中の管理もできない無能と思われてしまうからだ。

 だから、ー磴は中の躾と動機付けを適切に行う必要もあるし、⊆分の縄張りの売上がよその縄張りに移らないように、顧客評価(=麻薬常用者)をきちんとフォローして、歩兵(売人)が混ぜもののクラックを売っていないかどうかを検証もするし、事業への協力者を確保するために、コミュニティ(そう、コミュニティなのだ)のための行事の資金を負担もすれば、団地の役員や警察、教会とのわたりもつける。彼らは半ば本気で、自らの事業はコミュニティに貢献していると信じている。実際、治安が悪すぎて救急車も警察もなかなか来てくれない中で、ギャングは一定の重石となっているのだ。

 ,亡悗靴董▲ャングの幹部は演説する。
「諸君は外で仕事をするのだから、他人には敬意を払わなければならない」
「子供のいるところで仕事をしては(クラックを売って)はいけない。お母さん方の評判を悪くするからだ。しばらく休んでからもどってくればよい」
「世間は諸君の振る舞いで我々の評価を決めるのだ」
「君たちはコミュニティの歩兵である」

 ちなみにこの演説をする幹部はこうもいっている。
「しつけは一首の芸術だ。俺がすきなのは「にがー」を逆さまにして高速の上にぶらさげることだ」(何でこう極端なのかな?)

 ■複圓里茲Δ粉管瑤砲箸辰董∧睚次兵磴で篆諭砲慮回りは最重要事項である。彼らのパフォーマンスを確認するために、ホームレス等にタレこみもさせている。一種の多面評価システムですかね。

 Y罎畛があると、団地役員や牧師、警官といった人たちが集まって、対策を鳩首相談する。対立するギャングの頭同士もやってくる。なんでも力ずく、というわけではなく、普通の社会と同様のプロセスが、(但し、かなり生々しい形で)機能していることを読者にも感じさせるのである。
 
 この本は何か意見を主張しているわけではない。読者はそれぞれに何かを感じればいい。しかし主張していなくても、彼らの生活の強烈さはビンビン伝わってくるのである。お勧めです。

*「不適切な文言があります」というアラームが出てきて、投稿するのに苦労しました。

PM 09:49:09 | Comment(598) | [書評]

2009年04月06日  書評:「「テロの経済学」

 テロ撲滅のために教育の向上、貧困撲滅を主張する政治家や善良な問題意識を持つ市民を落胆させる本。

 「テロリストは投票行動と同じような意識でテロを行い、社会に影響力を与えようとしている」、「投票率は生活で手一杯の低所得者層よりも高所得者層で高いのと同様、テロリストも高所得者層出身が多い」という結論を統計分析から導いている。この手法と結論はなるほど、と思う。しかし、自腹切って、購入する本としては相応しくなかった(=面白くない)。著者も認めているが、統計処理のプロセスは退屈なものなのだ。

 非お勧め。

PM 09:42:59 | Comment(18) | [書評]

2009年04月05日  間口の狭い将棋
 4月に入り、大和証券杯が始まりました。開幕戦は羽生名人対山崎七段戦と、好取組ではあるものの、NHK杯決勝や朝日OPで立て続けにぶつかった時ほどは「何か結果が見えている感」がある組み合わせ。しかし、結果は後手番の山崎七段の快勝でした。

 将棋は先手羽生名人が石田流。4手目の△6二銀に誘われたということです。後手は定法通り、1図のように左美濃+6三銀+7二飛の態勢で待ち。最初からこの形に誘導したかったのでしょうか。私は穴熊指向の強い人間ですが、先手が石田流にしたいのであれば、い飛車の対応はこの形の方が苦労がないかもしれませんね。千日手を強い、無理な仕掛けを咎めるという指し方もありそうです。(ゆえに、A級順位戦の森内−三浦戦の後手の手順には腑が落ちない)

 2図の局面は先手が羽生名人とは思えないほど、狙いが単純な局面です。先手の指し方としては▲9七角〜▲8六飛のぶっつけがみえみえです。山崎七段は△5五歩と銀の行動半径を拡大。当然の着手なのかもしれませんが、私は感心しました。(恥ずかしながら、私は桂馬交換必至とみて△2四歩と懐を広くする意欲が強くなったのでしょうね。

