楽天的で、必要以上のものを欲しがらない無欲な夫と、それとは対照的に、快活で行動的な妻が巻き起こす大騒動を、戦後の「自由」の意識を絡めながら描いた獅子文六の朝日新聞連載小説を吉村公三郎監督が映画化したもの。新藤兼人が脚本を担当した。また、主人公の夫を演じる小野文春は一般公募だった。
松竹でも同じ原作・同じタイトルで制作され同日に公開されたという、いわくつきの作品。松竹版は渋谷実が監督をつとめた。両作品とも大ヒットとなった。公開が5月の連休だったため、この両映画のヒットで「ゴールデンウイーク」という言葉が生まれ、後に5月の連休をそう呼ぶようになったとのこと。
五百助(小野文春)は、妻・駒子(木暮実千代)から、生来の無欲さをやる気がないと誤解され、家から出て行くように言われる。彼は、元々、あらゆる雑事からの解放を求めていたこともあって、これ幸いとばかり、面倒な日常生活から逃げ出す。さっそく、バタヤ(藤原釜足)と仲良しになり、彼らと行動を共にするようになる。浮浪者たちの社会とそこに棲息する自由な人びとと初めて接して、五百助は、義理や肩書きに縛られない真実の生き方を模索してゆく。
お茶の水駅が「お金の水橋駅」となっているのが笑える。その御茶ノ水橋の下のバラックで五百助は生活するが、押し出しのあることを見込まれて詐欺の片棒を担ぐことになってしまう。そして、自由に暮らすこともなかなか大変だと考えるようになる・・・
<「平和平和」と言うと「アカ(共産主義者)」だと言われる>とか、藤原釜足が上野のことを「ノガミ」と呼んだり、「愛染かつら」の歌がBGMのように流れれたりと、時代が分かるエピソードが随所に挿入されている。調べると、浅草は「エンコ」、池袋は「ブクロ」、渋谷は、「ブヤ」、新橋は、「バシン」等々。基本は短縮形。ということは今も昔も変わらないことかな。
その他の見所は、 大泉滉の怪優ぶり、山村聡のオカマ風はなし方、そして京マチ子のパワーあふれる話し振り。それこそ、名優たちが「自由」に振舞っているところを観るのが楽しい。
画面は、木暮実千代(左)と山村聡(右)。山村が小暮を口説いている場面。しかし、小暮は、五百助のことが気になって、なかなかその気になれないという状況がおもしろい。
【出演】 木暮実千代 小野文春 京マチ子 藤田進 山村聡 藤原釜足 斎藤達雄 殿山泰司 徳川夢声 大泉滉 【監督】 吉村公三郎 【ロケ地】 大磯駅 下赤塚駅(劇中では架空の駅名「武蔵間(はざま)」駅) 銀座四丁目交差点 御茶ノ水橋 神田川
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PM 07:56:23 |
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