さぼてん道楽軒
煩悩を形成する映画、読書、漫画などについての雑文で茶を濁そうかと。

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2005年08月09日  この才能をぜひ劇場で!快作『運命じゃない人』
すっかり更新サボリ気味になってる自堕落ぶりに我ながら嫌気がさしたので、久々に長文を書いて自戒の念を胸に刻み込んでみよう。






【映画】

2005年度カンヌ国際映画祭で4冠受賞した、内田けんじ監督によるダークホース的作品運命じゃない人を観に行った(@ユーロスペース)。
これは脚本が緻密に練られていて、久々に感心&面白い日本映画だった。こういう映画の登場は歓迎したい。
あの時、あの場所で、あんなことが起こっていたなんて……! という意外性に笑いを誘われつつ、登場するキャラクター全員を好きにならずにはいられない好編。

この映画、まず構成が見事。5人の男女が体験する何でもなさそうな一夜の出来事を、時間軸を少しずつズラしながら全体像を観客(だけ)に体験させ、視座も5人それぞれのパートから見せることで意外なサプライズを生み出すことに成功している(言ってしまえばタランティーノが『パルプ・フィクション』で見せた手法や、近年だと『21g』などにも通じるようなパズルのピースを嵌めていくような語り口)。
こういう構成自体は小説では珍しくないけれど、映画だと試みはあっても成功している作品って意外に少ない。というか、テクニック披露だけでそういった構成に必然性を感じない作品が多いなか、本作はそこをスマートに処理していて膨らみを感じさせる。

主人公・宮田(中村靖日)はお人好しのサラリーマン。彼は婚約していた彼女に逃げられて傷心気味の日々を送っているある晩、親友の私立探偵・神田(山中聡)に電話で近所のレストランまで呼び出され、そこで神田がナンパした女性・真紀ちゃん(霧島れいか)を自宅に泊めることになる。一方、神田は宮田の彼女だった美貌の女詐欺師・あゆみ(板谷由夏)が愛人のヤクザ組長から大金窃盗した事件に巻き込まれ、事態の収拾に奮闘する。
……といった具合に、一見平凡な男女がお互いの立場を隠したまま接触していく過程が語られるのだが、実は誰もが騙し騙されな関係だったりする。
とは言っても「善人を悪人が騙してボロ儲け」みたいな露悪的な不快感はなくて、登場人物たちはみなマヌケだったり見栄っ張りだったり小心だったりして、映画が終わってみれば誰一人として根っからの悪意なんて感じられない。一番お気楽なお人好しの宮田が自分の周囲で起きた物騒な出来事に気付きもせず、それどころか朗らかに喜んでいてたりするのが微笑ましい。これは監督の優しさなんだろう。

役者陣も素晴らしい。
本作は基本的にあまり有名な俳優を起用していないが、かなり個性的なバイプレイヤーが好演しているので注目度は極めて高いと思う。たとえば主演の中村靖日は『ジョゼと虎と魚たち』冒頭の雀荘シーンで妻夫木聡に話しかける男を演じていたのをぼくは憶えている。彼の風貌は一度見たら忘れられない。淡白なのに愛嬌のあるコケシのような頭、それを不安定に支えるかのようにちょこんとしたなで肩を包む背広姿はまるでマンガに出てきそうなのだ。
またハンサムな探偵を演じた山中聡は、なんといっても橋口亮輔監督の傑作『ハッシュ!』で片岡礼子演じる朝子を激怒させるオカマの役が鮮烈だった。オネエ口調のまま連発する歯に衣着せぬ挑発的なマシンガントークが芸達者ぶりを証明していた。

内田けんじ監督はPPFスカラシップ対象として本作が劇場デビュー作となるそうだが、暴力や小手先の映像レトリックは使用しないでスタイリッシュな構成にしている点、ほのぼのと穏やかなユーモアが口当たりのいい後味を残す点に高評価・好印象。やっぱ映画は金をかけたかどうかじゃなくて、優れた脚本・監督・役者が良質な作品を生むんだよなあ。
というわけで本年度の日本映画ベスト5候補に決定。ちなみに本作はパンフレットも内容充実してるので、劇場で観た人は買うことをお薦めします。

[ 追記 ]
劇場はミニシアターながら立ち見も出るほどの盛況ぶりだった。オレなんて整理券で最初の方の番号だったのに、友人と飯食ってから映画館に戻ったら既に入場が始まっていて立ち見組に回されてしまった……トホホのホ。
でも、こういう映画に客が多く入るのにとても嬉しいことです。ロング・ヒットになるといいなあ。

PM 06:14:37 | Comment(4) | TrackBack(8) | [日記]


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