 3図の情勢ですが飛車、角が互角とするとと金の活用が見込める分、後手がよい、ということになります。

* 終局後の感想戦での

屋敷>両対局者に感想をいただいて締めたいと思います。
羽生>一局無事に終えて良かったです

というやり取りが、我々が思う以上に羽生さんの中で去年の時間切れ事件について遺憾に感じていることを示唆しています。。

PM 11:46:14 | Comment(32) | [将棋(三間飛車)]

2009年04月02日  NHK女流出場者決定戦
 実況がなくなるとネタもなくなる。最近、観戦記の品質がどうも落ちているような気がして(特に毎日の順位戦はどうしたのでしょう)、前ほどまめに読んでいません。忙しいということもあるんですが。。。

 しかし、職団戦も近づき、何か研究素材を探さんといかんな、ということで、思いついたのが矢内圧勝となった日曜日放送のNHK杯戦女流出場者決定戦です。石橋さんには申し訳ないが、先手の指し手を反面教師にしようという目算です。

 石橋さんがなぜか先手で矢倉を選択しました。にもかかわらず▲2六歩を突く昭和っぽい陣立て。

・先手なのに1筋突き越し(=不急)
・銀の活用よりもなぜか▲9六歩が先行
・にもかかわらず▲2五歩(=桂馬をとばさないなら、なおさら1筋突き越しは変)。▲3五銀〜▲4一角が間に合う情勢ではない。

と付加価値の乏しそうな手順が続き、後手があっという間に馬の製造に成功。先手の飛車は3八にいるのに、角がその上にいる不自然な攻撃陣です。

 しかし、そこからは石橋さんもそれなりの指し方はしました。不自由な角ながら後手の攻撃陣を一応は牽制し、桂馬の攻撃から銀を上手くかわした2図。ここでなぜか矢内さんは自然な△7七歩ではなく△7五銀。「桂馬を献上しても駒を前進させた方がいい」「金が入れば△2七金(3図)が有功打」という判断なのでしょうが、指しにくい手順です。

 でも3図になると先手が倒れています。▲2四歩で▲2八飛と飛車活用を優先していれば、まだしもだったのではないでしょうか。

 矢内女王、1回戦の対清水戦(これは女流名人戦の第何局と第何局の間に指されたんでしょうか)も例によっての右四間を粉砕。久しぶりに強さをみた印象です。。
  

PM 09:49:51 | Comment(450) | [将棋(矢倉)]

2009年4月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30   

最新記事
2009年12月13日  大和証券杯:3連敗
2009年12月13日  「芸術的だろ」
2009年12月10日  里見、女流名人戦登場
2009年12月08日  欝な駐車車両群
2009年12月06日  また落ちました(大和証券杯)

過去記事
2009年12月
2009年11月
2009年10月
2009年09月
2009年08月

プロフィール
名前せんす
URLhttp://sensu1030.hp.infoseek.co.jp/
佐藤康光の棋界制覇、矢内理絵子の女流棋界制覇を切望するオジ将棋ファンです。とはいっても、棋士は皆さん、好きです。

カテゴリー
日記(110)
ニュース(90)
旅行(25)
将棋(309)
子育て(10)
テレビ(31)
映画(33)
経済(50)
食べ物(26)
ゴルフ(4)
スポーツ(35)
芸能(5)
将棋(矢倉)(236)
将棋(横歩取り)(193)
将棋(中飛車)(170)
将棋(四間飛車)(224)
将棋(三間飛車)(66)
将棋(角換わり)(264)
将棋(相掛かり)(77)
将棋(向飛車)(44)
将棋(その他)(72)
漫画(2)
スキー(13)
歴史(56)
将棋(右玉)(4)
書評(2)
自転車(5)



Warning: fsockopen(): php_network_getaddresses: getaddrinfo failed: Name or service not known in /home/www/html/sys/head.php on line 626

Warning: fsockopen(): unable to connect to apix.jword.jp:80 in /home/www/html/sys/head.php on line 626
SockError:apix.jword.jp